プロデューサーの内藤結葉さんとディレクターの山内健太郎さん
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Fashion フォーカス

人気企画「パリコレ学」はどう生まれた?キーマンたちに聞く裏話<2.ディレクター:山内健太郎&プロデューサー:内藤結葉>

講師へは「注意とアドバイスを半々に」

ー最初と今回では苦労も違った?

内藤:最初は本当に苦戦しましたね。「バラエティだけど本気でパリコレを目指しています!」と番組の趣旨から説明しないといけなかったので。第2シーズンでは初めてオファーする講師の方にも「知ってる」「見てる」と言って頂けたりと、第1シーズンと比べて確実にオファーしやすくなりました。それこそファッション業界内での視聴率はすごいんじゃないかなと思えるほどに(笑)。だからこそ、中途半端なものは作りたくないという気持ちで常にいました。

ー番組のターニングポイントは?

内藤:やはり、冨永愛さんが出演してくださってから全てが変わったと思います。

山内:確かにそうやね。

ー口説き落としたのは内藤さんだったんですか?

内藤:私を含めた複数人で何度も足を運んで説明に行きました。

山内:番組のトップである総合演出や普段打ち合わせに行かないメンバーも総出でお邪魔しました。こればかりは気持ちを伝えて理解してもらうしかない、と思っていたので。

内藤:冨永さんは「ファッションは教わるものじゃなくて、見たり感覚で覚えて練習するもの」という考えがあって、色々悩んでいらしたんですけど、最後は「本気でパリを目指す子達にその感覚を見せてあげましょう」ということで出演を了承してくださったんです。

©️MBS

ー本気度が伝わったということですね。実際、一度のみならず、2シーズン通して出演されました。

内藤:冨永さんは指導する講師としてではなく、動き方やポージングを見て学んでほしいという思いを持っていたので、学院生のお手本として出演して頂きました。第1シーズンはスチール撮影、第2シーズンはウォーキングのレッスンでしたね。

山内:1期生の小野寺がパリに行ったとき、彼女には内緒で冨永さんがレストランで待機しているというサプライズを仕掛けたんです。そこで建物の構造上、どうしても冨永さんに小野寺の死角に隠れてもらわないといけない瞬間があって「すいません、15秒だけ壁にへばりついてもらってもいいですか」とお願いして。その時は「あの冨永愛に何をさせているんだ俺は」と思いましたけど(笑)、でもそういったテレビ的な演出にも「私にできること、伝えられることがあれば」という感じでフレキシブルに対応してくださいました。

ーアンミカさんはじめ、講師陣が放つ辛辣な一言が予告に使われていました。番組の名物だと思うのですが、これは演出だったんですか?

山内:基本的にはアンミカさんと講師の方に任せています。オンエアでは注意されるシーンが多いですが、講師の方には学院生と話すときに注意とアドバイスを半々にしてほしいということはずっと伝えていました。彼女たちが叱られるだけじゃなくその場で学んでほしいから、同じくらいアドバイスをたっぷりしてほしい、と。

「本気だからぶつかった」

ー期間にしたら1年以上、振り返っていかがでしたか?

山内:僕たち2人は最初から最後までほぼすべてのロケに同行して、1シーズンではパリにも行ってこの1年どっぷり「パリコレ学」に浸かりました。ディレクターをやっていてファッションメディアの方からインタビュー受けると思わなかったですから。

内藤:山内さんおしゃれになりましたもんね(笑)。

山内:完全にいじってるやん(笑)。

内藤:冗談抜きに、この1年が私のTV制作キャリアにおいて一番濃かったのは間違いないです。本気だからこそ、ぶつかることも多かったです。ディレクターともプロデューサーとも作家とも学院生、アンミカさんや講師の方とも。アンミカさんとは撮影内容に関して直接連絡を取り合う関係ですが、そこまで演者さんと親しく、何回も打ち合わせして、熱く関わって準備することなんてこれまでなかったので。

山内:それぞれが本気だったってことだと思います。大変なことも多かったですけど、やっぱり学院生たちは人生かけていますから。その子達の人生をかけた半年間に携わるっていうことは、責任も感じますし、テレビマンとしてもすごく貴重な経験でした。学院生たちにはどんな道に進むことになっても、この番組での経験が先の糧になってくれれば良いなと本当に思いますね。僕のことはあんまり良く思っていないと思いますけど(笑)。


ーパリコレはあまり視聴者との接点がある題材ではないと思いますが、なぜ見る側にこれほど刺さったと思いますか?

山内:一般の方にパリコレに出るための知識が必要か、と言われれば必要ないですよね。今のテレビ界では、いかに大勢に見てもらえるかということを考えて、説明をたくさん詰め込んだわかりやすい番組がすごく多い。でもこれだけテーマを絞り込んで、いわゆる狭き門を描いた「パリコレ学」が注目を集めるっていうところが、時代の流れと逆行していて面白いなと。講師陣と学院生とのやりとりの中でピンポイントに高いレベルの知識が発信されて、一般の人にとっては"知るはずのない世界"の出来事に「そんなことがあるんだ!」という新鮮な驚きに繋がっていると思うんです。

 学院生たちの成長を追ったドキュメンタリータッチのショーの予想できない展開に加えて、そこに挟みこまれる知識にこれだけ視聴者もスタジオメンバーも食い入って見てくれているんじゃないかな、と。なんならスタジオでは千原ジュニアさんやハライチの澤部さん、中島健人さんら男性陣の方が食いついてますよね。一番「おおっ!」て言っている気がします。

内藤:スタジオ出演者の方々は収録終わりにも「パリに行くの誰だろうね」と話していますしね。私は、学院生があんなに皆の前で色々言われながら感情をさらけ出し、順位まで付けられ、そういうのが刺激的というか、自分にはないところで戦っているっていうのが視聴者に刺さったのかなと考えています。

山内:嘘がバレる時代にどんどんなってきて、上っ面なことをやっていると見透かされるようになってきたのが今のテレビの業界です。若い人たちがYouTubeを見るのは、単にスマホだからというわけでなく、出ている人たちのリアリティーを求めているからだと僕は思っていて。パリコレ学ではテレビ的なことをやっているんですけど、一枚めくればYouTuberと一緒というか。テレビにないリアリティーを感じてくれた人が興味を持ってくれたんだと思いますね。

 「合格不合格って事前に決められているんでしょ」とか「出来レースなんでしょ」とよく言われますが、そんなものは一切ないですし、もちろん結果は台本には書かれていない。順位に関してはアンミカさんと講師の方が決めるので僕らも口出ししないんですよ。

10月27日に放送される卒業式の回の様子

ー今回も前回のような展開になるのでしょうか?最終回へ向けて一言。

山内:第1シーズンもそうでしたけど、雰囲気が変わってきて自信がついた人たちっていうのがより目立ち出すというか、大きく動き出すという感じですかね。最後の選考に向けてより混沌としてきて、誰が出てもおかしくない状況です。

内藤:来週パリに出発なんですけど(※取材時はパリコレ前)、昨日合格者はパリまでに身体をもっと引き締めると言ってました。不安からか「他に何か準備できることはありますか?」と聞いてきたり。1期ではパリコレデビューという目標を達成することができたので、かなりプレッシャーを感じているみたいです。彼女も私たちも「第1シーズンを超える」という思いで番組を作っているので、最低限のサポートはしつつも後は本人に頑張ってもらうしかない、と思っています。

(聞き手:今井 祐衣)

■ 人気企画「パリコレ学」はどう生まれた?キーマンたちに聞く裏話
Part 1:放送作家:堀江利幸

■ 第1シーズン「パリコレ学」小野寺南友モデルデビューへの挑戦に密着
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Part 1:キャスティング編
Part 2:ランウェイ編
Part 3:インタビュー編  【小野寺南友アンミカ

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