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業界徒然日記《1》「ロレックスはいつ買える?」高級時計販売員 佐藤さんの場合

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 業界で働く人達の通常では語られることのない"本音"を覗く、あの人気連載「業界徒然日記」が再びスタート。リニューアル第1回は都内の某高級時計専門店で販売員をしている佐藤 正一さん(仮名)。ゴールデンウィーク明けの高級販売員の1週間とは?ちなみに周りに似たような人がいても、あくまでもフィクションです。

- プロフィール -
氏名
:佐藤 正一(仮名)
年齢:34歳
職業:高級時計専門店販売員
大学:中堅私立大学
年収:約360万円
住居:渋谷区 家賃:9万円

都内中堅私大を卒業後、百貨店に入社。たまたま配属された宝飾フロアで時計に目覚める。「好きな事を仕事に」のブームに乗って現在の会社に転職するも気づけば普通の会社員として日々を送っている。店頭に立つ時は、着用時計を貸与されるが自身では高級時計をまだ持っていない。

■5月9日(月)

週初めは、いつもの朝礼からスタート。先週の売上と今週の売上目標を確認。最近売上が落ちているためか、店長の詰めがキツい。それとバーゼル2016で発表された新型デイトナの問い合わせが凄いらしい。うちは、ロレックス正規店じゃないので扱ってないんだよね。でも、「新型デイトナ待ちの余波でウチの売上がさらに下がるかも」と店長がぼそりと言ったため、全員の危機感が増した。ぶっちゃけ、新型デイトナカッコいいもんな。昼ごはんを一緒に行った先輩も、早くロレックス扱って欲しいって言ってた。理由は、"黙っていても売れる→ノルマが軽くなるんじゃないか"という淡い期待。

新型デイトナ→ロレックス社スポーツモデルのフラッグシップ機新型。SSモデルは毎朝入荷しているかを調べに来店する客もいるため、店頭に置かれる事がほとんどない。

■5月10日(火)

いつも以上に人が来ない。暇なのでケースを磨いたり、カタログをしっかり見て新作のお勉強をする。うちの店は1000万級も揃える雲上ブランドから1万円くらいまでの大衆ブランドまで取り扱う正規店なんだけど、自分が担当するブランドの1つがどんどんケバくなっていることをカタログで実感。確かにこのブランド買うお客様は、イケイケドンドンな感じ多いもんな。ブランドもしっかり顧客マーケティングしているんだなぁ笑。

イケイケドンドンな感じ多いもんな→担当店員もイケイケドンドン系になることが多い

■5月11日(水)

今日は、お休み。土日が大切な仕事なため、平日に休みが振られることが多いのだ。暇だったので、伊勢丹新宿店の時計フロアを見に行く。ウチが取り扱っているブランドも多々あるけど、やっぱりパテックとランゲは飛び抜けて高いな。ここまで行くと「いつか欲しい」じゃなくて「絶対無理」ってなるよね。ロレックスは相変わらず混み混み。とはいえ、入口付近にあるスポーツモデルのケースに密集しているだけだけど。売れ線はサブマリーナとGMTらしい。店頭に置いているの見たことないけど笑。しかし、ロレックスも高くなったなぁ。帰りにルミネにある「えん」で鯛だし茶漬けを食べて帰宅。金麦を飲みながらダラダラとテレビを見て0時に就寝。

パテックとランゲ→最高級ブランドのパテックフィリップとランゲアンドゾーネのこと。この他にオーデマピゲとヴァシュロンコンスタンタンを加えて"雲上4大ブランド"と呼ばれる。

■5月12日(木)

21時仕事終了。今日は疲れた。高級時計を買うお客様は大きく分けて「買いにきた」「見にきた」「話しにきた」の3種類に分けられる。買いタイプは大歓迎、見にタイプは見込み客なのでこれも大歓迎、厄介なのは話しに来たタイプ。今日は見事に捕まり2時間くらい自慢話を聞かされた。今回は「過去俺が持っていた高い品を聞きたいだろ?」タイプ。時計に始まり、宝石、車、家、はては別荘まで過去に購入した品々についてレクチャーされた。「コレ見せて」って言われた時、危険だと思ったんだよなぁ。大概、このタイプは自分が過去に持っていた時計と現行の時計の違いについて話し始めるのが特徴なんだよね。結局、購入はなし。明日は休みだし、久しぶりに銭湯でも行こうかな。

購入した品々→だいたい手放していることが多い

■5月13日(金)

12時に起きる。朝食代が浮く、体力が回復する、時間が潰せる、明らかに昼起きは三文の得などと無駄に思う。今日も特にすることがないので、時計を見に中野ブロードウェイに行く。こういう時、彼女いたらなぁってしみじみ思う。ま、きっと休み合わないと思うけど。中野ブロードウェイに来たらとりあえず、1Fの大黒屋に直行。時計屋激戦区にあるだけあって、ここの大黒屋は結構ちゃんと揃えている。16520のブラウンアイとかレア系もあった。その後は3Fに行ってかめ吉、ジャックロードを見る。相変わらず凄い品揃え。でも外国人が減った気がする。ウチの店も爆買いが大分減ったもんな。もちろん買えるわけでもなく、ダラダラと時計を見てブロードウェイを後にする。夜は、近くのスーパーで売っていた刺し身を買い金麦と焼酎に合わせる。YOUTUBEで動画を見ていたら0時近かったので就寝。

中野ブロードウェイ→基本的には「まんだらけ」と同義に語られる

■5月14日(土)

今日は、取り置きをしていたお客様が来店。無事にお買い上げいただいて良かった。今回は70万円ほどの商品だったけど、この価格帯の時計を売るのが一番難しいと思う。競合ブランドがひしめき合っているし、初めて高級時計を買うお客様も多いので取り置きしてもいざって時に躊躇ったりドタキャンしたりするんだよね。まぁ、もし自分がお客様の立場だったらかなり迷うと思うからしょうがないけど。夜、店長に「来月からこのブランドも担当しろ」と言われてカタログや資料をドサって渡された。 

こ、このブランドは、、、「リシャール・ミル」!数々のセレブを魅了する反面、富豪が妻に見せたら「G-SHOCKみたい」と言われたという難しい超級ブランド。最低でもウン百万だから月に1本売るのも難しそうかな。とりあえず、家に帰って焼酎を飲みながらパラパラとカタログをめくる。

リシャール・ミル→一般人にはまったく関係のない超ド級時計ブランド。40歳オーバーの成功者達にやたらに人気がある。

「G-SHOCKみたい」→とか言いつつ、モノの価値はしっかりと認識している。ちなみに富豪のお嫁さんは、思った事をすぐ口にする純粋なタイプが多い。

■5月15日(日)

昨日、リシャールの勉強してたから寝不足気味。この日は1万円前後の時計が飛ぶように売れた。高級時計を販売していていつも思うのは「自分はいつになったら販売している高級時計を買えるのか」ってこと。自分の年収以上の時計を買っていくお客様を見ると、ぼんやりとだけど不安になることがある。なんとかやりくりしたけど予算が作れず諦める人や、5年ローンで買っていく人、遊休資産でポンと買っていく人。十人十色だけど自分はどうやって時計を買うのかなぁって将来の自分をお客様に重ねることがあるんだよね。買えるのか買えないのかわからないけど、目標はちゃんとあった方がいいから今のうちに欲しい時計を探したい。

みたいな話を先輩と帰りながらしたら、「ロレックスにしとけ」って言われた。
・・・あのー、ウチ扱ってないんですけど。

ロレックスにしとけ→リセールバリューなどを考えると辿り着くのがロレックスというのが業界ジレンマ

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> この日記はフィクションであり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。

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