インタビューに応じるTOKYO BASE 谷正人代表
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Businessインタビュー・対談

【インタビュー】STUDIOUSのオリジナル廃止、中国での出店加速、アスレジャーの新業態......TOKYO BASE谷正人代表が語るコロナ禍の"攻めの経営"

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 ネガティブな状況だからこそチャンス――TOKYO BASEが"攻めの経営"を打ち出す。「とにかく売れている」という中国への出店加速、ステュディオスのオリジナル商品廃止、そしてアスレジャーの新業態......谷正人代表がコロナ禍で考える本質的なビジネスモデルとは。

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コロナ禍も「事業は縮小しない」

―新型コロナウイルスの感染拡大から半年が経過しました。この半年をどのように振り返っていますか?

 出店先の商業施設の休業に伴い営業できない状況が続きましたが、そもそも弊社はリーマンショック後に創業して、1〜2年経ってやっとお金が回り始めたという時に東日本大震災が起きたりと、"物が自動的に売れない"という中でビジネスをやってきたので、他の会社よりも大きな影響はないと捉えています。

―5月末〜6月頭に店舗の営業を再開してからしばらく経ちますが、来店客数の推移はいかがでしょうか。

 場所にもよりますが、コロナ前までは戻っていませんね。一時期は新宿の店舗の来店客数は半分程度に減りました。ですがその分単価が上がっていますし、買い上げ客数はそれほど落ちていないんです。10月になってからは回復の兆しも出てきています。STUDIOUS MENS 原宿本店などインバウンドに強かった路面店は以前の勢いを取り戻すのは難しい状況ですが、国内の新しいお客様が増えています。

―海外店舗の状況はいかがですか?

 中国については、ロックダウンが解除されたら何事もなかったかのように街に人が戻っていて、今はとにかく売れていますね。

―アパレル業界ではコロナが追い打ちとなり、破産や事業売却などが増えています。

 ネガティブな状況下にはありますね。ですがゲームチェンジをしようとしているプレイヤーにとっては良いチャンス。優秀な人材が採れる時期でもありますから、他社が新卒採用活動を縮小しているところを我々は当初の計画通り進めていますし、ビジネスモデルを本質的に変えられるタイミングでもあるので、事業を縮小することなく展開していきます。

「とにかく売れている」中国で出店加速へ

―海外進出から3年が経ちました。海外1号店の出店先に香港を選んだ理由は?

 中国の主要都市のデベロッパーは香港系が多いので、香港での反響は中国への出店に繋がりやすいんです。実際に香港の後、2019年8月に中国に進出しましたが、1号店は上海の新天地という一等地で、しかも路面に出店するという願いが叶いました。

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―ベンチマークなどは設定しましたか?

 具体的なベンチマークは特にないんですが、過去に中国に進出した日系企業の失敗事例があるので、その研究はしましたね。

―海外ではどんなブランドが人気なのでしょうか。

 香港と中国で異なります。香港に関しては「アンダーカバー(UNDERCOVER)」や「ホワイトマウンテニアリング(White Mountaineering)」といった、いわゆる有名ブランドの売れ行きが好調ですが、中国は「ターク(TAAKK)」や「サルバム(sulvam)」「クルニ(CULLNI)」など、中国市場では比較的新しいブランドも幅広く売れています。

 その背景として考えられるのは、中国にあるステュディオスの店舗はラグジュアリーブランドと同じ並びにあり、感度の高いセレクトショップと思っていただけているので、信頼されているのだと思います。顧客層も日本は20〜30代の若年層が中心ですが、中国は30〜40代の富裕層がメイン。内外価格差は1.5倍程度になりますが、信頼や安心感の高さは日本の店舗以上にあるのではないでしょうか。

―今年9月オープンのステュディオス トウキョウ北京店では初日の売上が1750万円を突破したそうですね。

 僕も正直驚きました。上海店で初日売上1000万円を達成したので、それを超えてくれたらと思っていたんですが、実は北京店のオープン3日前に増床リニューアルオープンしたSTUDIOUS MENS新宿ルミネエスト店が初日に1600万円の売上を打ち立てたんですよ。それで北京のチームが負けていられないと気合いが入ったみたいで。

STUDIOUS TOKYO北京 Image by TOKYO BASE
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―初日売上から中国の店舗の好調ぶりがうかがえます。

 中国店舗の運営は現地のジョイントベンチャーではなく、中国企業の資本が入っていない完全子会社が手掛けていることも大きな要因の一つ。店長には日本で成果を出し、我々の強みである営業力をしっかり受け継いでくれた中国人スタッフを起用しています。中国の販売員の平均給与は日本の半分ほどが通常のようですが、うちは日本とほぼ同じ水準にしていますから、ハングリーで能力も高い優秀な人材が集まってきています。成果主義的なところもうまくハマっているのかもしれませんね。

―現地のPR戦略は?

 中国ではKOL(Key Opinion Leader)を活用しないと難しいと言われてきましたが、特にそういったPRはやりません。膨大な広告費をかけずとも、良いものを揃えれば結果的にお客様が買ってくれて、芸能人の方などが来店してSNSに上げてくれることもあります。ただ、コンテンツが良くないとインフルエンスされないので、クオリティの維持は徹底していきたいと思っています。

―今後の海外の出店計画について教えてください。

 ステュディオスではステュディオス トウキョウ業態で今年12月に成都、来年1月に武漢への出店が決まっています。そして3月にはステュディオス業態で"北京の渋谷"といわれる北京・西単に250坪ほどの大型店を出店します。ユナイテッド トウキョウ、パブリック トウキョウも北京に続き、11月に上海で旗艦店がオープンする予定です。

■今後の海外出店計画
ユナイテッド トウキョウ上海:11月16日(月)オープン
パブリック トウキョウ上海:11月16日(月)オープン
ステュディオス トウキョウ成都:12月19日(土)オープン
ユナイテッド トウキョウ IFC上海:2021年1月9日(水)オープン
ステュディオス トウキョウ武漢:2021年1月30日(土)オープン
ステュディオス 北京西単:2021年3月中旬オープン

※ステュディオス トウキョウ:ステュディオスのグローバルハイエンド業態

―依然コロナ禍ですがかなり攻めますね。

 中国人は日本のブランド、そしてメイドインジャパンが好きで、買う場所を求めている人が本当に多いんですよ。来年に関しては10店舗の新規出店を目指します。

―海外向けのEC展開の計画は?香港進出の前には越境ECに挑戦されていましたが。

 海外進出の皮切りとして立ち上げた越境ECですが、実際には全然売れなかったんです。「日本に在庫を置きながら、海外で売れる」という都合の良い売り方は難しかったですね。でもその後、実店舗が奏功したおかげで海外事業は順調に規模を拡大できています。なので1年後をめどに、中国専用のECを始めようと思っています。

―今後の中国市場の可能性についてはどうお考えですか?

 中国に出店する前は上海・北京以外の地域で成功できるかが課題でした。キーポイントとなったのが深圳。数々のIT系ベンチャー企業を排出し「アジアのシリコンバレー」とも呼ばれていますが、ファッションのお店はあまりないんです。僕らも最初は売れるのか不安はあったんですが、それは杞憂でしたね。感度の高い新しい層が他の街からも来ていると聞いて、中国は想像以上に大きなマーケットだなと感じました。深圳での成功体験に基づくと、出店・売上拡大の余地は十分あると思います。

―香港の市場はいかがでしょうか。

 正直苦しいです。香港に関してはコロナというよりも政治情勢の問題が大きいですね。香港のマーケットは半分が中国人の観光客、半分が香港の地元民で成り立っていたのですが、デモが過激化したことで中国から誰も香港に来なくなってしまいました。香港の店舗は家賃が高いので、その水準のままだとビジネスにならない。9月にはユナイテッド トウキョウの1号店を閉店しました。今後家賃が安くなるか、中国人観光客が戻ってくるような状況にならないと、進退を考えなくてはいけないと思います。ただ、香港のステップを刻んだおかげで中国にも進出できたので、香港は海外進出にとって大事な一歩でしたね。

―欧米進出は考えていますか?

 はい。ニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、ミラノ、ロンドン、シンガポールへの進出を考えています。僕のイメージとしては日本と中国の事業を3年以内に軌道に乗せてから、アメリカを目指したい。アメリカは僕が幼い頃、3年ほど住んでいた経験があって縁があるし、やはり世界の中心とも言えるニューヨークで勝負したいですね。

―米国進出したアパレル企業の成功事例はまだ少ないように思います。

 日本で大きくなってマス化が進むと、世界で戦うのは難しくなっていくんだろうなとも思っています。ミュージシャンで例えると、日本でメジャー化した人たちはなかなか海外で成功しない。だけど、日本でカテゴリーキラーになれば、きっと海外でも刺さると思います。なのでステュディオスももっと世界マーケットの中でマニアックになることによって、アメリカやヨーロッパの方々にも支持していただけるのではないかと。最初の一手がうまくいけば広げられるので、慎重に戦略を考えていきたいと思います。

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