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【スニーカートップセラーに聞く】2022年のベストスニーカーとこれからのシューズ事情-mita sneakers 国井栄之-

Video by: FASHIONSNAP

 日本を代表するスニーカーショップのキーマンが1年間を振り返る「スニーカートップセラーに聞く」。2022年も同企画の常連、ミタスニーカーズ(mita sneakers)のクリエイティブディレクター国井栄之さんに今年のベストスニーカー3足と、来年のスニーカー市場について語ってもらいました。

■【スニーカートップセラーに聞く-2022-】

mita sneakers 国井栄之

atmos 小島奉文

■【スニーカートップセラーに聞く-2021-】

mita sneakers 国井栄之

atmos 小島奉文

■【スニーカートップセラーに聞く-2020-】

atmos 小島奉文

mita sneakers 国井栄之

■【スニーカートップセラーに聞く-2019-】

前編:atmos 小島奉文とmita sneakers 国井栄之が選ぶ今年のベストスニーカー5選

後編:atmos 小島奉文とmita sneakers 国井栄之が語る2020年のスニーカー市場

■【スニーカートップセラーに聞く-2018- 】今年のベスト&最多着用は?これからのシューズ事情も

mita sneakers 国井栄之

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■mita sneakers

東京の下町、上野から世界へ向けて独自のスニーカースタイルを提案する「mita sneakers」。下駄や草履を売る日本古来の履物屋「三田商店」としてスタート。創立者「三田耕三郎」の英断で40年以上前から本格的にスニーカーを取り扱い始め、アメ横の老舗スニーカーショップ「スニーカーの三田」として再出発する。現クリエイティブディレクター「国井栄之」の加入後、ショップ名を現在の「mita sneakers」に改名し、当時の日本市場では未知だったコラボレーションや別注を手掛けるようになる。現在ではスポーツブランドからラグジュアリーブランドに至るまで、様々なスニーカーのグローバルプロジェクトに参画し、コラボレーションモデルや別注モデルは勿論、インラインモデルのディレクションまで多岐に渡ってスニーカープロジェクトに携わり、世界のスニーカーヘッズに支持されている。2020年6月に1階をリニューアルし、増床オープンした。

■国井栄之(くにいしげゆき)

「mita sneakers」のクリエイティブディレクター。数多くのブランドとのコラボレートモデルや別注モデルのデザインを手掛けるだけでは無く、世界プロジェクトから国内インラインのディレクションまで多岐に渡りスニーカープロジェクトに携わる。

国井栄之が選ぶ今年のベストスニーカーTOP3

アディダス(adidas)/サンバ(SAMBA)

アディダスのサンバ
アディダスのサンバ
アディダスのサンバ
アディダスのサンバ
アディダスのサンバ
アディダスのサンバ

FASHIONSNAP(以下、F):一足目はアディダスのサンバ。ブラジルワールドカップ開催年の1950年にフットサルシューズとして作られました。

国井栄之(以下、国井):今年はワールドカップが開かれたのでフットボール人気もありますが、端を発したのは「グッチ(GUCCI)」とのコラボレーションによる「ガゼル(GAZELL)」を発売した流れからだと思っています。

F:ガゼルも同様にフットボールがルーツのシューズ。「アディダス×グッチ」を起点にアディダスのフットボールシューズが注目を集めたということでしょうか?

国井:そうですね。ミタスニーカーズで今年サンバを発売した際に、朝から並びができたんです。海外の友人にサンバが人気だという話をしたら「海外はもっと人気だよ」と言っていて。話の中から「アディダス×グッチ」を起点に海外のセレブリティやインフルエンサーが着用して一般層にまで広まっていったという分析になりました。

F:サンバはストリートシーンで根強い人気がありますよね。

国井:ストリートやフットボールの文脈では、名品の一つだと知られています。ミタスニーカーズでも昔にサンバをフィーチャーしたSMU(Special Make Up)をやっていましたし、フットボールのトレーニングシューズはグリップ性が優れているので、スケートボードや自転車で使う人も多く、ストリートシーンでの相性が良いんです。ここ数年はテラススタイルというヨーロッパのフットボールファンたちが履いている靴がジワジワと人気で。アメリカから入ってくるクラシックな靴はヒップホップやバスケットボールの文脈ですが、ヨーロッパからはフットボールの文脈が多い。発祥は違いますが、それらがクロスオーバーして人気を集めています。

F:グッチ×アディダスからサンバに注目した人はどこに魅力を感じているんですかね。

国井:単純にラグジュアリーとのコラボのテイクダウンというポイントだと思いますよ。「ディオール(DIOR)」のエア ジョーダン 1が出たあとは、同様のカラーコンビネーションのエア ジョーダン 1やエア フォース 1が人気になりましたし。

F:昨今はソールにボリュームがあるモデルが人気だったので、薄いモデルが支持を集めたのは新鮮でした。

国井:昔はランニング、バスケ、トレーニングなどスニーカーをカテゴリーで選ぶ人が多かったんです。でも、今の若い人たちはシルエットやボリューム感を重要視する傾向がある。そうした中で、下駄箱が気がつけば同じようなボリューム感のモデルばかりになっていることに気がつき、新しいシルエットに挑戦したくなったんだと思います。

F:今回持ってきていただいたのはオーセンティックなカラーのサンバです。

国井:人気だと言っても、支持されているのはミニマルなカラーに集中しています。シーズナルのカラーや素材違いのサンバがたまに発売されますが、一般的には黒×白や白×黒が人気ですね。

ニューバランス(New Balance)/990v6

ニューバランスの990v6
ニューバランスの990v6
ニューバランスの990v6
ニューバランスの990v6
ニューバランスの990v6
ニューバランスの990v6
ニューバランスの990v6
ニューバランスの990v6

国井:本来の発売日から約1年間遅れて、本当に待ってましたというモデルです。11月4日と、それから12月2日にも発売されたんですが、実はまだ先行販売という位置付けなんですよ。

F:ニューバランスの直営店でもニューバランス 原宿とT-HOUSE New Balance、公式オンラインストアの3店舗のみと販路が絞られていました。

国井:直営店以外だとミタスニーカーズや、「キス(Kith)」を始め都内6店舗だったはずです。正式なローンチは2023年からになりますが、やはり待っていたという人が多くて。ミタスニーカーズでもメンズ、ウィメンズ、キッズと全てのサイズを展開していましたが、全て即完売。メンズとウィメンズに関しては抽選だったんですが、申込数も尋常じゃなかったです。

F:昨年のインタビューで「v6はこれまでの990シリーズの中でも挑戦的なモデル」と話していました。挑戦的なポイントはソールでしょうか?

国井:そうですね。まずはソールユニットにフューエルセル(fuelcell)が入っていて、これまでのアブゾーブ(ABZORB)が使用されていないことが990の歴代の進化の中でも劇的な変化だと思います。フューエルセルは現行のパフォーマンスモデルにも使われているテクノロジーなので、これまでの990シリーズと比べてもクッション性があります。あとはシルエットに関しても、これまでは丸っこいデザインでしたが、v6はシャープでロングノーズに見えるシュッとしたシルエットに仕上がっています。アッパーのレイヤーの重厚感もありますし、ホールド性が違うので本当に履いてみてほしいモデルですね。

F:個人的にも履き心地はとても気になっています。

国井:気になっている人は多いです。街でもよく「実際に履き心地どうですか?」と聞かれました。個人的にこの質問は凄く嬉しくて、ハイプなスニーカーだと持っているかの話になってしまいますが、履き心地について聞かれるのは靴屋冥利に尽きるというか。見た目が明らかにデコラティブで、これまでにない凄い機能を搭載したようなルックスであればわかるんですが、v6の見た目で気になるというのは、履き心地を加味してみんながニューバランスに対してお金を払っているんだなと。ニューバランスの評価を再確認することができました。

F:キッズまで即完売だったのは驚きですね。

国井:キッズに関しては親がニューバランス好きで、子どもに履かせてあげたいっていう気持ちからだと思います。あとはv5のキッズも人気だったんですが、コロナ禍の工場停止によって生産がカットされて、全然入荷がなかったんです。別の品番のキッズモデルもありますが、子どもに990を履かせたいという人がずっと待っていたという背景もあるのでしょう。

ナイキ(NIKE)/エア フォース 1(Air Force 1)

ナイキのエアフォース1
ナイキのエアフォース1
ナイキのエアフォース1
ナイキのエアフォース1
ナイキのエアフォース1
ナイキのエアフォース1
ナイキのエアフォース1
ナイキのエアフォース1
ナイキのエアフォース1
ナイキのエアフォース1

F:今年はエア フォース 1の40周年でした。

国井:周年の影響もあって、1年通してめちゃめちゃ売れました。定番の白×白をはじめ、シーズナルのスポットアイテムも人気がありましたし。そして今年最後に発売されたのが、このモデルです。

F:かなり遊び心のあるデザインですね。

国井:個人的にこの靴を見たときに「What The」シリーズみたいだなと思って、言うなればこのモデルは「What The エア フォース 1」かなと。2004年にミタスニーカーズでアッパーをそれぞれ1980年代、1990年代、現代(2004年時点)の3分割にした「温故知新」というモデルを製作して、当時色々な方に「こんなことできるんだ」と言われましたが、今回のモデルは僕も「こんなことができるんだ」と思わされました。

 「クラシックなモデルだからそのままの形で良い」という声に対応するベーシックなモデルを出し続けるのはもちろんのこと、一方でエア フォース 1ファンから見ても「こんなことができるんだ」と良い裏切りも続けている。そのバランス感の上手さがエア フォース 1が名作として残り続けている理由なんでしょうね。

F:デザインコンセプトは?

国井:ベースは2001年に登場した「co.jp」の日本企画モデル「ウィート」です。そして一部ディテールは、2005年の桜や2005年と2006年に登場したイースター・エッグなど。キーワードとして「Y2K」があると思うんですが、2000年代に作られたエア フォース 1のディテールを取り入れています。同じデザインコンセプトでダンクも発売されました。

F:2019年頃からダンクブームがありましたが、ダンクは今年も引き続き売れていましたか?

国井:圧倒的にミニマルカラーが人気で、通称パンダという白×黒のローカットは発売日に話題になります。ただ、ダンクは世代によって好みのモデルが大きく分かれていて、原宿でスケーターが履いているカルチャーを知っている世代、1990年代の後半に復刻モデルが出てそこから裏ダンクへと繋がっていった流れを体験した世代、2000年代に入って「ナイキ SB(NIKE SB)」がローンチしてから知った世代など、各世代によって思い入れのあるモデルがあるので、モノトーンだったらなんでも売れる訳でなくて。逆にハイカットはカレッジカラーやチームカラーを使ったモデルは動きが早いですが、ローカットとなると話が変わってくるんですよ。

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