フルラジャパン 倉田浩美 代表取締役社長
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【インタビュー】初の日本人社長に聞く"フルラ流"売れるバッグの背景

フルラジャパン 倉田浩美 代表取締役社長
フルラジャパン 倉田浩美 代表取締役社長
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 7年連続で売上高が2ケタ増のバッグブランド「フルラ (FURLA)」。特に日本は本国イタリアを上回る規模に拡大している。成長を牽引しているのは、フルラジャパン初の日本人社長に就任した倉田浩美氏。売れるバッグの背景を聞いた。

 

本国イタリアを凌ぐ日本市場

ーフルラの2017年度の売上は650億円と、創業以来過去最高を更新しています。本国イタリアよりも日本の方が売れていますね。

 日本の売上はフルラ全体の約4分の1を占めていますので日本市場はとても重要視されています。また、直営の海外展開は1992年に開始した日本が初めてということもあって、思い入れのあるマーケットなんです。

ーメインの客層は?

 20代から40代が中心です。20代の気分に合った遊び心のある商品もあれば、母親世代が好むベーシックなものも揃えているので、親子2世代で来店されるケースも見られます。

2018-19年秋冬ウィメンズコレクション

ー幅広く支持されている理由をどのように分析していますか?

 イタリアのブランドらしいクラフトマンシップやイタリアンレザーの上質さに加えて、遊び心のあるデザインやカラーバリエーションも豊富です。それでいて、ブランド自体の主張が強くない。その上品さが、日本人女性に支持していただいている理由の一つかと思います。

 もう一つは、年代だけではなく職業やシーンに対する柔軟性です。フルラは第一次世界大戦後、女性の社会進出が始まった頃に誕生したブランドで、働く女性の様々なライフスタイルシーンを彩りたいというブランドのDNAが商品にも込められています。ドラマで使っていただくことも多いですね。

ー価格帯もポイントでしょうか。

 バッグは3万円台から展開しています。近年のファッションに対する消費者の価値観が変わりつつありますが、品質の良いイタリアのクラフトマンシップを手が届く価格帯で提供するラグジュアリーブランドという点で、価値を見出してもらえているのではないでしょうか。

メトロポリス

ーミニバッグのブームもあって「メトロポリス(METROPOLIS)」のシリーズを目にする機会が多くなっています。

 日本企画のカスタマイズモデルも人気があります。我々が本国側に提案したのですが、9ヶ月という短期間で商品化されました。ジャパンチームを信頼し理解してくれているからこそ実現できたことだと感じますね。仮に100個リクエストしたとしても、"NO"と言われることはほとんどないんです。我々がおそらく1番自由度の高いブランドかもしれません。

ーメンズの売上はいかがですか?

 ウィメンズのイメージが強いのですがメンズも伸びてきていて、さらに強化していきたいと考えています。日本人男性の好みはイタリアとは少し異なるので、ハンドルの長さやマチの深さなど微調整を依頼することもありますが、本国側は細かい要望もよく聞いてくれていますね。

2018−19年秋冬メンズコレクション
 
 

初の日本人社長が変えたこと

ー改めてフルラジャパンの社長に就任した経緯を教えてください。

 ファッション業界では20年以上経験を積んできて、フルラの前職ではマーケティングの統括を12年間担当していました。マーケティングは心がワクワクする大好きな仕事でこのままキャリアを築いていくのも良かったのですが「次に学ぶことってなんだろう」と考えるようになって。4年ほど迷う時期が続く中で、人を成長させていくことが自分の喜びだと気付き、社長業であればそれをダイレクトに実現できると思うようになりました。それで先に退職を決め、フルラから頂いたお話を受けた形です。

ーそれ以前のジャパントップはイタリア人でしたね。

 社員からは、以前よりも話しやすくなったと耳にしています。自分でも、スタッフに歩み寄るように意識しています。いま全国に91店舗ありますが、半年に1度は「ロードショー」と称して全ての店舗に必ず訪れ、トレーニングや会社の方向性などをアップデートしています。スタッフの皆さんがとても喜んでくれ、中にはその日の私の服を覚えていてくれる方もいるので、被らないよう服選びが大変で(笑)。

ー着任してから売上に大きく貢献しています。

 2017年度で7年連続2桁成長なので以前から伸びてはいますが、就任前の2013年度と比べると倍以上になっています。

ー成長の要因や戦略は?

 「ストア」「プロダクト」「マーケティング」の3つのバランスを重要視しています。「ストア」では正社員化制度や、子育てワークタイムシフト制度を導入したほか、トレーニングを強化しました。「プロダクト」の面では日本のニーズを本国に伝えるようにしており、カスタマイズメトロポリスをはじめ日本企画の商品が増えています。「マーケティング」は私が入った翌年から予算を倍にして人員も増強しました。この3点を強化した結果だと思っています。

ー新たな制度の反響はありますか?

 特に子育てワークタイムシフト制度は好評ですね。本当にフルラのことが好きで、子どもが生まれても働きたいという方が多いので、産休明けのスタッフからは感謝の声をいただきます。夏休み制度も見直して、長期休暇の取得率が翌月一気に7割ほど増えました。ありがたいことに離職率は業界平均よりも低水準です。もっと幸福度が増していくように、より働きやすく成長しやすいよう支援をしていきたいと考えています。

ー社会的には、仕事を続ける上で家庭との両立に悩む女性が少なくありません。

 家族の存在があってこその自分自身ですよね。一方で仕事は、家族と切り離すことができるからこそ、自分を100%表現できる場。どういう人生を歩みたいかを1人1人が表現できるいいステージなんじゃないかなと思います。

 

 

"お茶汲み"から社長になるまで

ー社長業は初めてとのことですが、キャリアのスタートは?

 短大の卒業当時はバブルで簡単に就職できるかと思ったら、なかなか決まらず(笑)。なんとか電機メーカーに入社しましたが、お茶汲みをしながら1週間経った時には「一生これは無理だ」と思ってしまって。2年勤めてお金を貯めて、語学留学としてアメリカに行きました。ホストファミリーも決まっていない状態で入国したんですが、空港で別の日本人の子を待っていたホストファミリーに勘違いで話しかけられて、偶然ですがその子がキャンセルになったようで「代わりに来る?」とお世話になったんです。1年間の予定でしたが、結局アメリカに10年も滞在しました。大学にも行ってビジネスと会計学を学び、現地では会計事務所で働きました。

ーファッション業界に興味を持ったきっかけは?

 その会計事務所がコンサルと会計を包括的に行っていて、日本のマーケットに関するプロジェクトに参加したことから、6年ほどファッションに特化したコンサルティングに取り組んだのが最初ですね。某アメリカスポーツブランドや免税店などがクライアントでした。帰国後はギャップ ジャパンやコーチ・ジャパンで働きました。

ーキャリアアップに壁はありましたか?

 今思い返せばクビになりかけたことが2回ありました(笑)。上司にチャレンジングなことを1年間近く言われ続けた時も大変でしたね。でもポジティブな性格で「ピンチはチャンス」が座右の銘なので、チャレンジがあるのは成長させてもらう機会だと、前向きに捉えていました。

ー働く女性に何かアドバイスがあれば。

 「こうあらなければいけない」と縛られる時期が私自身にあったように、みなさんにもあると思います。でもそれを全て取っ払い、自分らしく一番楽しいことを突き詰めていくと、理想とするキャリアに繋がっていくのではないでしょうか。人から言われることは真摯に受け止めつつも、楽しいことを考えることで夢に近付くと信じています。

ー倉田社長にとって「仕事」とは?

 私の生き方の1つですね。たかが仕事、されど仕事。自分自身のあり方を反映するのが仕事だと思っています。

■FURLA:公式サイト

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