近年、日本ではフレグランス市場が拡大していますが、韓国や中国でもフレグランスの人気が高まっています。香りはもちろん、コンセプトやメッセージ、独創的なデザインまで心くすぐられる商品が続々登場していて、コレクションする人も増えているそう。今回は韓国、中国で話題になっているフレグランスブランドを紹介します。
韓国ブランドはアーティスティックな容器から挑発的なコンセプトまで多彩
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Tamburins(タンバリンズ)
アイウェアブランド「ジェントル モンスター(GENTLE MONSTER)」の姉妹ブランドとしてボディケアやホームフレグランスを展開してきた「タンバリンズ(Tamburins)」。9月に待望の香水コレクションが登場しました。“慰め”から来るさまざまさまざまな感情を表現し、時間経過により多彩な香りの変化を感じられる全10種が揃います。キャンペーンビジュアルにはBLACKPINKのジェニーが起用され、YouTubeで公開されたコンセプトムービーは560万回(2022年11月29日現在)も再生されています。代表的なフレグランス「CHAMO」はハチミツのように甘いカモミールと苦味のあるクラリセージの香りが調和したクセになる香りです。
RboW(アールボウ)
2020年4月にローンチした、アートディレクターが手がけるパーソナルビューティケアブランド。壁にかける絵画ではなくデザインと香りによって日常でアートを感じるというコンセプトで、多くのアーティストとコラボレーションした商品も販売しています。シグネチャーの「#12 Dance and Balance」は芸術の静けさを表現。ペッパーがスパイシーなカルダモンに合わさり、ジュニパーベリーやバニラマスクとともに甘く暖かに香ります。香りの種類ごとに異なるアーティスティックな柄のボトルラベルは、揃えたくなる可愛さです。
BORN TO STAND OUT(ボーン トゥ スタンド アウト)
“最も韓国らしい”と“韓国的でない”価値をかけ合わせた、新進気鋭のフレグランスブランド。儒教を基盤とする韓国の思想に反した“欲望”に焦点を当て、社会の常識によって抑圧された欲望を開放するという挑発的なコンセプトです。香水瓶は伝統的な朝鮮白磁を再解釈したデザインで、ピュアなイメージのボトルが“欲望”を浮き彫りにするといいます。代表的な「Dirty Rice」の香りは、米という韓国的な素材を官能的に表現した甘いテイスト。ブランドのクリエイティブは過激なものも多く、独特な世界観のインスタグラムやソウル・ハンナムのショップは必見です。
NONFICTION(ノンフィクション)
今年日本にも進出し、大きな反響を得たフレグランスブランド。元アートディレクターが手がけたアイテムは柔らかく繊細な香りに加え、インテリアのように空間に調和するパッケージからSNSで話題になりました。「FOR REST」はヒノキと柚子をメインに、森や苔を思わせるウッディムスクの香り。ユニセックスな香りも多く、ハンドウォッシュやボディケアはプレゼントとしても人気です。
afterblow(アフターブロウ)
日本でもファンの多い韓国コスメ「デイジーク(Dasique)」を手がける美容クリエイター・エコム(ECOM)のフレグランスブランド。今年1月に発売すると、すぐさま話題になり注文が殺到。「完全に“私”になれる香りを作り出す」というブランドメッセージの通り、長く記憶に残るユニークな香りが特徴です。シグネチャーの「テンダーウッド」は木が与えるマスキーな香りと、風に乗ってくる野花の香りまで感じられる感覚的なウッディー調。
中国らしさが光るオリエンタルな香りや独創的なデザインに注目
观夏(To Summer)
中国で親しまれる梅、蘭、竹、菊、松などの香りを表現した“東洋の香り”がコンセプト。香りだけでなく、広告コピーに歴史物語を引用したり、漢詩を引用したりと中国らしさを散りばめています。新作の練り香水「オリエンタル ボタニカル エッセンスバーム」は手首や首元、耳の後ろに塗ることで脈打つたびに香りが広がるアイテムです。「三重茶(Triple Tea)」はお茶が持つ苦味や、炒った茶葉のスモーキーな香り。ユニークな形のパッケージはジュエリーメーカーとの共作で、東洋の庭園にある池の風に波打つ様子が表現されています。
芬尚(for smell)
見た目の可愛らしさ、ユニークなコンセプト、若者の心に寄り添う描写でZ世代に愛されるブランド。「ハグミルク」は人々と関わりながら暮らすうちに感じる、疲れや寂しさを癒やす自分自身への温かいハグを、やわらかくミルキーな香りで表現しています。牛乳のような真っ白のボトルも人気の要因。
野獣派(BEAST)
2011年にフラワーショップとして誕生した「BEAST」は、多くの中国スターがそのアレンジメントを認めたことから有名に。次第に香水やキャンドルも手がけるようになり、話題作を多数生み出しました。特に「PANDA POO-POO」シリーズはラインナップも多彩で、新作は香水のボトルキャップがパンダの頭になっています。!見た目の愛らしさはもちろん、癒瘡木(ユソウボク)の香りをメインに柑橘系を合わせた癒やしの香りで、疲れた気持ちをほぐしてくれます。またパンダがあくびをしたような形のアロマディフューザーも話題に。
茶香師(chasense)
濃厚で存在感のある香水が多い中、「茶香師」はさわやかで自然な、東洋的なムードをまとった香りが特徴。まさにお茶のように東洋人の日常に溶け込む香りが集まります。人気アイテムの「自然」は爽やかなレモンとまろやかな緑茶が融合した、心地の良い中性的な香りが男女問わず支持されています。
聞献(DOCUMENT)
独創的な世界観を持つフレグランスブランドで、Z世代を中心に話題です。「人無完人 HUMAN」シリーズは人間の欠点や不完全さに焦点を当て、幼稚さ、傲慢さ、繊細さなどを表現する6種の香りを揃えています。「初熟之物 NAIVE」は幼稚さをイメージさせる、熟したてのみずみずしい桃とライムのフルーティーな香り。三角のキャップが目新しいボトルも心をくすぐられます。
青山学院大学文学部卒業。産経新聞社サンケイスポーツ編集局記者職を経て、「WWD BEAUTY」記者として中国や欧米などの海外美容市場やビューティテック、スタートアップなどを中心に取材。2020年4月に独立し、現在は美容業界情報を中心に若者トレンドや中国市場に関する記事を執筆。
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