落合陽一と鈴木えみ
Image by: FASHIONSNAP.COM

Fashion インタビュー・対談

鈴木えみ×落合陽一、異色の2人が語るファッションと東京と"光のタイムマシン"

落合陽一と鈴木えみ
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 「ラウタシー(Lautashi)」デザイナーの鈴木えみと、メディアアーティストの落合陽一。異なる業界で活躍する2人が、Amazon Fashionが実施するプログラム"AT TOKYO"でタッグを組む。ファッションウィーク4日目の10月18日、「ラウタシー」は落合氏による演出のもとインスタレーション形式で2019年春夏コレクションを発表する予定だ。異色とも言える2人が共に作り上げるものとは?

 

ー 異業種のお2人ですが、なぜコラボレーションすることになったのでしょうか。

鈴木:同じ美容室で髪を切っていて、美容師さん経由で友人になったんです。最初に食事してから一ヶ月も経たないうちにラウタシーがAT TOKYOに参加することが決まって、落合さんと一緒に仕事してみたいなと思っていたのですぐにオファーしました。付き合い自体はまだ半年くらいですね。

ー 落合さんのラウタシーに対する印象は?

落合:遊び心のあるデザインなんだけど、テクスチャーは割と尖っているものが多くて面白い。あと鈴木さんは素材や着た時のシルエットへのこだわりがすごく強いなと。そこが良いんじゃないかな。

ー ラウタシーの新作発表は初めての形式になるかと思います。なぜランウェイショーではなくインスタレーションで、一般参加形式にしたのでしょうか。

鈴木:ラウタシーは日常着としてのファッションを提案しているので、AT TOKYOの参加が決まった時にもショーのイメージが湧かなくて。日常の中にある服としての見せ方ができたら。それと最近は一般参加のファッションイベントが増えている一方で、ファッションショーはまだまだ関係者向けのものがほとんどですよね。もっと色々な人が体験できる、オープンなものだったら良いのにと思っていたんです。

落合:服って、朝の光と昼の光、それから夜も見え方が違ってくるじゃないですか。夕日の中で綺麗に見える服もあれば、朝日の中で映える服もあるはず。それなのに、一つの固定された演出の中をモデルが歩くだけでは感じ取れないことってたくさんあると思うんです。例えば照明を変えてみるとか、演出でもっとできることはあるんじゃないかなとは思っていました。

ー では今回はどのような演出になるのでしょう。

落合:街角で僕が撮影した映像を照明として使います。スクリーンの前をモデルが歩く演出はよくありますが、映像装置をバラバラにして色々な所にはめてみようというのが今回のインスタレーションでの試みです。映像が照明代わりなので、街角と同じ光に当たった状態で服を見ることができる。あと、個人的な裏テーマとしては「工業社会の持っているテクスチャーをどう生かすのか」というのがあります。

ー 工業社会の持っているテクスチャーとは?

落合:例えば表参道は雑踏ですが、日本的な美しさがある。それはいわゆる京都的な美ではなく、工業社会のなかの、木漏れ日の美しさだったり、何気ない朝日の綺麗さだったり。一緒に食事をした時に、鈴木さんが「曇り空が好き」と話していたのが興味深かったんです。それは東京のような工業社会で育ってきた鈴木さんのバックグラウンドが関係しているのかなと考えていて。そういった東京の日常的な美しさを、光を使ってどう演出していくかがテーマのひとつなんです。

鈴木:落合さんには「光のタイムマシンを作って欲しい」と一番最初にオファーしたときにお願いしたんですね。日常に溢れる色々な光を会場内に再現して、その中で生身の人間が服を着ている姿を見せられたら良いなと思っています。

ー 落合さんはテクノロジーの進化によって、ファッションの見せ方や売り方はどうなっていくと思いますか?

落合:例えばZOZOスーツはジーンズやTシャツを作るのにはとても良いですが、オートクチュールを作るのにはまだ足りないのではないか。本人のキャラクターや表現したいものを、まだ汲み取ることはできていないと思うんです。服の感性はどこで養われるのかというと、これまでは雑誌とかメディアを通じたものだった。それがインスタレーションへの参加だったり、ブランドが持つ世界観を体験することになっていくのではと思います。

 少し前にエルメスが開催していた「彼女と。」展に行ったんですが、まさにそういうこと。来場者があの光景に入ってストーリーを体感して、そこにあるアイテムが美しいと思うこととか、関わり方が変わってきています。ブランドの服を着たモデルが歩くという属人的なことではなくなり、それよりもっと広い世界観の関係性をブランドと持ち、自分だったらこの世界観をどう取り入れて行こうかな?という考えになる。コンタクトポイントが変わって来ると、直販だったりコミュニティだったり、お客さんが直接購入できる仕組みへとビジネスモデルも変わっていくと思っています。

ー 今回のラウタシーの発表は、来場客にとってどのような体験になりそうですか?

落合:わかりやすい日本的要素が入っていなくても、見た人が「日本っぽさ」を感じるとか。例えば寿司や芸者が出てきたら、それは日本ですよね。そうではなく、コンクリ打ち放しの空間に、光だったり工業的なものとファッションがあって、わかりやすい"ジャパン"は入っていないけど「日本的だなぁ」と思うようなもの。鈴木さん自身は日本ぽさを意識したことないと思うけど、ここで生きてきた彼女のエッセンスが込められたラウタシーには、自然とそれがあるというか。それが強みになるような見せ方が良いなと思います。

鈴木:立ち上げから完全に自己資金でやっているので、AT TOKYOがなかったら今回のようにたくさんの人に見ていただける機会はまだまだ先だったと思います。皆さんにインスタレーションを通して体験していただくことで、こういう環境でファッションを見ることができるんだ、とシンプルに味わっていただければ、ラウタシーとしては十分です。

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