Image by: YUKI FUJISAWA

Fashionインタビュー・対談

【インタビュー】ユキ フジサワが新境地へ、人気のアランニット帽に込めた思い

Update:

2022年7月1日付けで、FASHIONSNAP.STOREのサイトをリニューアル致しました。>>リニューアル後のサイトはこちら

 ヴィンテージ素材に箔や染め、レースをあしらう一点物シリーズを展開する「ユキ フジサワ(YUKI FUJISAWA)」。今シーズンは、昨年初登場し好評を博した「アランニット×金銀箔」のシリーズからニット帽、マフラー、ミトンの3種類を発売した。これまではヴィンテージアイテムをアップサイクルした一点物アイテムをメインに展開していたユキ フジサワが、一から作り上げることに本腰を入れ始めた理由とは?製作背景やアイテムのこだわりについて聞いた。

Image by YUKI FUJISAWA
Image by: YUKI FUJISAWA
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ユキ フジサワってどんなブランド?

FASHIONSNAP(以下、F):まずはブランドについて教えてください。

ユキ フジサワ 藤澤ゆき(以下、藤澤):ユキ フジサワは「箔や染めでファッションとしての新しい価値を提案する」をコンセプトに掲げたテキスタイルレーベルです。これまではヴィンテージアイテムを用いた一点物のアートピース制作が多かったのですが、今は一から作り上げた商品も、ブランドの柱の一つにしようとしているフェーズです。このほか、企業へのデザイン提供や舞台衣装など、布から生まれるデザインを軸に幅広く活動しています。

2020-21AWコレクションより Image by YUKI FUJISAWA
2020-21AWコレクションより Image by YUKI FUJISAWA

F:これまではヴィンテージのセーターをリメイクした商品がメインでしたが、昨年初登場したアランニットの小物は職人が1つ1つ手作業で編んでいるアイテムだそうですね。

藤澤:アイルランドのアラン諸島で編まれているアランニットに出会って以降、真っ白なヴィンテージアランセーターを海外から買い付けて、毎年染色を変えて展開してきました。ただ1970〜80年代のハンドニットにこだわって買い付けていると、自分が納得できるクオリティのアイテムが段々と出てこなくなってきてしまったんです。買付が難しいだけではなく、自ら箔押しをしているので、手仕事に割ける時間も足りなくなり、正直先が見えない状態が続いていました。それで色々と考えを巡らしたのですが、これまで1000点近くヴィンテージのアランニットをこの目で見てきたということもあり「今まで見たユニークなモチーフのニットをヒントに、国内外のニッターさんとタッグを組んでプロダクトを作っていくことも有り得るのかな」とぼんやり考えるようになって。丁度その時期に「クードス(kudos)」のデザイナー 工藤司さんにハンドニットのニッターさんを紹介して頂き、その方に生産管理の役割を担ってもらえることになったんです。それで、これまでとは違うニット作りをスタートさせることができたんです。

Image by YUKI FUJISAWA
Image by YUKI FUJISAWA

F:アランニットの魅力はなんですか?

藤澤:無限のパターンがあって、どれも美しくバリエーションに富んでいるところですね。手編みだからこそ出る豊かな表情も好き。そのふっくら感は機械編みだと上手く表現できないもので、手編みだからこそできる温かいニュアンスなんです。

2021年秋冬シーズンのアランニットアイテムの特徴

アイテムに付属している下げ札 Image by FASHIONSNAP
アイテムに付属している下げ札 Image by FASHIONSNAP

F:下げ札にニッターさんそれぞれの手書きサインが書かれているのが印象的でした。今シーズンは何人体制で製作したんですか?

藤澤:100名ほどですね。ハンドニッターさん独自の強いネットワークがあって実現できました。今回お願いしたハンドニッターさん達はご高齢の方も多かったです。

F:これまで自分の目や手の届く範囲で商品を作られていたわけですが、それを誰かにお願いするというのは別の大変さがありそうです。

藤澤:遠方にお住まいのニッターさんも多いため最初はかなり苦労しましたが、今回は編み方の説明書だけではなく、動画で詳細な編み方まで説明したりと、コミュニケーションを工夫しました。手編みなのでどうしても大きさがずれてしまう時もあるのですが、ズレがあった場合は都度編み直して頂いて。厳しいですが2〜3cmのズレも「ごめんなさい」とお伝えしていたので、製品ごとの個体差はほとんどありません。ニッターさんに直接インタビューしに行ったりと、信頼関係を築いています。

F:アイテムはどんな方に身につけてもらいたいですか?

藤澤:ターゲットは特に設けていないんです。受注会やイベントのお客様は女性の方が多いのですが、最近は男性のお客様にも来て頂けるようになりました。カップルでいらして色違いで購入してくださるケースもあります。特に、ネイビーのアイテムは深い藍染のような静けさがあり、性別問わず取り入れやすい色合いです。

F:今回、FASHIONSNAP.STOREではグレージュを別注させて頂きました。

別注 グレージュカラーのアイテム Image by FASHIONSNAP
別注 グレージュカラーのアイテム Image by FASHIONSNAP

藤澤:別注の色選びにとても悩まれていましたね(笑)。このグレージュはしっとりと落ち着いた雰囲気で、肌馴染みも良いカラーですね。「白だと汚れそう」「ネイビーだと重たくなりすぎてしまう」という方々がいるので、どちらの悩みも解決できるグレージュはとても良い色だと思います!ファンデーションの汚れやほこりが目立ちにくいという利点もあります。

F:昨年のアイテムとは若干素材が異なりますね。

藤澤:昨年はウール100%だったのですが、今回は保湿性の高いメリノウール70%/アクリル30%の混紡素材を使いました。温かいだけではなく、チクチクしない肌触りの良い糸を選んでいて。アラン模様の立体感をはっきりと見せてくれるところもこの糸の特徴ですね。

F:ユキ フジサワでは箔加工のリペアサービスをやっていますが、アランニットの商品も対象になりますか?

藤澤:もちろんです。今もユキ フジサワの公式サイトで受け付けています。全く違う色の箔を重ねることもできますよ。その時の気分に合わせて、自分だけのアイテムとして長く育ててもらいたいです。

F:ちなみに、アイテムの洗濯は可能なんでしょうか?

藤澤:中性洗剤を使った手洗いなら可能です。毎日使って頂きたいですし、日常でお手入れができるアイテム作りを大切にしています。箔は表面摩擦に弱いので、揉み洗いではなく裏返して洗濯ネットに入れ、やさしく押し洗いするのがおすすめ。乾かす時は、ネットに入れたまま脱水機に30秒くらいかけてから、平干し台で乾燥させてください。

ARAN HAND-KNITTED Knit cap

F:ではアイテムについて深掘りしていこうと思います。まずはニット帽から。このニット帽は自転車通勤中に思い付いた商品だと聞きました。

藤澤:コロナ禍になってから自転車通勤に切り替えたのですが、頭部が本当に寒くて。普通のニット帽も被ってみたのですが、今度は首の後ろが寒くて(笑)。マフラーを身につけようとも思ったのですが、解けた時に自転車のタイヤに巻き込まれるととても危険。それで、マフラーとニット帽を組み合わせたようなアイテムを作ろうと考えました。

F:こだわった点は?

藤澤:マフラーの紐についてはかなり工夫しました。普通にリボン結びをしてしまうと、左右の紐の長さが均等にならないんです。なのでマフラーを通す穴を作って、左右の穴に紐を入れる仕様にして結び目が美しくなるようにしました。こうして結ぶと、風に吹かれて飛ばされることもないんです!

ー着用方法を動画でチェックー

video by YUKI FUJISAWA

F:マフラーを着けたまま帽子を脱ぐと、フードのようになるのが新しいなと思いました。これだと男性も使いやすそうです。

藤澤:私自身汗っかきで、冬にニット帽を被ったまま室内に入った時に汗をかいてしまうのが苦手で。脱いだ後に手で持っているのも煩わしいので、フードみたいに下ろせたら便利だなと思い開発しました。実際受注会でも好評で、様々な性別の方に購入していただけました。

Image by YUKI FUJISAWA
Image by YUKI FUJISAWA

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ARAN HAND-KNITTED Knit scarf

F:箔付きのアランマフラーは昨年も販売されていましたね。

藤澤:去年は箔を左右に載せていたのですが、今回は片側だけにしました。二重に巻いた時に、顔の横に箔が来るように設計することで、ハイライト効果で顔色が良く見えたり、横顔が美しく見えるようにデザインしています。また、長く垂らすと縦にアクセントが生まれてスマートな印象にもなります。

F:箔の部分を見せずに普通のアランマフラーとしても使えるようになっていますね。その日の気分によって色々と使い分けができそうです。

藤澤:コーディネートに取り入れやすく、個性的になりすぎないことを心掛けました。ただ程よい遊び心も残しています。通常のアランニットは編みのデザインが左右対象なのですが、このマフラーはアンバランスさを楽しめるよう、リブの長さを左右で変えたり、模様を非対称になるように編みました。

マフラーに箔を載せていく様子 video by YUKI FUJISAWA

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ARAN HAND-KNITTED Mitten

F:最後はミトン。受注会やポップアップではニット帽やマフラーとセットで購入した人もいたそうですね。

藤澤:3アイテムともお揃いの模様を忍ばせているので、セットでお迎えいただけてとても嬉しかったです!アランニットのミトンは昨年も販売したアイテムで、今年は機能面で改良を加えました。

F:親指と人差し指の部分に穴が空いてますね。

Image by YUKI FUJISAWA
Image by YUKI FUJISAWA

藤澤:ユキ フジサワでは自分の生活を反映させたデザインが多くて、ミトンも作った後に自分で自転車に乗って使ってみたんです。その際に道を検索しようとしたらiPhoneを落としてしまって(笑)。ですがミトンを外して操作すると、ミトンを無くしてしまう可能性もありますよね。ミトンをつけたままスマホが操作できるよう、親指と人差し指の箇所に指穴を作りました。穴は両手にデザインしたので、利き手に関係なく使って頂けます。

video by YUKI FUJISAWA

F:模様のモチーフはなんですか?

藤澤:今年は自然物のモチーフにしたくて、色々と悩んで最終的には手の甲は樹皮、掌は葉脈をそれぞれイメージして編みました。

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NEW VINTAGEシリーズでは新たな取り組みも視野に

F:今後アイテムを増やす予定はありますか?

藤澤:来年はハンドニットのセーターにチャレンジしたいですね。少しずつ型数を増やしていきたいですが、ファッションブランドではないので無理にコーディネート提案はせずに、自分たちが心から納得して世に送り出したいと思えるものだけを、職人さんたちと作っていきたいです。

 それと今回のシリーズとは別なのですが、一点物の「NEW VINTAGE」シリーズのアイテムを解体して別のアイテムにしてお返しするサービスを考えています。

NEW VINTAGEシリーズのアランニット Image by YUKI FUJISAWA
NEW VINTAGEシリーズのアランニット Image by YUKI FUJISAWA

F:購入者からアイテムを回収して、別のアイテムに作り変えるということでしょうか?

藤澤:そうです。今実際にお客様が以前着ていたNEW VINTAGEのセーターを解いている最中でして。その糸を使ってミトンやルームシューズなどに編み直そうと考えています。NEW VINTAGEのアイテムはどれもヴィンテージなので、状態によっては箔との相性が悪くなってしまってリペアしても傷をカバーリングできないものもあるんです。なのでそうしたアイテムや、体型が変わって着られなくなってしまったものを「フリマアプリに出品するのではなく、思い出として新しいカタチで手元に残していただけたら」と考え、このサービスを思いつきました。

F:素敵な取り組みですが、かなり大変そうですね(笑)。

藤澤:そうですね(笑)。でも長い時を共にしてきた思い出の一品に新しい価値を加えて、使い手とともに未来に繋げていくのは私たちのブランドのフィロソフィーとも考えているので。またどこかのタイミングでアナウンスできればと思っています。

■FASHIONSNAP.STOREでは「ユキ フジサワ(YUKI FUJISAWA)」の最新コレクションのアイテムを販売中!
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