写真左から)mita sneakers 国井栄之、atmos 小島奉文
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Image by: FASHIONSNAP.COM

Fashion スニーカートップセラーに聞く

【スニーカートップセラーに聞く-前編】atmos 小島奉文とmita sneakers 国井栄之が選ぶ今年のベストスニーカー5選

写真左から)mita sneakers 国井栄之、atmos 小島奉文
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 日本を代表するスニーカーショップのキーマンが1年間を振り返る「スニーカートップセラーに聞く」。今年は、アトモス(atmos)のクリエイティブディレクター小島奉文とミタスニーカーズ(mita sneakers)のクリエイティブディレクター国井栄之の2人が、前編と後編の2回にわたり今年のスニーカー事情を振り返る。前編は2人がそれぞれ選んだ今年のベストスニーカー5選を紹介。

■【スニーカートップセラーに聞く-2019- 】
前編:atmos 小島奉文とmita sneakers 国井栄之が選ぶ今年のベストスニーカー5選
後編:atmos 小島奉文とmita sneakers 国井栄之が語る2020年のスニーカー市場

■【スニーカートップセラーに聞く-2018- 】今年のベスト&最多着用は?これからのシューズ事情も

mita sneakers 国井栄之
atmos 小島奉文
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■小島奉文
1981年生まれ 。文化服装学院を卒業後、スニーカー業界へ。atmosクリエイティブディレクターを担当し、数々の別注企画を手掛ける。スニーカーのモノ・コト・ヒトに精通する自他ともに認めるキックスフリーク。

■国井栄之
「mita sneakers」のクリエイティブディレクター。数多くのブランドとのコラボレートモデルや別注モデルのデザインを手掛けるだけでは無く、世界プロジェクトから国内インラインのディレクションまで多岐に渡りスニーカープロジェクトに携わる。

 

FASHIONSNAP.COM(以下、F):日々、膨大な量のスニーカーを見てきたお二人ですが、今年は何足購入したんですか?

国井栄之(以下、ミタスニーカーズ 国井):数えたことないですが、1週間に2〜3足くらい増えているので、単純に計算すると100〜150足くらいだと思います。

小島奉文(以下、アトモス 小島):僕は月10足くらい増えていて、少ない月でも5足くらいは買っています。なので、僕も100足以上はあると思いますね。

F:お二人ともすごい数ですね!では100足以上のコレクションの中から選ばれた2019年のベストスニーカーを見て行きましょう。

 

国井栄之-ナイキ エア フォース 1 ロー レトロ QS ブラック ホワイト

F:こちらは定番アイテムですか?

ミタスニーカーズ 国井:いや、一部の店舗で発売された商品になります。ライニングのボリューム感やディテールが90年代仕様で再現されていて、カラーリングも当時のインラインを彷彿とさせるくらいベーシックで。90年代当時のエア フォース 1を知っている人たちには懐かしく、今のスニーカーヘッズには新鮮に映るアイテムだと思います。

F:現行よりも綿が少し多めに入っているんですね。

ミタスニーカーズ 国井:2007年の25周年以降、正式な商品名には「エア フォース 1 '07」と「'07」が付いているんですが、2007年以前は生産のタイミングや工場のラインによってそれぞれ若干違いがあったんです。2007年以降はそれが統一されながらバリエーションが増えたんですが、2000年代初頭のモデルを復刻する際にはレトロの名を冠してさりげなく作り直しているんですよ。過去のカラーを復刻するだけでなく、'07以前のディテールをきちんと再現させるところも「ナイキ(NIKE)」らしいストーリーテリングだなと思います。このカラーはハイプ的な盛り上がりで翌週にはアイテムが無いというような瞬間的な人気じゃなくて、自称的な人気で気がついたらみんな履いているという感じだったんです。ただこれも今は在庫がないんですけど(笑)。

アトモス 小島:結構人気でしたよね。僕も買いました。僕は当時、ボリュームがあるスニーカーが苦手で、エア フォース 1ではなくダンクを履いていたので、個人的にエア フォース 1ブームは通っていないんですが、ここ2〜3年はよく履きましたね。アッパーもプレミアムレザーだから定番のものよりも良かったです。そういえば、これアウトソール一緒ですよね?なぜか履き心地も違う気がするんですけど。

ミタスニーカーズ 国井:復刻で見た目は当時を再現しながら、コンフォータブルに進化させている場合も多いので、それで履き心地が若干異なるのかも。

アトモス 小島:なるほど。正直、エア フォース 1のトリプルブラックだったり定番のものは自分の足にあまり合わなくて、履いていて違和感を感じることがあるんです。アッパーの革が柔らかめというのもあると思うんですが、これは足入れがすごく良かったです。

F:国井さんはどこが気に入っていますか?

ミタスニーカーズ 国井:定番のトリプルブラックやトリプルホワイトを履いていたら「あえてそういうの履くんだね」という言われ方をして、逆にハイプなスニーカーを履くと「あ、それ話題だよね」と言われてしまう(笑)。これはどっちにも触れないちょうど良いバランスなんです。奇を衒った派手さもなく毎日履けるようなデザインですし、細かいディテールで分かる人には分かる。気がついたらみんなが買っていて、普通に履いているという作られたヒット商品じゃないところが気に入っています。

F:今年は特にエア フォース 1の新作発売が多かったですよね。ホリデーシーズンは特に。

アトモス 小島:ここ数年ホリデーシーズンはエア フォース 1という風潮が根付いていますね。ナイキの作戦通りですが、今年はよく売れました。ウィメンズのエア フォース 1 シャドウ(Air Force 1 Shadow)も人気でしたし。

ミタスニーカーズ 国井:若い世代で、初めてエア フォース 1を履くという人も多かったですね。昔は口うるさい先輩がああでもないこうでもないとスニーカーについて語っていましたが、当時若かった僕らは「そんなの関係ないじゃん」と新しい履き方を模索して、結果スニーカーの歴史は作られてきたと思うんです。だから若い人たちが作るカルチャーには期待していますし、それこそが本当のムーブメントになるんだと信じています。

 

小島奉文-リーニン タイタン ブラック

F:「リーニン(LI-NING)」は3月に開催されたアトモスコン(atmos con)に出展し、日本初上陸したブランドですね。

アトモス 小島:そうです。今年から取り扱いを始めましたが、歴史は長く1990年にスタートして、来年30周年を迎えます。閉鎖的なのであまり他の国の人には知られていないんですが、中国の大手スポーツブランドなんです。

ミタスニーカーズ 国井:昔はバスケットシューズのイメージだったよね。本国だとバドミントンだったり卓球。日本の「アシックス(ASICS)」や「ミズノ(MIZUNO)」みたいな感じで、中国ですごくシェアを獲得しているイメージ。

アトモス 小島:そうですね。ナイキ、「アディダス(adidas)」、リーニン、「アンタ(Anta)」と中国4大スポーツブランドの1つと言われていて、高いシェア率を誇っているようです。

F:リーニンにとっては2回目となる10月のアトモスコンではとても大きなブースを構えていてインパクトがありましたし、今年に入り着用者を街でよく見かけるようになりました。

アトモス 小島:売上も好調でしたよ。僕も昔はクラシックなものばかり履いていて、持っているスニーカーに偏りがあったんですけど、最近は新しいブランドを履くように心がけているんです。その中でもこのモデルが1番気に入りました。

F:小島さんが普段履いているスニーカーとは毛色が違いますね。

アトモス 小島:僕の下駄箱にはなかったタイプのスニーカーですね。スポーツブランドなので機能的には全て計算されて作り込まれていて、中でもアッパーのデザインとソールのデザインが特徴的で。色々なブランドの要素が組み合わさっているといった意見もありますが、18歳から30歳くらいまでのうちのお客様たちは新しいものとして取り入れてくれることが多く、評価も高いです。

ミタスニーカーズ 国井:リーニンは何回か世界に出ようとして、NBA選手をサポートし、グローバル規模に拡大しようとしたタイミングでうちにもオファーを頂いたことがありました。満を持して今回ライフスタイルをスタートし、アトモスをはじめ海外の主要なショップで取り扱うことになったので、これからどうなるか注目しています。これまではざっくり言うとアメリカかヨーロッパの大手ブランドしかなかったんですけど、ここ数年はニッチなカテゴリーに突出した機能を持つブランドにも目が向けられるようになった。そんな中、アジアの中でも1番大きい市場の中国から世界へ挑戦するブランドが出てきたことで、市場の流れが大きく変わりそうな気がしています。

 

国井栄之-ニューバランス CM996 "TOKYO CROSSING" "mita sneakers" MIG

ミタスニーカーズ 国井:これは「ニューバランス(New Balance)」の「996」のライフスタイルモデルとして「CM996」が登場して、秋冬シーズンに6社が抜擢され、6通りの「CM996」を作ったプロジェクトのものです。

F:「ノンネイティブ(nonnative)」「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」「ビームス プラス(BEAMS PLUS)」「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」に、ミタスニーカーズとアトモスが参加していました。これは国井さんがディレクションされたものですね。どのような想いで製作されたんですか?

ミタスニーカーズ 国井:ニューバランスといえばグレーのイメージが強いと思いますが、最初にグレーを使ったのは実は900番台なんです。当時、土や草の上でトレーニングをしていたのが、アスファルトの上を走ることが多くなるからアスファルトとの相性を考えてグレーを使い始めて。当時ランニングシューズは白ベースのものが多くて、グレーのシューズはアバンギャルドだったんですよ。でも今、ニューバランスのグレーのシューズを見たときに、多くの人がクラシックだったりヘリテージと思うはず。なのでニューバランスのグレーのシューズをもう一度アバンギャルドなものに見せたくて、このデザインにしました。

F:交差点をイメージしたんですよね?

ミタスニーカーズ 国井:東京におけるグレーって何だろうと考えたときにコンクリートや道が浮かんで、ストリートとラグジュアリーだったり色々なものが交差している時代ということも踏まえ、交差点をテーマにデザインしようと。渋谷のスクランブル交差点はアイコニックなものだと思いますし、それこそ上野にもどこでも交差点や横断歩道はありますからね。

アトモス 小島:これすごいですね。タンからアッパー、ソールまでラインが引かれていますけど、ぴったりと揃っている。作るのが大変そう。

ミタスニーカーズ 国井:出来上がったものに上からプリントしているわけではなくて、それぞれラインが引かれたパーツを縫い合わせていて。ガチャガチャしているようなデザインですけど、それぞれ別のパーツの線がずれないように細かく計算して作っています。デザイン画を書くのは簡単なんですが、実際に形にするのはすごく大変で。しかもサイズの分だけパターンがあって、工場泣かせなアイテムです(笑)。

アトモス 小島:ですよね(笑)。うちはクレイジーカラーのものを作りましたが、いずれにしても6社それぞれの特色が出ているなと思いました。

ミタスニーカーズ 国井:グローバルプロジェクトで各国の数ショップが同じモデルをデザインするといった企画はよくあるんですけど、同じ日本で発売日が同日というのは結構過酷ですよ。みんな知っている人たちだからそれぞれのデザインを見れるのが楽しかったですけど、プレッシャーもありでドキドキでした(笑)。

 

小島奉文-ナイキ SB エア ジョーダン 1 ロー UNC

アトモス 小島:夏くらいに購入したんですが、出張に持って行ったりと今年1番履いたスニーカーです。色々なスニーカーを履くようになって、ズームフライ(ZOOM FLY)だったり、「ホカ オネオネ(HOKA ONE ONE®)」だったり新しいソールも色々と試しているんですが、柔らかすぎて僕の足には合わないことがあって。これはちょうど良いんですよね。

F:タウンユースで履く場合、クッション性が良すぎると疲れてしまうことがありますよね。

アトモス 小島:ランニングするなら別なんですが、街で履く場合だと硬いソールのほうが僕の場合相性が良いんですよ。先ほどもお伝えしましたが、エア フォース 1が2000年代初頭に流行ったときに、ずっとダンクを履いていて、2003年にダンク SBが発売されてからは、ズームエアのタイプをよく履いていたんです。これもヒール部分にズームエアがあって適度な硬さなので、個人的にはフルレングスエアよりしっくりくる。夏はショーツに合わせてずっとこれを履いていました。

F:今日は第3弾のものを履いていますし、かなりお気に入りなんですね。

アトモス 小島:僕はスケーターじゃないので履くなって怒られそうなんですけど、ダンク SBに比べてつま先の部分が長かったりエリック・コストン(Eric Koston)がこだわって作っているので本当に気に入っています。第1弾のネイビーも買いましたし。

ミタスニーカーズ 国井:僕もファーストのネイビーを買いました。このUNCのカラーはジョーダンの母校のスクールカラーのノースカロライナブルーが使われていて、これもエリック・コストンが製作に関わっています。ジョーダンのストーリーをしっかりと落とし込んでいるところがいいですよね。

アトモス 小島:シュータン裏のこれ知ってますか?「$24.99」と書かれたタグがついているんですよ。当時ワゴンセールで「$24.99」で売られていたという。

ミタスニーカーズ 国井:そうそう。昔、スケートシューズがあまりない時代に、すぐに壊れるからって安いコート系を履くスケーターが多かったんですよね。そういう靴でスケートをやっていたから色々なストーリーが込められているんです。

 

国井栄之-アディダス Campus 80s By Shun Hirose aka Recouture

ミタスニーカーズ 国井:アディダスの「Campus 80s MakerLab」というプロジェクトのもので、リペア職人の広瀬瞬くんがアレンジした「キャンパス 80s」です。彼はリクチュールというお店でソールスワップをやっているんですが、スニーカーにブーツだったり異なる靴のソールをくっつけたものを作っていてインスタグラムでバズったんです。それがアディダスの本国の人の目に止まりこのプロジェクトに抜擢されました。

F:「ホテル コエ トーキョー(hotel koe tokyo)」で行われたトークイベントでは、国井さんも登壇していましたね。

ミタスニーカーズ 国井:はい。イベントでは映像を流したんですけど、彼がドイツでミーティングをして、そのままベトナムの工場へ向かってと、物作りが進んでいく過程を追った動画で。靴を介して色々な人とコミュニケーションを取りながら成長していく姿が映し出されていてすごくよかった。クラフトマンシップを感じましたし、今は渋谷に移転しましたがもともとは中央線の国分寺駅で靴を作っていた人が世界の誰もが知っているスポーツブランドと取り組んでスニーカーを作るというのは価値観や考え方が変わる大きなことだなと、感慨深くて。

F:まさに"スニーカードリーム"。これはキャンパスを組み合わせているんですか?

ミタスニーカーズ 国井:現行で売っている4色のカラーをベースにして、彼なりに今の定番を破壊して再構築したそうです。

アトモス 小島:これすごく興味深いです。外側はミッドソールにまでレザーを巻いているんですね。普通だとやらないですよ。タンの部分とかも面白いですね。

ミタスニーカーズ 国井:無理やり崩している風だけど、確かに片方を上にだして縫えば、タンがずれないから理にかなっているなと思うし。すごくアナログな方法なんだけど、ただ壊してくっつけただけじゃないというのが職人ぽくって良いですよね。

F:小島さんはもともと広瀬さんをご存知でしたか?

アトモス 小島:コンバースにブーツのソールをくっつけたり話題にはなっていたので知ってはいたんですが、名前までは認識していなかったです。面白いことする人がいるなとは思っていたんですが、僕ら小売の立場ではアンオフィシャルにそういうことができないので(笑)。その点アディダスがオフィシャルコラボしたというのは本当にすごいなと思いますね。アディダスの懐の深さを感じます。しかもこれストックエックス(stockX)で売ったんですよね?

ミタスニーカーズ 国井:そう。普通に店舗で売るわけではなくて、オークション形式で販売されたんです。

アトモス 小島:普通に考えるとありえないですよね。アディダスがオフィシャルで二次流通形のECサイトで売るっていう。

ミタスニーカーズ 国井:日本だとメーカー希望小売価格が決められていて、定価から割引いた金額で僕らが仕入れていますが、海外だと店舗が仕入れた金額から計算して売値が決まりますからね。

 

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