KMT INC. 兒玉キミト代表
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Fashion インタビュー・対談

中国のファッション事情と日本ブランド進出の注意点とは?上海でショールーム運営するキーマンにインタビュー

日本ブランドが中国に進出するには?

ー日本のブランドが中国・上海に進出する際に有効な手段は?

 これはどこでも変わらないとは思いますが、合同展に出展するか、単独展をするかが主な方法だと思います。世界的に見ても合同展に人を呼ぶのが難しい時代ですが、オンタイムショーやモード上海はとても隆盛で、出展すれば必ずバイヤーが足を止めてくれる。日本国内よりもタッチポイントはかなり多いと思うので、そこからどう交渉するかが重要だと思います。

ー中国のバイヤーはブランドのどういった点を見ているのでしょう。

 一番はブランドのオリジナリティなんですが、基本的にはわかりやすいデザインが人気で、ロゴや異素材ミックスなどはバイヤーたちから好評価を得ていると思います。あとは日本でどの層に売れているのか、人気の度合いを気にしますね。

ー逆に評価されづらい点はありますか。

 デザインのわかりやすさを求めるところがあるので、素材の良さとか、パターン技術は刺さりにくいかもしれません。ただ高機能素材、例えば撥水、吸汗速乾の素材は注目されています。日本の技術の高さは認められているので。

ー中国のショップはかなりの量をバイイングすると良く聞きますが、実際ワンシーズンどれくらい買い付けるんですか?

 1店舗あたり数10万円〜数100万円と幅広いですね。最初から金額が大きすぎると、怖くて取引しないこともありますが(笑)。

ーブランドにとっては嬉しい話ですね。

 出展すれば何かしら取引に繋げることができるのはいい部分だと思います。それから、出展にかかる費用がパリやニューヨークに比べて安いというのも魅力なのではないでしょうか。渡航費込みで50万円くらいあれば出展できて、70万円ほどあればスタッフ1人を連れて行けるくらいなので。

ー一方で、気をつけるべき点は何でしょう。

 セレクトショップが増加しているという話をしましたが、その分倒産や閉店のスピードが早いんです。みんな憧れてショップのオーナーになりたがるのですが、バイイングやVMDの知識が全くない人たちも多い。オープン後すぐに潰れてしまうお店もありますし、買い付けしてもらって、商品の発送までした後にオープン出来なくなり商品を返品したいと言われたこともあります。なので、取引先とのこまめな連絡は必要かもしれません。それから、中国には契約で決めたことに対してシビアな人が多いので、当たり前ではありますが、納期は厳守する意識でいた方がいいですね。

ー日本ブランドが中国で別の業者に商標を取られてしまった事例をよく聞きます。

 デビュー2シーズンとかで、日本でもそこまで知名度がないブランドでも、目を付けられて商標が申請済みだったりしますね。その対抗策として訴訟を起こす、権利を買い取るといった方法がありますがなかなかうまくいかず、「ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)」がデザイナーの名前で展開されていたりと多くの場合別のブランド名で売る羽目になってしまうんです。必要書類をそろえて提出するだけなので、ブランド立ち上げから早い段階で取っておくのが得策です。それこそ僕らに言ってくれれば商標申請を仲介できますから。

ー継続的に取引を続けるコツは?

 中国のショールームなどにお願いして、納品後のアフターケアを行うのが大事ですね。店でどんな風に陳列されているのかとか、売れ行き、追加オーダーについてなどの相談をしてみたり。次シーズンでオーダーがなかった場合にも、理由を聞いて最低のオーダー数を下げるとか比較的安いアイテムだけでも置いてもらうとか、交渉次第で継続的に注文してもらうことができるかもしれないので。

ー中国のファッション市場のこれからをどう見ていますか。

 結論から言うと、中国のファッション市場はまだまだ伸びると思います。上海だけじゃなくて、新1級都市をはじめ2級、3級の都市もファッションに対する熱量があります。上海に関してはファッション以外にもアートや最先端のカルチャーの分野に力を入れているので、その辺りも含めて都市が盛り上がっていくのではないでしょうか。

ー会社としての今後の目標は?

 会社としては、ショールーム機能を拡大するというよりは、ロンドンのクリエイティブ集団のトマト※みたいな形を目指しています。ショールーミング機能をメインにしつつ、ブランドに限らず、ミュージシャンもアーティストも所属してもらうプラットフォームになるのが理想。定期的に音楽イベントを開催したりしていますが、広い意味でカルチャーを発信していきたいんです。 

※トマト(TOMATO)
ロンドンを中心に活動するクリエイティブ集団。ダンスアクト アンダーワールド(Underworld)のカール・ハイド (Karl Hyde)とリック・スミス (Rick Smith)らが参加しており、DJや芸術家、作家、プロデューサー、作曲家といった様々な分野で活動するメンバーから構成されている。

■兒玉キミト
2008年から上海在住。友人と上海でセレクトショップを立ち上げ、2012年に独立。2016年からKMT INC.として上海と東京を拠点に、ショールーム、クリエイティブプロダクションを運営。上海ファッションウィークには8シーズン参加している。
■KMT INC.:公式サイト

(聞き手:平原麻菜実)

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