KMT INC. 兒玉キミト代表
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Fashion インタビュー・対談

中国のファッション事情と日本ブランド進出の注意点とは?上海でショールーム運営するキーマンにインタビュー

KMT INC. 兒玉キミト代表
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 ブランドの海外進出の選択肢の一つとして注目を集める中国・上海。その市場規模の大きさから、若手ブランドを中心に上海ファッションウィーク中に出展する日本ブランドも増加傾向にある。そう話すのは上海で日本ブランドを中心に扱うショールーム兼ショップ「Showroom CATS」やクリエイターのマネジメントなどを行う会社KMT INC.の代表 兒玉キミト氏だ。上海に約10年住んでいる同氏は、約8シーズンにわたり合同展にショールームを出展しており、中国のファッション市場にも造詣が深い。日本のブランドや企業が中国で成功するために必要なこと、気をつけるべきこととは何か?そして中国ファッション市場の現在地とこれからをどう見ているか、兒玉氏に話を聞いた。

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中国ファッション市場の現在地

ーそもそも、兒玉さんが上海に住むきっかけは何だったんですか?

 日本企業の中国支社の立ち上げで上海に駐在していたのが始まりです。支社の立ち上げ後3年ほど経ってから独立して、2012年にKMT INC.の前身となる会社を設立しました。今のKMT INC.には2016年に変更していて、上海でショールーム「Showroom CATS」を中心に運営しています。

ーKMT INC.の事業内容は?

 Showroom CATSでは中国での卸やアタッシュドプレス業務、ブランドや商業施設のPRマーケティング業務を行っています。そのほかにDJを中心とした音楽イベントレーベル「CATS SOUNDS」を主宰したり。日本では昨年ショールーム「CATS TOKYO」を開設しました。ファッションやカルチャーの分野で日本と中国を繋ぐプラットフォームになれればと色々な事業を動かしています。 

ー上海ファッションウィーク期間中の合同展にはいつから出展していますか。

 2015年の春夏シーズンからで、もう8シーズン目になりますね。上海の合同展は「オンタイムショー(Ontimeshow)」、「モード上海(MODE SHANGHAI)」、「ショールーム上海(SHOWROOM SHANGHAI)」の3つが主ですが、僕らが出しているのはオンタイムショー。会場の雰囲気や他の出展ブランドのラインナップが気に入っているんです。ただ3つとも規模の大きな差はなく、上海ファッションウィーク中に来るバイヤーのほとんどは3ヶ所すべて回っていますね。

ーここ数年、上海ファッションウィークに参加する日本ブランドが増えている?

 出展ブランドの総数は増加傾向にあると思います。僕らが最初に出展したシーズンは指で数えられるくらいでしたが、最近では若手ブランドを中心にインディペンデントなブランドが新規で出展していることが多いですね。

ー若手ブランドも続々と参加していて活気があるんですね。

 出展するブランドも増えていますが、同時に中国全土でセレクトショップが増えているんです。中心となる上海だけではなく、成都、西安、杭州といったこれまで"2級都市"と言われていた地域の人口や市場規模が拡大して"新1級都市"に成長していて、そういった地域に新興のセレクトショップが続々とオープンしています。

ーファッション"熱"が中国全土に広がっているんですね。

 若い人たちがどんどん新しい店をオープンしていて、中国全土でセレクトショップブームが起こっているんです。今の中国はバイヤーやショップのオーナー、フォトグラファーを自称する人で溢れていて(笑)。それこそほぼ砂漠のような乾燥地帯の新疆ウイグル自治区のセレクトショップのバイヤーがステンカラーコートをバイイングするのを見かけたこともあったりと、あらゆるところでファッション好きの若い世代がビジネスを動かし始めているんです。

ーどの世代が服を良く買っているんですか?

 禁欲的で質素倹約の生活スタイルを求めた毛沢東の影響を受けている1970年代より前の世代の人は消費に対して積極的ではない印象です。一方で僕も含めた1980年代生まれの人たちは台湾や香港から新しいエンターテインメントが入ってきたこともあってかなり寛容になっていて、さらに物心ついた時からインターネットやスマホが普及している1990年代以降の生まれの人たちは、親の資産力もあるため「欲しいものは買う」という意識が高いように感じます。

ー中国で人気の日本ブランドはありますか?

 デザイナーズブランドだと「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」(以下、ギャルソン)や「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」「イッセイ ミヤケ(ISSEY MIYAKE)」は知名度も人気も高く、その次が「アンダーカバー(UNDERCOVER)」「サカイ(sacai)」といったところで、人気のブランドは日本国内とそれほど変わらないかもしれません。ギャルソンが特に人気で、中国で「川久保玲」と言ったらギャルソンの服自体を指すほど浸透しています。

ー日本のブランドは中国でも人気なんですね。

 ブランドに限らず、日本でストリートスタイルが流行っているのと同様に中国のメンズもストリートスタイルが引き続き人気です。そこから派生してラグジュアリーストリート、モードストリートと呼ばれるようなスタイルも多いですね。ウィメンズはモード系で、日本と比較すると可愛さよりもかっこよさを求めている傾向があると思います。それから所謂"LAセレブ"のスタイルもよく見かけますね。

ー中国の人はあまり雑誌を読まないと聞いたことがありますが、何でファッション情報をキャッチしているんですか?

 Weibo(微博)とウィーチャット(WeChat)ですね。中国国内のアパレル企業やブランドはほとんど公式アカウントを持っています。雑誌も紙媒体自体は継続しつつ、公式アカウントで記事を発信してますから。多くの人は両方を駆使して情報をキャッチしています。中国に進出する際は、現状この2つはおさえておくべきだと思います。

 

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