Image by: FASHIONSNAP

Art

【連載:知ったか脱却NFT入門】〜第2話〜仕組みはレアスニーカーと同じ?NFTアートが高額になる訳

Image by FASHIONSNAP
Image by: FASHIONSNAP

前回までの【知ったか脱却NFT】は……
 ファッション業界にもいよいよNFTの波が!?FASHIONSNAP編集部は、知っていそうで理解していないNFTのあれこれを知るべく、NFTと著作権に詳しい弁護士 永井幸輔さんのもとを訪ねる。そこでわかったのは「NFTはただの『器』で、器だけだと何の価値もない」という衝撃の事実だった……。

 第2回となる今回は、NFTに価値がつく理由を解説。NFTはレアスニーカーと同じ!?

わかりやすい わかりやすく 簡単 NFT 解説 絵でわかる

前回までの【知ったか脱却NFT】
〜第1話〜ファッション業界にもNFTの波?NFTって結局なんなんだ?

ナビゲーター
永井幸輔 (Nagai Kosuke)
弁護士、特定非営利活動法人コモンスフィア(Creative Commons Japan)理事、インターネット会社でブロックチェーン事業を担当

1981年、北海道生まれ。美術・演劇・ファッション・出版・映画・音楽などの文化芸術とインターネットの交錯する領域を中心に、クリエイティブに関わる人々への法務アドバイスを広く提供している。執筆・編集に「ファッションは更新できるのか?会議 人と服と社会のプロセス・イノベーションを夢想する」、「自分ごとの著作権。」、「デザイナーのための著作権と法律講座」などがある。

— ADの後に記事が続きます —

前回、NFTは希少性を生み出す新たな「器」だという話が出ましたが、「希少性」と「価値」って意味が異なるんですか?

 著作権ビジネスの話と比較するとわかりやすいかもしれないですね。「著作権」を簡単に言うとすれば「コピーすることを禁止する権利」です。少し話は遡りますが、著作権が生まれたのは15世紀に発明された印刷機がきっかけ。印刷機の発明は便利になる一方で「誰もがオリジナル作品のコピーを作ることができる」ことにもなりました。つまり、無許可の印刷物が登場することで、作家や出版業者の収益が減りかねない発明でもあったわけです。だからこそ「コピーを禁止する権利」である「著作権」が生まれ、ビジネスの種になりました。

今のネット社会と同じですね。

 印刷機の発明と同様に、インターネットが活用される時代になった現在は、更にコピーが容易になりましたよね。それによって、コピーで無限に増える可能性のあるデジタルデータには価値が付きにくくなりましたそこで登場したのがNFTです。

NFT台頭の背景がわかってきた気がします!NFTが画期的だったのは、インターネット時代である現代に沿った「希少性」を担保する新しい仕組みだったからなんですね。

 NFTが画期的だったのは、複製可能ではあるんですがブロックチェーンを使用することで「コピーできるけど、オリジナルはあくまでこの作品ですよ」と証明できるようになったところ。これによって、作品データの「希少性」が担保されます。すると、もし該当作品のデータを欲しがる人が2人以上いれば、そこに「価格」が付く。

コピー可能なのにも関わらず、ということですね。

 その通りです。コンテンツはこれまで「コピーを禁止する権利」である「著作権」がビジネスの基本でしたしかし、NFTという器が開発されたことで作品の「希少性」に価値を見いだせるビジネスが誕生したんです。投資的なビジネスを可能にしたと言い換えることもできますね。

NFTを使った新しいビジネスとは具体的に?

 今までは「コピー可能」であるために、デジタル作品は収益を上げづらいところがありました。マネタイズがずっと課題だったわけです。でも、NFTに関してはコピー可能でも「希少価値」で収益を得ることができる。これは「新しいビジネスモデルが見つかったのでは!」という気がしています。

NFTの世界では、コピーされることでむしろオリジナルの価値が上がると言うこともあり得るんですか?

 あり得ると思います。コピーされることで、作品を見つけてもらいやすくなりますよね。「フリーミアム」という言葉もありますが作家にとって、作品を知ってもらい、ファンを増やすことは重要なことですよね。欲しがる人が多くいることこそ、NFTの価値の根源です。つまり、コピーが多く世の中に広まれば広まるほど、NFTの価値はどんどん上がるかも知れない。作品がコピーされることと、NFTで作者の収益があがることが連動するとしたら、ちょっと新しいですよね。

NFTの世界において作品がコピーされることは、作者自身の認知拡大と収益2つの側面で有効ということですね。

 そうですね。二次創作(コピー作品)の収益の一部を還元できるようにする代わりに、オリジナル作品の作者が二次創作を積極的に許可するようになるかも知れません。NFTは、そういった著作権のあり方がこれまでと変わり新しい世界が生まれる可能性があるのでは、という意味で注目が集まっています。

なるほど。NFTの発明がすごいことは分かったんですが、NFTという器を使ったクリプトアートが高額で取引されている理由がまだわかりません……

 「今はバブルなのでは?」と言われることもありますよね。結局「値段」の根本は「みんなが欲しいと思うもの」にほかならないので、みんなが今後も「これは価値あるものだ」と考えれば価値はあり続けるし、その反対に下がっていくことも十分ありえます。

やっぱり「流行り物」ではあるんですかね……。

 ただ、クリプトアートのオークションでは最終的に「手に入れることが出来なかった人」が価値や値段をあげているんですよね。

レアスニーカーと同じですね!

 beepleというアーティストのクリプトアートが約75億円で落札されて話題になりましたが、高額の入札をしたうちの1人に仮想通貨「Tron」の創設者 ジャスティン・サンという人物がいました。つまり、業界人が、NFTやブロックチェーンの業界そのものを盛り上げるために価格を釣り上げていたという可能性もあり得ますよね。というのも、NFTマーケットの価格は落ち着きつつあるんです。例えば、今最も売れているNFTの一つ「NBA Top Shot」でも、少しずつ価格が下がってきたという話を聞きます。

Image by NBAの選手のプレー動画を取引・収集できるデジタルカードプラットフォーム「NBA Top Shot」。
Image by NBAの選手のプレー動画を取引・収集できるデジタルカードプラットフォーム「NBA Top Shot」。

そもそもの話なのですが、なぜこんなにもクリプトアートは高額になりやすいんでしょうか?

 それは皆さんが気になる点ですよね。では、スポティファイで誰でも聞ける楽曲が13億円で落札された事例を交えて、説明していきますね。

最新の関連記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング