「プラダ(PRADA)」が、2024年春夏ウィメンズコレクションを発表した。6月のメンズコレクション同様、天井からは大量のスライムが流れ落ち、変則的な時間軸が流れるようなランウェイで、今シーズンミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)が着目したのは服作りの手法やテクニックといった「手仕事」だった。
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「衣服について哲学的に考察したり、ストーリーを提案したり、ということは考えませんでした。今回のコレクションでは、手法やテクニック、価値など、『仕事』に焦点を当てたいと思ったのです」と話すミウッチャ。スライムのベール越しに見えたのは、手作業から生み出された、美しく軽やかな動きのあるルックの数々だった。
ファーストルックではシャツとベルトを通したショートパンツのウールのグレーのセットアップに、スカーフのような布が首と肩を軽やかに包む。縫い付けることさえ難しそうな、実体のないようなほど極薄のオーガンザとガザル織を使ったヘイズ(霞)ドレスは、歩くたびに風をはらみスライムと同様に予想不可能なモーションで空に舞う。それはまるで体から放出されるオーラをまとっているかのようで、ベージュ、ピンク、ホワイト、ペールグリーン、ブルーと淡く儚い不思議な衣は、登場するたびに見る人の目を惹きつけていた。
Image by: PRADA
Image by: PRADA
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同コレクションで「動き」という要素は、フリンジというディテールでも表現。ブラックのワイドスリーブのポプリンシャツに施されたフラワープリントは細かな糸状のフリンジとしてウォーキングに合わせて波を打つ。シャツの多くはショートパンツにインされ、ベルトでウエストマークしたスタイリング。重ね付けされたベルトにはアクセサリーのようなメタリックなチェーンを取り付け、フリンジスカートとして素足が覗くほか、アイレットがあしらわれていたり、刺繍が施された同様のスカートやドレスなども印象的。一方で身体の中で一番動きの出る「髪」は、全モデルヘアバンドで抑制され、より服へのアテンションを集めていたのも興味深かった。
Image by: PRADA
ドレスやニットにデザインされたクリスタルやアイレット、スタッズなどの装飾は手作業で縫い付けられており、控えめな煌びやかさながら、繊細で緻密な手仕事の凄みを静かに伝えている。装飾はレザーやRe-Nylonの大きめのトートバッグとのデザインとも連動。また、マリオ・プラダが 1913年頃にデザインした神話に登場するモチーフの手彫りの留め具が特徴的なバッグも再現された。
Image by: PRADA
Image by: PRADA
Image by: PRADA
ラフ・シモンズが「認識されているアイデア、テクニック、素材を、従来とは異なる形で使い、常識を覆す方法でアプローチしています。方向性を変えたり、推し進めたり。それがプラダのDNAを進化させることにつながっているのです」と語っているように、あたりまえのように"これまでずっとやってきたこと"を、これまでに見たことのない形で表現する。ミウッチャ・プラダとラフ・シモンズ、この2人の手にかかれば、まだまだプラダの進化は止まることがないことを、再認識させられるコレクションとなった。また、ショーの最後には、同コレクションを最後に退任が決まっている、ミウッチャの右腕として20年以上デザインディレクターを務めたファビオ・ザンベルナルディ(Fabio Zambernardi)が2人と共に挨拶し、会場からは惜しみない拍手が送られた。
ショーにはブランドアンバサダーの永野芽郁、TWICEサナ、ボーイズグループENHYPENのほか、エマ・ワトンソン、カイリー・ジェンナー、スカーレット・ヨハンソン、映画監督のウェス・アンダーソンなど豪華なセレブリティが各国から集まった。
TWICEサナ、永野芽郁
Image by: FAHIONSNAP(Photo by Koji Hirano)
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