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【連載:知ったか脱却NFT入門】〜第5話〜「転売」は正義?NFTプラットフォーム選びで気をつけたいこと

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前回までの【知ったか脱却NFT】は……
 ツイッターの創業者であるジャック・ドーシーCEOの最初のツイートが約3億円で落札されたことを例に、NFTが証明していることは「データの希少性」であるということを知ったFASHIONSNAP編集部であった……。

 第5回となる今回は、クリプトアートを取り扱うマーケットプレイスごとの特徴について。出品者になる場合に気にしておくこととは?

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前回までの【知ったか脱却NFT】
〜第4話〜希少性とNFT、ツイッター社CEOジャック・ドーシーを例に

ナビゲーター
永井幸輔 (Nagai Kosuke)
弁護士、特定非営利活動法人コモンスフィア(Creative Commons Japan)理事、インターネット会社でブロックチェーン事業を担当

1981年、北海道生まれ。美術・演劇・ファッション・出版・映画・音楽などの文化芸術とインターネットの交錯する領域を中心に、クリエイティブに関わる人々への法務アドバイスを広く提供している。執筆・編集に「ファッションは更新できるのか?会議 人と服と社会のプロセス・イノベーションを夢想する」、「自分ごとの著作権。」、「デザイナーのための著作権と法律講座」などがある。

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「オープンシー(OpenSea)」という名前を1番見聞きしますが、それ以外にも沢山のNFTマーケットがありますよね。それぞれの特徴を教えてください。

 オープンシーはおっしゃる通り1番メジャーなマーケットプレイスだと思います。出品数が多い分雑多ですが、誰でも出品でき、様々なジャンルを横断しているという点が魅力的です。逆に「ニフティ・​ゲートウェイ(Nifty Gateway)」というマーケットプレイスは出品する作品数を絞っています。また、出品者には著名なアーティストも多く、アーティストは事前に審査を通らなければ出品することができない仕組みとなっています。つまり、ニフティ・​ゲートウェイに出品すること自体が、作家にとってのブランディングに繋がるというメリットがあるわけです。ちなみに、約7500万円で落札されたAIロボット「ソフィア」のクリプトアートは、ニフティ・ゲートウェイで取り扱われました。

マーケットプレイスに出品する上で、出品者が知っておいた方がいい部分はありますか?

 「二次販売の収益還元がうけられること」は重要なポイントかもしれません。二次還元とは、作品購入額の数パーセントが作家に還元されるという収益化の仕組み。クリプトアートのマーケットプレイスではよくみかけるルールなんですが、同じマーケットプレイス内での二次販売でしか還元が行われないという弱点があったりします。

同じ作品を複数のマーケットプレイスで販売することができないと言うことですか?

 いいえ、販売することはできます。作品の購入者がどのマーケットプレイスで、どの作品を販売するかは自由です。ただ、作家が収益還元を受けるには、同じプラットフォーム上で二次販売される必要があります。

なんだか作家にとってデメリットのように聞こえます。

 そんなことはありません!むしろメリットです。日本の著作権法には「追及権」がないので、作品が1度売れてしまうと作家には対価が返ってこないことになります。つまり、1度作家の手元を離れたら、たとえどんなに値上がりしても一切自分の収益にならない。それがNFTの場合だと、還元率を作家が定め、転売時にはその還元率分が転売金から戻ってくるという仕組みが実装されています。これを「スマートコントラクト」と読んでいます。

スマートコントラクト?また横文字で難しくなってきました……。

 現実世界で転売が悪だとされているのは、作家に収益がないのに元値より高く売買される点ですよね?例え話で説明すると、スマートコントラクトは自動販売機なんです。お金を入れてボタンを押せば、自動的に取引が実行されて缶ジュースが手に入る。今回でいえば、スマートコントラクトをNFTで実装することで作品が二次販売されたときに、どんな価格で転売されても自分の決めた還元率分は収益として自動的に手元に戻ってくるという仕組みです。つまり、法律では出来なかったことをIT技術の力で解決しているすごい機能なんです。

なるほど!NFTの世界において、「転売」は作家が正当に収益を得るための機能になっているんですね。

 その通りです!今の課題は、それでもスマートコントラクトに限界がある、という点。NFTマーケットプレイスの間では、このスマートコントラクトの互換性がないため先ほど話ししたとおり、マーケットプレイスを変えてしまうと収益還元が機能しなくなるんです。何が起こるかというと、作家としては同じマーケットプレイスで転売して欲しいけど、還元金を払いたくない転売人は、違うマーケットプレイスで販売することが出来てしまう。なので作家としては、ずっと同じところで買売してもらえそうなマーケットプレイスを選ぶことが重要になるかも知れませんね。

法律がないから縛りようがないんですね。

 そうですね。個人的には、法律的なルールと、ITで実現できる仕組みの両方がとても大事だな、と思っています。例えば「作家の二次販売における収益還元」を法律化している国は、IT技術を駆使しなくても済むわけです。でも現状そんな法律のない日本では、法律じゃない別の方法で作家の収益を守るしかないわけです。

個人ごとに振り分けられたコードでもある「ブロックチェーン」というIT技術が今回は一役買ったってことですね。

 正確に言うならば「スマートコントラクトを使うことができる『ブロックチェーン』というIT技術が今回は一役買った」ということです。重複しますが、NFTが凄かった点の一つは「法律で出来ないことを技術でやってのけた」という点です。アーティストやクリエイター、デザイナーにとっては有利に使える武器が増えたんですけど、一方でまだまだ限界がある。そこが今後の課題ですね。

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