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独学で世界的デザイナーに エディ・スリマンの異色の経歴

ファッションデザイナーのカール・ラガーフェルドとエディ・スリマン

故カール・ラガーフェルドとエディ・スリマン

Image by: Photo by Bertrand Rindoff Petroff/Getty Images

ファッションデザイナーのカール・ラガーフェルドとエディ・スリマン

故カール・ラガーフェルドとエディ・スリマン

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独学で世界的デザイナーに エディ・スリマンの異色の経歴

ファッションデザイナーのカール・ラガーフェルドとエディ・スリマン

故カール・ラガーフェルドとエディ・スリマン

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 21世紀を代表するデザイナーの一人であるエディ・スリマン(Hedi Slimane)。同氏はこれまでに「ディオール オム(DIOR HOMME)」や「サンローラン(SAINT LAURENT)」、「セリーヌ(CELINE)」といった名だたるビッグメゾンのクリエイティブディレクターを歴任し、メンズファッションの歴史に残る数々の名作を生み出してきた。

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 デザイナーとしての活動に加え、フォトグラファーとしての才能も発揮。個展の開催やインスタグラム、公式サイトでの作品発表など、幅広い活動を展開している。そんなマルチな才能を持つエディの軌跡を辿る。

エディ・スリマンとは?

 エディ・スリマンは、1968年にフランス・パリで誕生。ドレスメーカーだった母親の影響で幼い頃から服作りに親しみ、世界有数の難関校「パリ政治学院」で政治学を、その後「ルーブル美術学校」で美術史を学んだ。多くのデザイナーと異なり、服作りの技術は独学で身につけている。

 ルーブル美術学校卒業後の1992年に、フランスのファッションブランド「ジョゼ・レヴィ(Jose Levy)」に加わり、ファッションディレクターまでを務めた。その後1994年から1997年までジャン・ジャック・ピカール(Jean-Jacques Picart)の元でアシスタントを務め、その際ピカールが参加していた「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のモノグラム・キャンバス誕生100周年記念プロジェクトにエディも携わることになった。

 この頃、イヴ・サン・ローラン(Yves Saint Laurent)の長年のパートナーとして知られるピエール・ベルジェ(Pierre Berge)がメンズウェアデザイナーを探していたため、ピカールがエディを紹介。デザイナーとしては全く無名だったが、1997年から「イヴ・サンローラン・リヴ・ゴーシュ・オム(Yves Saint Laurent rive gauche HOMME)」のアートディレクターに就任し、メンズラインの活性化に努めた。1998年からは、同ブランドのジーンズラインも手掛け、ファッション業界にエディ・スリマンの名前を轟かせた。しかし、2000年にグッチグループがブランドを買収したことをきっかけにエディは退任した。

Image by: Photo by Bertrand Rindoff Petroff/Dior Homme - Men's Collection Fall/Winter 2005/2006/Getty Images

 2000年から2006年までは、「クリスチャン ディオール ムッシュ(Christian Dior MONSIEUR)」から改名した「ディオール オム(DIOR HOMME)」の初代クリエイティブディレクターに就任。「ロック」要素と「少年性」を取り入れた全体的に細身なシルエットを特徴とし、「スキニーパンツ」や「ナロータイ」などシンプルでスタイリッシュなアイテムを多くデザインし、モードな要素を日常に落とし込むスタイルを確立させた。エディが在籍していたこの期間のディオールは「エディ期」と呼ばれカルト的な人気を博した。カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)が、ディオール オムの服を着るために減量したというエピソードは、ファッションの世界では有名な話だ。

 退任後は、一時期フォトグラファーとして活動したのち、2012年に全コレクションを統括するクリエイティブディレクターとして「サンローラン(SAINT LAURENT)」にカムバック。メンズのみならずウィメンズやアクセサリー、ショップデザインなども監修した。また就任してすぐに、YSLを重ねたイブ・サンローランの有名な「カサンドラ」ロゴを廃止し、ブランド名を「サンローラン(SAINT LAURENT)」に一新。コレクションでは、ディオール オムから引き続き「ロック」と「少年性」を突き詰め、細身のスタイルを提案。レザージャケットやリングブーツ、スキニーデニムなどの大ヒットアイテムを生み出し、売り上げを3年間で2倍に伸ばすなどブランドの成長に貢献した。サンローランでのラストコレクションは、2016年秋冬となる。

 2018年からは、フィービー・ファイロ(Phoebe Philo)の後任として「セリーヌ(CELINE)」のアーティスティックおよびクリエイティブディレクター、イメージディレクター(artistic, creative and image director)に就任。当時セリーヌにはメンズラインが存在しなかったことから、これまでメンズのデザインを多く手掛けてきたエディの起用は大きな話題を呼んだ。就任してすぐに、サンローラン時と同様にロゴを一新。フランスの強調記号を無くし、シンプルなロゴマークへと変えた。2021年スプリングコレクションからはメンズコレクションの名称を「セリーヌ オム(CELINE HOMME)」に変更し、メンズとウィメンズがはっきり分けられるようになった。2024年10月にエディ・スリマンはセリーヌを退任。2025年10月時点で、今後についてはまだ明らかにされていない。

フォトグラファーとしての顔

 エディは、11歳の頃からカメラを持ち写真を楽しんでいた。2002年には初のモノクロ写真集「berlin」を出版。また2000年以降、不定期で個展を開催するなど、ファッション業界に入ってからもフォトグラファーとしての活動は続けていた。ディオール オム退任後は、本格的にフォトグラファーとして活動。世界中を旅したその様子をカメラに収めており、写真は公式サイト「Hedi slimane diary」で見ることができる。

 サンローランのクリエイティブディレクターに就任してからは、自らヴィジュアルフォトを撮影することも。2013年にはモデルにアメリカのヘヴィ・ロックミュージシャン マリリン・マンソン(Marilyn Manson)やCourtney Love(コートニー・ラブ)、Kim Gordon(キム・ゴードン)、Ariel Pink(アリエル・ピンク)を起用したキャンペーンヴィジュアルを発表し、エディが全ての撮影を担当した。

 このほかにも、2017年1月号仏版「ヴォーグ(VOGUE)」の表紙を飾ったカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)とリリー・ローズ・デップ(Lily-Rose Depp)を撮り下ろしたことでも知られている。一貫してモノクロ写真というところもエディの特徴である。

生み出した数々の名作

 エディ・スリマンは数々の名作を生み出してきており、現在もその人気は衰えを知らない。2次流通市場では高値で売買されている。

ディオール オム(DIOR HOMME)

エディ・スリマンが手がけたディオール オムの2007年スプリングコレクション

ディオール オム 2007年スプリングコレクション

Image by: Giovanni Giannoni/WWD/Dior Homme's spring 2007/Penske Media via Getty Images

エディ・スリマンが手がけたディオール オムの2007年スプリングコレクション

ディオール オム 2007年スプリングコレクション

Image by: Fairchild Archive/Dior Homme's spring 2007/Penske Media via Getty Images

 2001年から2007年までの「エディ期」で代表的なアイテムといえばデニムパンツのスキニーモデル「ジェイク(JAKE)」。2007年秋冬に登場し、以降様々なデザインのものが発売された。ストレッチのきいたタイトな着心地が特徴で、膝やヒップ部分にダメージ加工が施されている。このほかにも、「デストロイコーティングデニム」や「アイスブルーシリコンコーティングデニム」、「ナポレオンジャケット」、「スモーキングジャケット」などが代表作として挙げられる。

サンローラン(SAINT LAURENT)

L17モーターサイクルジャケット/2014年春夏コレクション
テディジャケット/サンローラン 2013年秋冬コレクション
ワイアットチェルシーブーツ/サンローラン 2013年秋冬コレクション

L17モーターサイクルジャケット/2014年春夏コレクション

Image by: ©Launchmetrics Spotlight

 サンローランのデザイナーに就任してからは、さらに細身でロックなスタイルを提案。一般的なスキニーパンツの裾幅よりもさらに細くしたスーパースキニーや、「L01モーターサイクルジャケット」、「L17モーターサイクルジャケット」といったレザージャケット、「テディジャケット」などロックテイストながらどこか品のあるアイテムを展開した。アパレルアイテム以外にブーツも有名で、「ワイアットチェルシーブーツ」は不動の人気を誇っている。

セリーヌ(CELINE)

セリーヌのバッグ「セーズ」/2020年春夏コレクションランウェイより
セリーヌのバッグ「トリオンフ」/2020年春夏コレクションランウェイより
セリーヌのダブルボタントレンチコート/2019年春夏コレクションランウェイより
セリーヌのダブルボタントレンチコート/2019年春夏コレクションランウェイより

セーズ(16)/2020年春夏コレクション

Image by: ©Launchmetrics Spotlight

 これまでにメンズアイテムを手掛けてきたことで知られるエディだが、セリーヌでは「セーズ(16)」や「トリオンフ(TRIOMPHE)」、「セー(C)」といった数々のバッグをデザイン。ブランドの新たなアイコンバッグとなりウィメンズからの支持も得ている。ほかにも、ユニセックスで着用できる「ダブルボタントレンチコート」やロゴが大きくプリントされているTシャツなどのヒットアイテムを生み出した。

エディ・スリマンの来歴

<1992〜1994年>

  • 「ジョゼ・レヴィ(Jose Levy)」に加わりファッションディレクターまで勤める。

<1994〜1997年>

  • ジャン・ジャック・ピカールの下でアシスタントを務める。

1997年

  • 「イヴ・サンローラン・リヴ・ゴーシュ・オム(Yves Saint Laurent rive gauche HOMME)」のメンズウェア アートディレクターに就任。

1998年

  • サンローランのジーンズラインも担当するようになる。

<2000

  • グッチの買収劇の中、イヴ・サンローランを離れる。
  • 「ディオール オム(DIOR HOMME)」立ち上げ。初代アーティスティック・ディレクターに抜擢される。

<2002

  • CFDA(Council of Fashion Designers of America)により「デザイナー・オブ・ジ・イヤー」に選ばれる。

<2006

  • 2007年秋冬コレクションをもって退任。(2006年まで在籍)

<2012

<2016

<2018

<2023

<2024

最終更新日:

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故カール・ラガーフェルドとエディ・スリマン

Image by: Photo by Bertrand Rindoff Petroff/Getty Images

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