2026年春夏コレクション
Image by: ANN DEMEULEMEESTER

2026年春夏コレクション
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「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」の2026年春夏コレクションは、クリエイティブディレクター、ステファノ・ガリーチ(Stefano Gallici)による個人的な記憶と文学への愛が織りなす詩的な世界観を展開した。「孤独な者(The Solitary One)」と題されたコレクションは、彼の幼少期の思い出から文学的ヒーローまでを結びつけ、ブランドの持つロマンティシズムを新たな視点で示してみせた。
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1996年生まれで、まだ20代のガリーチは、2023年に同ブランドのクリエイティブディレクターに抜擢された若きデザイナー。2024年春夏シーズンからコレクションを手掛け始め、今回のショーでは彼自身のストーリーテリングの才能を遺憾なく発揮した。ガリーチの故郷の教会に隣接するバスケットボールコートでの記憶、スポーツへの情熱、そして文学への深い傾倒が、このコレクションの創造的基盤を形成している。

Image by: ANN DEMEULEMEESTER

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ランウェイでは、クラシックなロマンティシズムとアスレチックの意外な融合が見られた。イギリスの小説家ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」と、作家でありバンド「ドアーズ」の広報担当だったダニー・シュガーマンの「ワンダーランド・アベニュー」を着想源とし、貴族的なエンパイアラインのドレスやナポレオンジャケットがカレッジのショートパンツやヘッドバンドと並置。コルセットトップはリペアされたデニムや手描きのTシャツと組み合わされ、繊細なシルクはレースアップブーツや汗染みのついたジャージーによって現代的なコントラストを生み出した。さらに、経年変化を施したレザーパンツやバスケットボールシャツも登場し、ガリーチの真骨頂である垂下する紐のディテールや、布帛、レース、レザーなどの異素材を幾重にも重ねる構成美は、今季においても踏襲されている。

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以前のインタビューでガリーチは、「夢に価値を与え続け、このブランドを通して人々に夢を見てもらうこと」とクリエイティブディレクターとしての最大の目標について語った。それは今季においてもパンクロックやインディー、ガレージロックなど自身が育ったユースカルチャーの反骨精神と、アン ドゥムルメステールの詩的な世界観とを見事に融合させることで体現している。彼が描出するアン ドゥムルメステールの世界は、反逆と夢想、過去と現在、叙情性と都市のエネルギーが交差する、多層的な表現の場である。型にはまったファッションの規則を美しく破壊し、単なる反抗のためではなく、感情を表現するためのスタイルの創出こそが、彼が実現したクリエイションの真髄だ。
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