伊勢丹新宿店の外観
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三越伊勢丹HD、“高感度上質”戦略で百貨店再生へ 外商とデジタルを強化

伊勢丹新宿店の外観 Image by FASHIONSNAP
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 三越伊勢丹ホールディングスが、2022〜2024年度の中期経営計画を発表した。百貨店事業は伊勢丹新宿店と三越日本橋店を主軸に、“高感度上質”戦略を掲げる。具体策として、顧客構造では富裕層のほか、エムアイカード会員とデジタル会員を含む「一般識別顧客」の拡大を図る。2店舗のMD構成では婦人服・雑貨を縮小する一方で、ラグジュアリーと宝飾・時計を拡充。「憧れと共感の象徴」へと進化することで、コロナで打撃を受けた百貨店の再生を目指すという。

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 同社は新型コロナウイルス感染症の影響による経営環境の変化を受け、従来の計画(2019〜2021年度)を昨年11月に取り下げていた。今年5月に新中期経営計画の基本骨子を発表し、今回はその具体的な内容を明らかにした。

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 百貨店の再生に向けて、今回はじめて中期KPI(重要業績評価指標)に「顧客」を掲げた。個人外商では、購入金額が年間100万円以上のエムアイカード会員が現在30万人ほどいるといい、2024年度にはこの売上高を2300億円(19年度比27%増)に引き上げる。そのための施策として、AI等を活用したデータ分析やバイヤーネットワークなどを活用し、百貨店外の潜在ニーズを取り込む。

 一般識別顧客には、エムアイカード会員、アプリ会員、そしてエムアイカードを持っていないがデジタルでつながっているデジタル会員が含まれる。2024年度には一般識別顧客の売上高を5800億円(同28%増)に拡大させる方針で、内訳はエムアイカード会員がコロナ前の水準となる5000億円、デジタル会員は800億円としている。デジタル会員は将来的にエムアイカード会員化を目指し、カード年会費収入増加につなげるという。

 2024年度のオンライン売上は600億円超を計画。デジタル戦略では化粧品EC「ミーコ(meeco)」と、食品やミールキットなどを届けるオンライン定期宅配サービス「ISETAN DOOR」を成長の軸に据え、ミーコに関しては化粧品ECで国内ナンバー1の規模を目指す。なお、オンライン売上は順調に推移しており、これまで赤字だったEC事業は来年または再来年度に黒字化を見込む。

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 伊勢丹新宿店は「世界で最旬・最新」のマーチャンダイジングを推進する。具合的にはファッションの先鋭化やラグジュアリーブランドの強化を進めるほか、高感度上質をコンセプトにした新たなゾーニングも展開する。2024年度に売上高3200億円(19年度比460億円増)を目指す。

 三越日本橋店では伝統や文化・芸術、暮らしといったカテゴリーを軸に、最上質な日々の暮らしを提案。ファッションをメインとする伊勢丹新宿店とはテイストで差異化を図るという。2024年度の目標売上高は1400億円(19年度比70億円増)を掲げる。

 両店舗の外商やインバウンド顧客の具体的な構成比は非開示としているが、一般識別顧客は2019年度から2024年度で10%増の見通し。MD構成についても具体的な数字は開示を控えたが、ラグジュアリーと宝飾・時計の比率を2019年度比の23%から2024年度に27%程度まで引き上げるという。「“特別な”百貨店を中核とした小売グループ」を目指す同社の細谷敏幸 取締役代表執行役社長CEOは、百貨店の再生について「徹底的に“科学”してマスから個に転換する」と意思を表明した。

 今回の中期経営計画で推進する百貨店の再生は「再生フェーズ」と位置付け、その後はグループリソースを活用したBtoB外販拡大などに取り組む「展開フェーズ」、そして基幹店エリアと全国エリアにおいて不動産開発を推進する「結実フェーズ」へと移行する。百貨店事業が核となるのは変わらないが、将来的には金融事業と不動産事業で営業利益を押し上げる考えで、比率は百貨店事業45%、不動産事業30%、金融事業20%の構成となる見通し。10年の長期スパンで500億円レベルを目指す。結実フェーズで取り組むまちづくりに関する動きでは「新宿三丁目駅前西地区市街地再開発準備組合」に参画しており、今後は新宿駅東口地区におけるまちづくりコンセプトフレームを策定するという。

 中期経営計画の最終年度となる2024年度の目標は、経営統合後の最高益となる営業利益350億円達成。同日に発表した2022年3月期第2四半期の営業損益は77億5800万円の赤字で、通期では30億円の黒字転換を目指しているが、目標にはほど遠い。細谷CEOは「百貨店事業が再生したあかつきには顧客が増えている想定。新たに外販もしていくので、厳しいということではない」と前向きな姿勢を示した。

 なお、今期の通期業績予想の修正を発表。営業利益と経常利益はそれぞれ30億円で据え置き、売上高は前回予想から120億円引き下げ4350億円、当期純利益は20億円引き上げ30億円とした。売上高の下方修正は新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言で8月と9月の売り上げが苦戦したことが影響しているが、純利益に関しては経費構造改革が奏功したことを受け上方修正した。

■三越伊勢丹ホールディングス 2022年3月期第2四半期連結実績
総額売上高:3989億円(前年同期比18.9%増)
営業損益:77億円の赤字(前年差100億円増)
四半期純損益:81億円の赤字(前年差286億円増)

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