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Fashion フォーカス

服飾専門学校に聞いた、ファッションの「専門職大学」創設への考え

 55年ぶりに国が定めた新しい大学制度「専門職大学」が、2019年度に創設される。実践的な職業教育を行う新たな高等教育機関として、医療や福祉系を中心とした専門学校が認可申請を進めている。ファッション分野も対象となるが、既存の服飾専門学校はどう対応していくのか。東京と大阪を拠点とする12校に見解を聞いた。

専門職大学とは?

 専門職大学は、専門とする職業分野の知識や技能を実践的に学び、豊かな創造力を育てることを目的としている。対象となるのは、農業、情報、観光、医療・保健、そしてクールジャパン分野(アニメ、ファッション、食、他)など。実習に重点を置き、卒業単位の3〜4割以上が実習科目に充てられている。卒業すると、現在の4年制大学もしくは短期大学と同等の学位として「学士(専門職)」または「短期大学士(専門職)」が与えられる。>>文部科学省の詳細ページ

 

 専門職大学に関して、東京と大阪の主な服飾系専門学校(および大学)に行った調査の結果は以下の通り。

◼︎専門職大学の創設に向けた検討や見解について、12校の回答

1 - 文化学園(文化学園大学、文化服装学院、文化ファッション大学院大学)

 現時点で設立は未定だが検討中。世界的に評価を得ている専門学校として、変える必要性があるのか、また専門職大学では一般教養科目を入れる必要があり、4年間でも足りないと思われるファッションの学びのクオリティを下げてしまうのではないかといった懸念があるため。

2 - 杉野学園 (杉野服飾大学・短期大学、ドレスメーカー学院)
 現時点で設立の予定はないが、関心はあり様子見の状態。

3 - 織田ファッション専門学校
 現在は様子見の状態。専門職大学は未だ曖昧な点が多く、今後さまざまな問題がクリアになった時に、将来を見据えた検討をする可能性もある。

4 - 青山ファッションカレッジ
 現時点では検討していない。

5 - 上田安子服飾専門学校
 現時点では、専門職大学に関する質問について回答できない。

6 - エスモード
 検討したが、専門職大学制度を適用するためには物理的制約が多すぎるため、設立の予定はない。

7 - 東京服飾専門学校
 規模が合わないため検討していない。

8 - 華服飾専門学校
 現時点では検討していない。

9 - バンタンデザイン研究所
 現時点では検討していない。

10 - 目白ファッション&アートカレッジ
 現時点では検討していない。

11 - モード学園
 2019年4月に国際ファッション専門職大学(仮称)を開校予定。東京と大阪、名古屋にキャンパスを構え、ファッションクリエイション学科とファッションビジネス学科を設置する予定。>>公式サイト

12 - 武蔵野ファッションカレッジ
 現時点では検討していない。

モード学園が認可申請

 12校の中で2019年4月に向けて専門職大学の設立を計画しているのは、「モード学園」を運営する日本教育財団のみ。「国際ファッション専門職大学(仮称)」の開校に向けて現在申請をしている段階だ。

 審査を経て認可となれば、日本で唯一のファッション分野の専門職大学となる。東京に「ファッションクリエイション学科」と「ファッションビジネス学科」、大阪と名古屋に「ファッション学科」を設置する予定。9月以降となる認可が下り次第、出願の受付を開始する。

 

条件や制約が合わないという声も

 95年の歴史の中で多くのクリエイターを輩出してきた「文化服装学院」を運営する文化学園は、専門職大学について設立の予定はないものの「検討はしている」という回答。既存の私立大学「文化学園大学」との差別化や、世界的に評価されている学院をあえて変える必要があるのか、また専門職大学のカリキュラムには一般教養科目が含まれるため、専門的な学びのクオリティを下げてしまうのではないか、といったことを懸念しているという。

 「織田ファッション専門学校」を運営する織田学園は、まだ専門職大学の位置付けが不明瞭なため、現在は様子見の状態。しかし今後については、検討していく可能性もあるという。「杉野服飾大学・短期大学」と「ドレスメーカー学院」を運営する杉野学園も関心はあるものの、実際に開設される来年以降、専門職大学がどのように運営されていくかを見ていきたい、という見解。結果として取材した12校のうち7校が「検討していない」もしくは「検討したが設立の予定はない」という回答だった。

 

高まる人材育成の重要性

 開設まで1年を切っている専門職大学だが、現状ではファッション分野の多くの学校が、条件や不明瞭な点が多いことから踏み止まっていることがわかった。教員の確保や、必須科目、増え続ける留学生の受け入れ面でも壁があるようだ。

 専門職大学は、一般的にもまだ理解や認知が高いとは言えない。特定職種の専門性に止まらず高度な実践力を育てる新たな教育機関が、日本の産業の発展に寄与していく日は少し先になりそうだ。しかし少子高齢化に加えめまぐるしく変化している現代社会において、グローバル化やIT技術の進化なども加速している。ファッションに限らずいかなる分野においても、未来を見据えた人材育成の重視性が高まっていることは間違いないだろう。

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