セラミックアーティスト桑田卓郎
Image by: FASHIONSNAP.COM

Art インタビュー・対談

川久保玲の琴線に触れたセラミックアーティスト・桑田卓郎が表現する"現代の焼き物"

セラミックアーティスト桑田卓郎
セラミックアーティスト桑田卓郎
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 伝統が脈々と受け継がれる陶芸の世界で、独創的な作品が国内外から注目されているセラミックアーティストの桑田卓郎。前衛的な作風だが伝統技法を踏襲し、自身の感性を映し出した"現代の焼き物"を作り続けている。土作り、成形、素焼き、釉薬掛け、本焼きと、いくつもの過程で化学変化を起こしながら生み出される陶器は、自由な感性と美を併せ持つ。それらがファッションデザイナー川久保玲の琴線に触れ、現在作品がコム デ ギャルソンのコンセプトショップ「Trading Museum COMME des GARCONS」に展示されている。

 

 以前からコム デ ギャルソンのファンでもあった桑田は、ブランドからの声がけに驚くと同時にクリエイターとして常に新しい表現に挑戦し続ける川久保への尊敬の念から「素直に嬉しかった」という。これまで陶芸のギャラリーに展示することもあったが、なかなかしっくりこなかったこともあった。「作品に拒否反応を起こすお客さんもいたほどだったんです」。ファッションブランドの店内に展示するのは初めてだが、「作品の隣に服が並んでいても自然と馴染んでいるのが不思議」と語る

 

 作品を飾る什器は、店内の"ポット"と呼ばれる円柱の丸みに沿う形で設計されている。これは川久保が今回のために考案したもの。桑田は「まるでアトリエのよう」と展示空間を眺める。

 メタリックの溶けた金や白金、ぷっくりしたドット柄――。従来の焼き物と一線を画す表情はどこから生まれてくるのか。「師匠に弟子入りして"これぞ茶碗"というものを作った時、友人に見せるとそのままの感想が返ってくるんです。師匠や他の陶芸家と同じものを作り続けていくのではなくて、自分の感覚や感性を作品で表現しようと思いました。当時自分が親しんでいた音楽やファッション、クラブカルチャーから影響されて、"自分らしさ"というものが出てくるようになったんだと思います」。

 左右対称ではなかったり、縁の歪みや釉薬のヒビ割れも、自身のものづくりで大事にする「味っぽさ」だと捉える。「焼き物は完成するまでの工程が長いので、思い通りにならないことの方が多い。途中でヒビが入ったり、釉薬を厚く塗りすぎてしまったり。でも過程で起こるハプニングや失敗した経験から面白さや味が出てくると思っています。そういったものづくりの過程が楽しくて」。

 今年はロエベ(LOEWE)がクラフト職人の発掘を目的として開催する「ロエベ クラフト プライズ」で特別賞を受賞した。国外からの評価も高まってきている。「トラディショナルにケミカルな要素が加えられた感覚が、新鮮に受け止めてられているのではないでしょうか。『ここの釉薬の表情がいいよね』とか、自分が思ったことを海外の人も率直に感じてくれて、感覚が近いのかなという気もしています」。

 「焼き物は生活の一部であり、器だけではなくレンガやタイルなどの建築的な空間表現もできる。自分の手から離れたものがどのように広がっていくか、可能性を模索していきたい」。従来の形や常識に捉われず、新たな表現にも意欲をみせている。

店内の反対側にはカラフルでメタリックな桑田の作品に呼応するようにコム・デ・ギャルソンのピースが展示されている。
桑田卓郎
1981年広島県生まれ。2001年に京都嵯峨芸術大学短期大学部を卒業後、2002年に陶芸家の財満進氏に師事。2007年に多治見市陶磁器意匠研究所を修了し、現在は岐阜県土岐市に工房を構えて制作に取り組む。ニューヨーク、ブリュッセル、ロンドンなど世界各地で展覧会を開催し、作品はルベル・コレクション、パームスプリングス美術館、金沢21世紀美術館、ミシガン大学美術館などに収蔵されている。
Trading Museum COMME des GARCONS
「過去の価値あるもの、今の物で他にないもの、着る物と限らず美しい物、そのようなものをトレードする、流行を超越した場」という考えの上、他のコムデギャルソンの店とは一線を画すコンセプトを掲げ運営している。

■ セラミックアーティスト『桑田卓郎氏の陶器』
会期:2018年7月6日(金)~約3ヶ月間展示予定
場所:Trading Museum COMME des GARCONS MidTown
   東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン1F

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