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Art知ったか脱却NFT入門

【連載:知ったか脱却NFT入門】〜第3話〜スポティファイ配信済み楽曲が13億円で落札された理由とは

前回までの【知ったか脱却NFT】は……
 コピーされながらもオリジナル作品の価値が落ちない仕組みこそがNFTの評価だと知ったFASHIONSNAP編集部。ブームという見立てもありながらもその無限大の可能性に触れた我々だった……。

 第3回となる今回は、NFTにまつわる著作権と所有権の話。クリプトアートが高額化する理由は「希少性」と所有欲?

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前回までの【知ったか脱却NFT】
〜第2話〜仕組みはレアスニーカーと同じ?NFTアートが高額になる訳

永井幸輔 (Nagai Kosuke)
弁護士、株式会社メルカリNFT事業開発マネージャー、特定非営利活動法人コモンスフィア(Creative Commons Japan)理事、学習院女子大学大学院講師

1981年、北海道生まれ。美術・演劇・ファッション・出版・映画・音楽などの文化芸術とインターネットの交錯する領域を中心に、クリエイティブに関わる人々への法務アドバイスを広く提供している。執筆・編集に「ファッションは更新できるのか?会議 人と服と社会のプロセス・イノベーションを夢想する」、「自分ごとの著作権。」、「デザイナーのための著作権と法律講座」などがある。

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クリプトアート(NFTを使用したアート作品)になり得るものと、なり得ないものってあるんですか?

 「アート」にもたくさん種類がありますが、現状は「データ化できるもの」であればNFTとして取り扱うことが出来ます。画像や映像作品の数が多いですが、音楽や小説などでもNFTがリリースされています。

結構幅広いですね。

 デジタル表現できるもの、言ってしまえば「デジタル化できてしまえば何でもクリプトアートとして成り立つ」というわけです。

だとすると、インスタレーション作品や、建築物など、物理的な空間に重要な要素があるものは難しそうですね。

 そうですね。ただ、建築物の3Dデータをクリプトアートにすることは出来そうです。

音楽や文学がクリプトアートとして成り立っていると言うことですが、音楽だとスポティファイ(Spotify)、文学ではキンドル(Kindle)のようなストリーミングサービスがありますよね。作品がデジタル化されているプラットフォームは今やメジャーですけど、そことの違いはどこにあるんでしょうか?

 そこは皆さん考えることですよね。1つ、ケースとして分かりやすかった話をします。先日、電子音楽アーティスト「3LAU」ことジャスティン・ブラウが出品したNFT作品が約13億円で落札されました。実はこの作品、2018年に3LAU自身が発売したアルバムなんです。

つまり、ストリーミングサービスで今すぐ聴ける楽曲に13億の価値がついた、といこうことですね。

 その通りです。ここで重要になってくるのは前回の著作権の話。改めて著作権とNFTの関係性を説明すると、NFTを使った作品をコピーすることはいくらでも出来ますが、データに希少性が生まれたことで著作権とは別の価値が生まれています。あえて言うなら、所有権的な価値を求めている人がいるということですね。

「作品を所有したい」という人にとっては「そこに希少性がある」ということこそが価値の源泉なんですね。

 そうですね。今の音楽の話で例えると、ストリーミングサービスは「コピー出来るオリジナル作品」から生まれた「コピー作品」を聴ける世界のお話。NFTが取り扱っているものは、それとはまた別の世界のお話です。まり、「著作権(ストリーミングサービスの世界)」と「所有権(NFTの世界)」は別の価値観を軸にしているということです「希少性」があることで、価値が生まれているのがクリプトアートと考えると分かりやすいかもしれませんね。

著作権と所有権が別の価値観を軸にしていると言うのはわかりやすいです!NFTは所有権という価値観に根差しているんですね。

 NFTユーザーの中には、NFTを買った人だけがアクセスできる仕組みを求めている人もいます。今はその作品を持つ人だけの「限定性」が十分に実装されていませんが、今後は「買った人だけがアクセスできる」みたいなクリプトアートも一般的になるかもしれませんね。

購入者しかアクセス出来ないデジタル上のアート……。それはもはやフィジカル世界にある絵画と変わらないですね。ちなみに、クリプトアートとしてNFTに出品した作品を、フィジカル作品化して販売することは可能なんですか?

 可能です。先ほども「所有権と著作権は別の話」と説明しましたが、アーティストは著作権を行使して複製し、別の作品を作ることができます。例えば村上隆さんは、クリプトアートを販売しつつも、著作権をアーティストのコントロール下に置くことで「クリプトアートを販売した後に、同じ作品をフィジカルでも売る」と宣言していました。

村上隆

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ちなみに、所有権を放棄したくなった時はどうすればいいんでしょうか?絵画は物理的に捨てることが「所有権の放棄」だと思うのですが。

 「バーンする」「トークンを燃やす」という機能があります。NFTにおける「保有」とは、管理しているウォレットの中に作品がある状態のことを指しますが、これをバーンする、つまり消滅させてしまうんですね。ただ、実は今、簡単にバーンできるNFTはかなり限られていて、いつでも使える方法ではないようです。また、NFTを、他の人のウォレットに勝手に送ることもできるんですよね。つまり、誰も利用していないウォレットにNFTを送って、自分ではもう触れない状態にしてしまうことも可能だということ。ただ、自分の管理下ではない状態にすることはできるけど、それでが法的に所有権を失ったかと言うと悩ましいところで、法的にどう判断されるのかは、これからの話ですね。ちなみに誰かに無料であげることも出来ますよ。

クリプトアートは「希少性」があることで価値が生まれているものと理解したんですが、具体的に希少性ってどのように見出されているんですか?

 それはですね………

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