バレンシアガ 2022年ウィンターコレクション
バレンシアガ 2022年ウィンターコレクション
Image by: Courtesy of Balenciaga

Fashion注目コレクション

戦争への抵抗——「バレンシアガ」デムナが吹雪のショーに込めた愛と平和へのメッセージ

 デムナ(Demna)が手がける「バレンシアガ(BALENCIAGA)」が、2022年ウィンターコレクションのフィジカルショーを発表した。ロシアのウクライナ侵攻が深刻化する中で開催された今回のコレクション。会場のすべての座席にはウクライナの国旗の色で彩られたTシャツが置かれている。添えられていたのは、ジョージア出身のデムナによる真摯なメッセージだった。

バレンシアガ 2022年ウィンターコレクション Image by Courtesy of Balenciaga
バレンシアガ 2022年ウィンターコレクション
Image by: Courtesy of Balenciaga
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ショーを中止することは、悪に屈すること

 メッセージの中で「ウクライナでの戦争は、私の母国で同じことが起こり、永遠の難民になった1993年以来、私が抱えてきた過去のトラウマの痛みを引き起こした」と明かしたデムナ。今回のコレクション発表を中止することさえ考えたというが「私は、自分の一部を無意味で無情なエゴの戦争の犠牲にすることはもうできないと決意した」と語る。

冬の嵐にモデルたちが立ち向かう

バレンシアガのショー会場。防護ガラスの中に雪が積もっている。 Image by Courtesy of Balenciaga STEPHANE AÏT OUARAB
バレンシアガのショー会場。防護ガラスの中に雪が積もっている。 Image by Courtesy of Balenciaga STEPHANE AÏT OUARAB

 ショーは、ウクライナの作家であるオレクサンダー・オレス(Oleksandr Oles)の詩の朗読からスタートした。会場は、巨大な円柱の防護ガラスによってスノードームのようにカプセル化された白いフィールド。その外側をぐるりと客席が囲んでいる。ブランドが「360°ビューのリアルライフ3Dライブストリーム」と呼ぶ演出形式で、嵐が吹き荒れる冬の場面を再現した。バレンシアガのスペクタクルなフィジカルショーは、コロナが本格化する前に開催された2020年ウィンターコレクション以来だろう。

2020年3月にパリで開催されたショー
「バレンシアガ」のスペクタクルが示唆する、ファッションと人と地球の関係

 コレクションは黒を基調にしたルックからスタートし、モデルたちは男女ともにゴーグル風のサングラスをかけて登場。体にぴったりとフィットするストレッチドレスやボディスーツ、あるいはオーバーサイズのジャケットなどが、大胆なシルエットを際立たせる。

 最後の2ルックは、ウクライナの国旗を彷彿とさせるイエローとブルー。いっそう激しくなる吹雪の中、ドレスの長いトレーンが美しくはためいた。

「Be Different」型破りなパロディ

 また、ストリート色の強いデザインも健在で、「XXXL」と胸にプリントされたビッグサイズのフーディもバレンシアガらしい味付け。ぶかぶかのロングブーツも目を引いた。さらにブランドロゴがプリントされたガムテープを全身に巻きつけたルックも強烈。会場ではキム・カーダシアン(Kim Kardashian)が同ルックで現れて話題をさらった。

 そして、アップル社を彷彿とさせるリンゴのマークと「Be Different」のスローガンをあしらったルックもキャッチー。明らかに同社のスローガン「Think Different」を意識したものであり、今回のショーの招待状が壊れたiPhoneだったことにも含みが感じられる。

(全てのコレクション画像)Courtesy of Balenciaga

愛と平和の勝利のために、恐れずに抵抗する

 激しい風と雪の中、ゴミ袋から着想を得た大きなバッグ(The Trash Pouch)を手にしたモデルたちは、優雅に歩くことも叶わない。だがその姿は、幼いデムナが難民として国を脱出したときの苦難とも重なっていく。「このショーに説明は必要ない。それは、恐れないこと、抵抗すること、そして愛と平和の勝利への献身だ」という、デムナの反戦メッセージが色濃く反映されていた。

デムナがコレクション発表に際して発表したレター
デムナがコレクション発表に際して発表したレター
BALENCIAGA 2022年ウィンター

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BALENCIAGA 2022年ウィンターコレクション

辻 富由子 (Fuyuko Tsuji)

セントラル・セント・マーティンズ出身。モード誌の編集者、通信社のニュース記者を経て、フリーランスのファッションエディター/ライターとして独立。ファッション以外では、現代アートやフィギュアスケートについての記事執筆もこなす。

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