ミカゲシン 2021年秋冬コレクション
ミカゲシン 2021年秋冬コレクション
Image by: FASHIONSNAP

Fashion注目コレクション

ミカゲシン、アートや文学モチーフに隠した「非絶対的な価値観」

 哲学的なコンセプトと、建築的なデザインをミックスさせたジェンダーレスなウェアを提案する「ミカゲシン(MIKAGE SHIN)」が3月16日、2021年秋冬コレクションを渋谷ヒカリエで発表した。

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 今季のキーワードは、「ザ プロセス」。人生のどんな瞬間も「未来から見れば、ひとつのプロセスに過ぎない。現実が暗かった時代ほど、人々はカラフルなアートやカルチャーを生んできた」という概念や歴史的背景から、コロナ禍の未曾有の状況をポジティブに変換。プロセスにまつわるアートや文学にヒントを得たモチーフを、コレクションの随所に散りばめた。

■ウマ、アヒル、ラ・フランス。モチーフで表現する"プロセス"の物語

 例えば、哲学者ニーチェの手記をコラージュしたテキスタイルでは、「思考のプロセス」を具現化。目を凝らすと、書き殴ったような文字が重なり合うプリントからは、ニーチェの粗々しい心の状態、日々頭を悩ます繊細な人物像さえ読み取ることができる。

 京都の伝統工芸品・墨流しの技術を用いたマーブル模様のテキスタイルでは、固まりきらない「流動性」を表現。その布をペタっと貼り付けたようなドレスは、着物のような平面的な構図で、和の要素を引き立てる。

 かつては醜いものとして嫌がられたが、現代では高級品のイメージを持つ「ラ・フランス」をスウェットで提案したり、理学書の挿絵だったウマやアヒルの図を、ノーブルなニットベストやワンピースに大胆にあしらったりなど……。まるでヨーロッパの静物画に隠されたメタファー(隠喩)のように、さまざまなモチーフに皮肉とも取れる意味を持たせた。

■現在進行形で変化する、クリエイションの価値観

 「プロセス」のキーワードは、モチーフ以外のデザインにも反映。編みかけのように見えるフリンジ付きのニットドレスや、縫いかけのように見える袖をレースアップしたブラウスなどが登場した。

 さらに、プリーツをあしらったアーカイブのトレンチコートは、オーバーサイズにアップデート。シグニチャーアイテムをさらに進化させることで、日々変化するデザイナー自身のクリエイションのプロセスをも描き出した。(文責:村上杏理)

MIKAGE SHIN 2021年秋冬

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MIKAGE SHIN 2021年秋冬コレクション

村上杏理(Anri Murakami)
記者

大学で日本美術史を専攻し、2009年にINFASパブリケーションズ入社。WWDジャパンやFashion Newsの編集・記者として、東京のファッション・ウイークやセレクトショップ、ファッションビル、販売員取材などを担当。16年からフリーランスで、ファッションを軸にライフスタイル、アートの記事執筆・カタログなどを手掛ける。

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