今年のお買い物を振り返る「2023年ベストバイ」。14人目は芸人、俳優、芸術家、プロボクサー、ヨガマスターなどさまざまな肩書を持つ片岡鶴太郎さん。2023年は複数回の作品展を開催し、7月には書籍「老いては『好き』にしたがえ!」を出版。8月に公開した映画「春に散る」では、ボクシングに魂を燃やす男を演じ、10月のFASHIONSNAPのインタビューではこだわりのファッション論も話題になりました。普段は夜の11時に起床し、4時間ヨガ、2時間朝食、1時間以上洋服選びに時間をかけるという鶴太郎さん。「変態でしょう」と自分を揶揄する鶴太郎さんに、今年買って良かったモノ6点を聞きました。
目次
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スカンジナビアジュエリーのネックレス
FASHIONSNAP(以下、F):まずはネックレスです。今回のベストバイの6点中5点はアンティークアクセサリーですが、10月のインタビューでも、最近はアクセサリーにハマっているとおっしゃっていましたね。
片岡鶴太郎(以下、片岡):そうですね。アンティーク感があって面白いデザインのものは気になってしまいます。これもそう。スカンジナビアのアンティークアクセサリーなんです。
F:購入場所は?
片岡:よく行くアンティークのお店です。アクセサリーは全部同じお店で買っていて、そこの社長が良い雰囲気のものを見つけてきてくれるんです。
F:息子さんがおすすめしてくれたというお店ですね。これのモチーフは何ですか?
片岡:なんでしょうか。船を正面から見た形なのか、碇なのか…。スカンジナビアのものなので、海にまつわるものに見えますが、モチーフはわかりません。そのミステリアスな感じが気に入っていますね。
F:どんなファッションに合わせますか?
片岡:重量感もなく、普段よく着ている古着と合わせると味わいがある。燻し銀のアンティークな雰囲気に“波長が合う”というんでしょうか。良い雰囲気なんです。
F:年代が分からないことも、気に入っているポイントですか?
片岡:そうですね。どんなデザイナーがこのアクセサリーを作ったのか。どんな人が着けて、どこをどう旅してきたのか…。その“旅”を経て、今は日本の、私の手元にあって、今も輝いている。このネックレスの人生というか、「歩み」みたいなものが面白く、愛おしいと思っています。
F:さまざまな時代に思いを巡らせることができるんですね。アンティークのアクセサリーを購入されるのは、歴史を感じられるからでしょうか?
片岡:ハイブランドの新作アクセサリーも良いんですが、あまりにも輝きすぎてしまって。どこか私の中では浮いてしまうんです。だから旅してきた、時間の経過があるアイテムの方が、自分が今好きな古着とも合わせやすいですね。
F:前回の持ち主にも思いを馳せることも楽しそうですね。
片岡:楽しいですね。もしかしたら前回の持ち主は女性かもしれないとも思っています。
メキシカンヴィンテージのネックレス
F:2点目はアンティークのターコイズネックレスです。
片岡:メキシコのターコイズなんです。ターコイズの色、ブルーが好きで、私が描く絵の中でも緑青(ろくしょう)の絵の具をよく使ったり、キメどころにはターコイズの色を使います。
F:好きな理由は?
片岡:理由や理屈とかは全くありません(笑)。緑青という色が綺麗なので、とても好きです。
F:昔から好きなんでしょうか?
片岡:絵を描くようになる前は、色について特別に思いはなかったんです。絵を描くようになってからはコーディネートでも色使いを意識するようになり、気が付いたら、どこかでターコイズの色をポイントで入れるようになっていました。絵の場合は、実際にはターコイズ色が入っていない、例えば金魚でも、差し色として使っています。
F:このネックレスも年代はわからない?
片岡:はい、これも年代はわからないですね。
F:購入の決め手は?
片岡:ペンダントトップがみぞおちあたりに来るくらいの長さがあるネックレスを探していたんです。実はこの長さで良いものが全然なくて…。やっと見つけたって感じですね。長さがちょうど良くて、いつものテイスト、今日のファッションにも合うんですよ。
F:本当ですね。主張しつつも、ネックレスだけすごく目立つわけではないというか。長めのネックレスは今まで持っていなかったんでしょうか?
片岡:「エルメス(HERMÈS)」のトゥアレグがちょうどいい長さなんですが。もうちょっとアンティーク調のものがほしかったので探していました。
F:「オレたちひょうきん族」に出ていたころからおしゃれは好きだったとか。九官鳥の“キューちゃん”や“マッチでーす”など、芸を披露された後はかっこいい洋服に着替えて帰っていたんですよね!洋服は小さい頃から好きだったんですか?
片岡:洋服に目覚めたのは高校時代ですね。通っていた都立高校の制服が自由化されて、それで普段着にこだわるようになりました。高校があった鶯谷から徒歩10分ぐらいの場所に大量の洋服が積まれている倉庫のようなところがあって、ファッションが好きな友達とセールに通い詰めて…。「ジュン(JUN)」や「ヴァン(VAN)」の服を買ってました。
F:学校だと一目置かれたのでは?
片岡:そうですね。でも、めちゃくちゃセンスの良い奴がいたんです。彼と一緒に「これ、どうやって着たら面白いかな」なんて言いながら洋服を選んでました。
F:当時はどんなコーディネートをしていましたか?
片岡:当時流行っていたストライプジーンズに、厚底の靴を合わせていました。その後バギーパンツが流行ったんですが、僕は茶系のバギーに細い白い革のベルトを合わせて着ていました。
F:今でもそのスタイルは格好良いですね。近藤真彦さん(マッチ)のモノマネをされていた当時もそういった服を着ていたんですか?
片岡:そうです。芸人の中で、僕が一番早くスタイリストを付けたのではないかなと思います。大久保篤志というスタイリストなんですが、彼と2人で「ハリウッド ランチ マーケット(HOLLYWOOD RANCH MARKET)」に行って、Tシャツやヘンリーネックのニット、ジーンズを買ってコーディネートして。それを毎週「オールナイトフジ」や「夕やけニャンニャン」などで着ていましたね。
GUCCIのネックレス
Image by: FASHIONSNAP
F:3点目は「グッチ(GUCCI)」。テールが可愛いですね。どんな時につけているんですか?
片岡:これは夏に着けてました。デニムのシャツやTシャツと合わせたくて購入したんです。ブランドロゴの主張がなく、アンティーク風に見えるところもお気に入りです。
F:季節でアクセサリーを使い分けているんですね。
片岡:そうですね。さっきの2点目のネックレスはシンプルなTシャツと合わせると主張しすぎてしまうので、遊び心のあるニットなどを着られる冬場が合うと思います。これはちょうどデニムのシャツを着ていた時に見つけて、つけてみたら格好良かったので購入しました。
F:このネックレスもいつものお店で購入されたんですか?
片岡:はい。アンティークのものや型落ちしたものなど、ハイブランドのアイテムも置いてあることが多いです。これもちょっと年代はわからないんですが(笑)。
F:アクセサリーを選ぶ時の基準などがあったら教えてください。
片岡:やっぱり第一印象ですね。そして必ずフィッティングして、自分の目で見て合わせ方を考えます。洋服も同じで、着てみてコーディネートを考えてから購入します。元々アクセサリーはあまりつけていなかったのですが、次男の影響を受けてからは、普段のコーデに欠かせなくなりました。洋服や他のアイテムとの組み合わせを考えていても、アクセサリーがあるだけで決まりますし、便利だなと思います。
アメジストのネックレス
Image by: FASHIONSNAP
F:こちらは大きなアメジストが特徴的ですね。
片岡:これもスカンジナビアジュエリーです。アメジストの原石をそのまま良い形で取ったもので、ここまで大きいのは珍しいのではないかと思います。初めて見た大きさだったので、お店のオーナーに「俺にしか似合わないでしょ、俺がうまく使います」って言って迎えました(笑)。
F:でも、合わせるのが難しそうですね(笑)。
片岡:そう思いますよね。お店で見つけたときは、このネックレスだけ浮くかなとも思ったのですが、合わせてみたら意外とそんなことなくて、ものの見事にハマりました。「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」や「アン ドゥムルメステール(ANN DEMEULEMEESTER)」のアウターやシルクのシャツとか、ドレッシーなアイテムにプラスするとすごく品が良くなるんです。ステージやトークショーなどでつけていますが、めちゃくちゃ格好良くて。
F:格好良いですね!こういったアクセサリー、周りの方に褒められませんか?
片岡:そうですね。褒めてもらえます。ブランドのロゴも入っていなくて、初めて見るような形のものが好きなので「どこのアクセサリーなんですか?」なんてこともよく聞かれますね。
F:今日のピアスも可愛いですね。
片岡:ジュエリーデザイナーが作ってくれたインドの神様“ガネーシャ”のデザインです。ヨガをやっていることもあり、僕にとってガネーシャは守り神のような存在です。
F:お守りのようなアイテムでもあるんですね。
片岡:そうです。それに今日はブルーっぽいコーディネートなので、このピアスを合わせてみました。
JACQUES MARIE MAGE オリジナルリング
F:アクセサリーの最後は「ジャック マリー マージュ(JACQUES MARIE MAGE)」(以下、JMM)のターコイズのリングです。JMMはアイウェアブランドのイメージですが…。
片岡:デザイナーのジェローム・ジャック・マリー・マージュ(Jerome Jacques Marie Mage)が直接作ってくれました。JMMはおっしゃる通り、アイウェアのブランドです。個性的なデザインで、重厚なフレームが格好良いんです。今年の春にアイウェアのモデルのオファーをいただいて、プロモーション動画の撮影で彼が来日して。そこで仲良くなったことがきっかけです。アイウェアブランドだけど、彼はジュエリーもデザインしているらしく。ターコイズが好きだと言ったら「作るからサイズを教えて」と。
F:そんな出会いがあったんですね。この指輪が気に入った理由は?
片岡:現代のものという点ですね。これまで4点で分かったと思いますが、基本的にアクセサリーはアンティークを好んで着けていて、これだけが最近作られたアイテムですね。シャープで品が良いし、なんとなくアンティークの要素が入っているデザインが好きです。
F:確かに、アンティークにも見えます。
片岡:そのバランスが良くて、気に入っています。
MISSONI ニットコート
F:最後のアイテムは、やっとお洋服です(笑)。今日着て来られたアウター、「ミッソーニ(MISSONI)」のコートですね。
片岡:はい。今日はボトムス以外ミッソーニでまとめています。このアウターはニットでダッフルコートの形なのが、さすがミッソーニだと思って。どれぐらい前のアイテムなのかはこれも分かりませんが(笑)、いつものお店でゲットしました。
F:ミッソーニはニットが可愛いですよね。いつかは着てみたいブランドです。
片岡:やっぱり着たいと思いますよね。女性のニットのワンピースなんて、特に大好きです。あれは僕の急所ですね(笑)。
F:(笑)。ボトムスはどちらのですか?
片岡:実はこれ、20年ぐらい前に買ったものなんですよ。「サルトリア・トラマロッサ(SARTORIA TRAMAROSSA)」です。洋服が本当に捨てられなくて…。以前、FASHIONSNAPさんの取材でも話しましたが、衣装部屋は2部屋あって、そこにずっと眠っていたボトムスです。このミッソーニのニットダッフルに合うアイテムを探していたら、これが良いんじゃないかってなりました。
F:ワンピースで思い出しましたが、以前気になっているとおっしゃっていた「タカヒロミヤシタザソロイスト.(TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.)」の今年の秋冬コレクションでは、ほぼ全てのルックでメンズモデルがスカートを着用していたことで注目されていました。
片岡:すごく良いですよね。カッコいい。数年前、“美脚モノマネ”をやっていたので脚には自信がありますし、ぜひミニスカートも着てみたいです。
F:お似合いになると思います。ウィメンズのアイテムも着用されることが多いそうですが、体型を保てているのはヨガのおかげなのでしょうか。
片岡:ヨガと食事のおかげです。メンズのXSサイズも大きいくらいなので、行きつけのお店のオーナーが僕のサイズを把握してくれて、似合いそうなアイテムを買い付けてキープしてくれることもあって。この体つきに感謝しています。
2023年を振り返って
F:ベストバイを振り返って、また次々と新しいことに挑戦されている片岡さんにとって、今年はどんな1年でしたか?
片岡:自分のペースで楽しめて、とても充実した1年でした。毎朝のヨガで心と身体を整えて1日をスタートしているので、日々の生活をとても良い状態で過ごしています。
F:来年新たに挑戦したいことや、買いたいものなどがあれば教えてください。
片岡:20〜30年前にオーダーメイドで作っていたスーツがあるので、これをもう一度ブラッシュアップさせた“大人のスーツファッション”や、それに合わせたアクセリーをインスタグラムに載せていきたいです。来年もアクセサリーを買いたいと思っています。
■片岡鶴太郎
1954年東京都荒川区生まれ。芸人として人気を集め、現在はバラエティ番組、映画、ドラマなどメディアでも多岐にわたって活動し、プロボクサーやヨガマスター、芸術家としてもマルチに活躍している。
インスタグラム:@tsurutaro_kataoka_official
■2023年ベストバイ
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