デイビッド・アレマン
Image by: FASHIONSNAP.COM

Fashion インタビュー・対談

シューズ作りのノウハウゼロから成長率1位のランニングブランドに、"シューズ界のアップル"「On」の魅力とは?

デイビッド・アレマン
Image by: FASHIONSNAP.COM

 スイス、アメリカ、日本のランニング市場で成長率1位を獲得したスイス発のブランド「オン(On)」。2010年の設立から約9年で世界50ヶ国、6,000店舗以上でアイテムを展開しており、ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が着用するなどファッション業界でも注目を集めている。シューズ製作の経験がなかったという創業メンバーたちは、オンをどのように成長させてきたのか。ブランド初のスニーカー「クラウドハイエッジ(Cloud Hi Edge)」を発表するために来日した創業者の一人デイビッド・アレマンに話を聞いた。

— ADの後に記事が続きます —

元トライアスロン選手たちが作るオンの魅力

—オンは、2010年に「ランニングを楽しくする」ことを目指すブランドとして設立。どのような経緯でスタートしたんでしょうか?

 私とキャスパー・コペッティ、元トライアスロン選手のオリヴィエ・ベルンハルドのスイス人3人で立ち上げました。3人ともランニングシューズを作った経験はなかったんですが、ただ新しいものを作りたいという気持ちは持っていました。最初に動き出したのは、オリヴィエです。彼はスイスでも名だたるアスリートの一人で、デュアスロンで3度世界チャンピオンになっていますし、アイアンマンレースでワールドチャンピオンにもなっています。ある日、彼が走る上で「こういうものが欲しい」というシューズのプロトタイプを作ってきました。早速私とキャスパーが履いて走ってみたんですが、すぐに壊れてしまった。でも、今までにない感触の履き心地で「ここから何かが始まる」という予感があったんです。結果、このプロトタイプがブランド立ち上げのきっかけとなりました。

—ブランド名の由来は?

 「オンのシューズを履くと自分のスイッチが入る」という想いを込めて命名しました。ロゴもスイッチをイメージしています。

—3人ともシューズ製作の経験がなかったとのことですが、何から着手したのでしょうか?

 今もそうですが、プロトタイプを作って、試しての繰り返しです。同時にビジネスについて学ばなければいけなかったですし、工場を見て回ったり、リテーラーたちとの関係作りなどもしていました。でも、今では経験がなかったことが幸いだったと思っているんです。2010年頃のランニングシューズ業界は、色々なテクノロジーが生み出され、既にあるものから派生したアイデアでアイテムを作っていた。我々は経験がなかったからこそ白紙に近い状態で、既成概念にとらわれずに進んでこれたのだと思っています。

—素人だったからこその強みがあったと。

 そうです。もう一つ我々の強みとしては、やはりオリヴィエの存在です。彼は体の動きに対して、しっかりと言語化して説明することができるんです。身体についての知識があるからこそ、本当に必要とされる機能性を追求することができているんだと思っています。

—9年間で急成長しています、要因はなんだと思いますか?

 昔は、製品のことをあまり知らなくてもブランドに安心感を感じれば物を買う時代だったと思います。それがデジタルの時代に変わり、今はデバイス上ですぐ商品に対する何千ものレビューを見ることができます。実際に体験したユーザーの生の声を誰でも得られるので、今まで以上にプロダクトがいかに優れているかが重要になっている。そのため我々は、マーケティングよりも、素晴らしいシューズを作るということに重点を置いてきました。マーケティング戦略に重きを置かなかったことが、逆に奏功して時代にマッチしたと言えますね。

—マーケティング無視でもののクオリティを高めたんですね。

 ただ、我々が唯一注力したマーケティング戦略があります。新しいブランドはまず、TV広告などプロモーションを駆使して知名度を上げることに注力しますが、我々は別のことに集中しました。それは非常にシンプルなもので、実際に製品を使ってもらってファンを増やすということです。そのためにイベントの開催やSNSでの交流など、ストーリーテリングを中心に行いました。オンを代表する「クラウド(Cloud)」は、ユーザーの方の「まるで雲の上を走ってるみたい」という意見から名前をつけたんですが、交流を深めることでファンの方の想いを汲みあげることもできますからね。あとイベントをやることには他にもプラスの効果があるんです。昨年はリテーラーやファンの方達と1年間で約500回イベントを行いたくさん走ったので、私は凄く健康になりましたよ(笑)。

次のページは、「シューズ界のアップル」とも呼ばれるオンのデザイン哲学や初の"スニーカー"について

最新の関連記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング