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ヨウジヤマモト プールオム 2026年春夏コレクション

半袖ジャケットに透ける環境問題と解放──削ぎ落として核心に迫る「ヨウジヤマモト プールオム」

2026年春夏コレクションを紐解く

ヨウジヤマモト プールオム 2026年春夏コレクション

ヨウジヤマモト プールオム 2026年春夏コレクション

Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)

 山本耀司の地球環境への強い関心は、今に始まったことではない。2022年春夏コレクションでは、「現代の地球温暖化の危機」をテーマに生地やディテールを削ぎ落し、クリノリンの骨組みが露出した脱構築の美しいドレスを発表している。今シーズンの「ヨウジヤマモト プールオム(Yohji Yamamoto POUR HOMME)」で際立っていたのも、無駄を削ぎ落とすことで核心を照らし出すアプローチ。静謐かつ挑戦的なコレクションは、今の世界に問題を提起し、本質を際立たせる。

新解釈のテーラリング

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 ヨウジヤマモト プールオム2026年春夏コレクションの最初のパートで登場したのは、極薄のシルクジョーゼットを用いた半袖ジャケット。裏地や縫い代を極力排除しながら、テーラリングの立体を維持する建築的な仕立てが印象的だ。袖口から半袖シャツをのぞかせ、裾のボタンを一段外すことで、テーラードの規範も柔軟に解釈。ゆとりのあるシルエットが、心地よさとモダンな余白を両立させている。

自然との共生 解放的なパターン

 続くパートは、テキスタイルが一気に華やかに。万華鏡のようなステンドグラス、そして深海から着想を得たというプリントが主役となった。光や海のモチーフは、自然の美しさを思い出させる。鮮やかなインクジェットプリントはシルク生地の裏面にも施され、繊細な柄合わせの技術によって裏側まで美しい仕上げとなっている。

 パターンの注目は、脇にマチや切れ込みを入れた変形ドルマンスリーブ。腕を下げた時のドレープの美しさと同時に、可動域を広げる。ショーツも7分丈からロングまでバリエーション豊富に揃い、街から海までシーンを問わない軽快さをまとう。

どこまでも軽やかで上質なスーツ

 上質な絹紡羽二重で仕立てられた端正なブラックスーツは、極薄の肩パッドをはじめ全体的にソフトに仕上げられている。足元はホワイトレザーのビーチサンダルで、どこまでも軽やかなバランス。ラスト2体のジャンプスーツのルックには珍しくヘッドピースが合わせられた。波打つクラゲの触手を連想させ、自然との共生というメッセージを暗示する。

環境、社会、愛のスローガン

 6月末のパリ・メンズファッションウィークは、猛暑や突発的な嵐といった厳しい気候の中で行われた。そんな環境下だからこそ、ヨウジヤマモト プールオムのコレクションピースに刻まれた「Ecosystem balance」「NANO PLASTICS」「NO MORE WARS」といったスローガンが突き刺さる。ラストルックの背中には、「Stand by me」「Kill me softly」といった愛を感じさせる言葉も。見る者の心をほどき、解放感をもたらした。

Yohji Yamamoto 2026年春夏

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Yohji Yamamoto POUR HOMME 2026年春夏コレクション

2026 SPRING SUMMERファッションショー

最終更新日:

FASHIONSNAP ファッションディレクター

小湊千恵美

Chiemi Kominato

山梨県出身。文化服装学院卒業後、アパレルデザイン会社で企画、生産、デザイナーのアシスタントを経験。出産を経て、育児中にウェブデザインを学びFASHIONSNAPに参加。レコオーランドの社員1人目となる。編集記者、編集長を経て、2018年よりラグジュアリー領域/海外コレクションを統括するファッションディレクターに就任。年間60日以上が出張で海外を飛び回る日々だが、気力と体力には自信あり。

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ヨウジヤマモト プールオム 2026年春夏コレクション

Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)

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