COMME des GARÇONS 2021年春夏コレクション
Image by: FASHIONSNAP
「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」が、東京で新作コレクションを発表するのは約40年ぶり。1981年からパリコレクションに参加し続けてきたが、新型コロナウイルスの影響で今シーズンは参加を取りやめ、南青山の本社で2021年春夏コレクションのフロアショーを開催した。デザイナー川久保玲による創作のテーマとなったのは「不協和音」。
照明によって赤く染まったフロアに通された招待客は、ジャーナリストやスタイリストなど40人ほど。普段ならパリコレの中でも特に混雑を極めるギャルソンのショー会場だが、今回はソーシャルディスタンスを保った座席の配置でゆとりがある。
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定刻を2分ほど過ぎて、ノイズのような音と共に一体目のモデルが現れた。透明のポリウレタン素材を重ねたエンパイアラインのドレス。見覚えのあるプリントは、「プレイ コム デ ギャルソン(PLAY COMME des GARÇONS)」のハートマークの目を拡大したものだ。ヘアスタイルは中世ヨーロッパの貴族を連想させる巻き髪で、所々にグリッターが塗られている。
続くルックもドレスがメインで、シルエットはクリノリンやバッスルといった造形的なクラシックスタイルがベースだが、テキスタイルには相反するテクニカルな素材を用いている。違和感を残したバランスは足元にも見られ、スポーツソックスにSALOMON社とのコラボレーションによる厚底シューズやクリア素材のヒールサンダルを合わせていた。
目を引いたのは、ベアブリック、ミッキーマウス、ミニーマウスといったキャラクター。単なる総柄プリントに終わらず、連続的なモチーフの上に描かれた落書きのようなグラフィティが鮮烈な印象を残した。
ラストは2体のマリエ。ベアトップドレスを包むようにクリア素材が重なる様は、身体と服を守るためのシールドのようにも見えてくる。違和感のあった異なる要素が次第に一体となり、共存していく。ショーの後、詰めかけたジャーナリストの前で川久保が語ったことも、変化の最中にある現代と重なった。
「相反するものには不協和音を感じると思います。悪い意味もありますけど、予想外のことも起こるし、面白くなる場合もあるんですよ。不協和音がポジティブにエネルギーを生む、ということをテーマにしました。後から静かに考えれば、それは心地良かったという風になれば理想的です」。
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