Fashion インタビュー・対談

【インタビュー】「日用品のユニクロ、嗜好品のステュディオスに」上場を決めた31歳社長の野望

谷正人
谷正人
Image by: Fashionsnap.com

 ステュディオス(STUDIOUS)が、東証マザーズに上場する。アパレル業界では「ゾゾタウン(ZOZOTOWN)」の前澤友作氏を抜く最年少上場で、起業7年目での上場もアパレル業界で最速と異例のスピードで成長している。セレクト業態を主戦場とする上場企業にはユナイテッドアローズ(東証一部)があるが、上場の承認を受け更なる高みを目指す31歳の若き社長、谷正人氏は今何を思うのか?

■上場で変わること、変わらないこと

―上場を決めた今の心境は?

 創業時からずっと上場を目指していました。もちろんこれがゴールではなく、あくまで通過点で、現在はようやくプロデビューするという心境ですね。これからはパブリックカンパニーになるので、今まで以上に責任感を持って事業を展開していきたいと思っています。

上場を決めた理由は?

 知名度アップや優秀な人材の確保などはもちろんですが、一番はアパレル業界全体の社会的地位の向上に繋がればという思いからです。私が大学の頃は第二次ITバブルで、サイバーエージェントの藤田さんなどを中心に若い起業家が夢を与えてくれた時代でした。ゲーム産業の台頭など、事業拡大が進んでいるIT業界がある一方、アパレル業界はゾゾタウンの前澤さんくらいで若い起業家があまり出てきていない印象です。実店舗ベースのビジネスになると尚更で、閉塞感が続く業界にもまだまだ夢があるんだということを世間に伝えるために上場することが必要だと創業時から考えていました。良い人材が業界に入り、産業規模を拡大していくことでアパレル業界全体の価値を引き上げていくことができればと思っています。

studious-tani-2-20150804_004.jpg

約14%と高い経常利益率を達成できた理由は?

 現在全従業員数は約150人でほどんどが営業スタッフなのですが、接客に加え、バイイング、在庫の回転率の計算といった店舗のマネジメントなどあらゆる業務をこなす個人店の経営者のような仕事をしています。スタッフ一人一人が様々なタスクをこなすことで、労働生産性を向上させ、利益率の高さに繋げています。分かりやすいところで言えば、アパレルのショップにはどうしても暇な時間帯というものができてしまい、お客様が全くいないにも関わらずスタッフが3人もいるという状況が起きてしまいます。そういった無駄な時間をなくし合理化を図るため、スタッフには本社に来てもらい商品の開発の方に携わってもらったり、展示会に回ってもらったりして時間を有効活用していますね。

―平成27年2月期の売上高は44億7,002万円で、そのうちECでの売上高が14億4,617万円。EC化率が30%以上と高いですが、このことについてはどのようにお考えですか?

 セレクトショップを展開するアパレル企業の中ではEC化率が一番高いのではないでしょうか。これは利益率が高いということにも関係しますが、弊社では「余計なことはしない」をモットーにしています。ECサイトはアマゾン、楽天などたくさんありますが、弊社では自社ECとゾゾタウンに絞っており、在庫と人的資源もそこに集中させ収益の拡大を図っています。

「アパレルの社会的地位向上」を目指しているということですが、そのためにはアパレル業界の賃金の低さを解消しなければいけません。

 広告代理店や経営コンサルタント、外資系企業に就職したいと考えている学生の選択肢の1つにならなければいけないと思っています。また個人店の経営者の業務というのはかなり大変なので、当然それなりの給与が必要だと考えています。現在弊社の初任給は25万円ですが、更に「渋谷手当」という制度を導入しています。これはサイバーエージェントの制度を参考にしたものですが、渋谷から半径約2キロ圏内に住めば3万円の住宅手当が出るというもので、それを加えると初任給で実質28万円となり悪くない給与形態になると思います。給与は今後も上げていきたいですね。

なぜ渋谷圏内なのでしょうか?

 展示会の開催場所や業界関係者の方と交流を深めるための飲みの場は、だいたい渋谷周辺です。結局国内ファッションの拠点は渋谷だと思っていて、そこに住めばタクシー代もいらないですし、多少家賃は高いですけど夜遅くまで行動できるため、人脈を広げることができるのではないかと。池袋など渋谷から離れた店舗で働くスタッフにも同じように「渋谷手当」を給付していて、池袋に住んで家とお店の往復だけというライフスタイルになりがちなところを、渋谷に住んでもらうことによってデザイナーやメディアの方など様々な人と情報交換をしてもらうためこの制度を導入しています。

studious-tani-2-20150804_012.jpg

今、ステュディオスで一番売れているブランドは?

 取り扱い店舗数によって変わってはきますが、一店舗あたりの売上で言うと「ソフネット(SOPHNET.)」や「N.ハリウッド(N.HOOLYWOOD)」、「ホワイトマウンテニアリング(White Mountaineering)」ですね。全体でいうと、メンズは「ファクタトム(FACTOTUM)」、「シャリーフ(SHAREEF)」、「ジョン ローレンス サリバン(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)」、最近でいうと「ネーム(Name.)」ですね。ウィメンズは「エムエム アタッチメント(M/M ATTACHMENT)」や「カラー(kolor)」、「ミュラーオブヨシオクボ(muller of yoshiokubo)」が売れています。

若手デザイナーがステュディオスに商品を取り扱ってほしいと思った場合、どういったコンタクトの取り方がベスト?

 展示会のDMを送って頂けると嬉しいですね。バイヤーには1シーズンに1〜2ブランドは新規を入れるよう指示を出しているため、若いブランドの展示会にも積極的に足を運んでいます。ただシーズンに何百枚もDMが届くため、やはりDMのクオリティが展示会に足を運ぶ運ばないの基準になってはきますが。ブランドによっては営業に来てくださることもありますが、ただでさえデザイナーは忙しい職種なので、その時間を服、DM、HPの制作などクリエイションに費やしたほうがいいのではないかと個人的には思っています。

注目している若手デザイナーは?

 若手と言えるかどうかわかりませんが、メンズでは「エトセンス(ETHOSENS)」が伸びていますね。ウィメンズでいうと「タロウ ホリウチ(TARO HORIUCHI)」です。

次のページは>>アジアのグローバルブランドカンパニーを目指して

最新の関連記事

おすすめ記事

Realtime

現在の人気記事

    次の記事を探す

    Ranking Top 10

    アクセスランキング