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伊勢丹新宿店化粧品売り場の1〜6月はOMO推進し回復基調 今後はCRM活用の顧客軸に

Image by: 伊勢丹新宿店

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伊勢丹新宿店化粧品売り場の1〜6月はOMO推進し回復基調 今後はCRM活用の顧客軸に

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 1年以上のコロナ禍で化粧品売り場は、得意とするタッチアップの自粛やテスターの使用不可などで未だ苦戦を強いられているところも多い。そんな中でも他業種同様にデジタルの活用など、新しい取り組みで顧客の呼び戻し新規客獲得に力を入れる店舗も見られる。

オンラインでも客との繋がりを重視、ミーコとの連動を強化

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 百貨店化粧品売り場最大規模のひとつ、伊勢丹新宿店は三越伊勢丹グループの強みを生かしたデジタル施策が奏功する。同店は、同社の化粧品オンラインストア「ミーコ(meeco)」との連携を強めた結果、ミーコの2021年1〜6月の売り上げは2桁成長、EC化率は2割に達した。

 ミーコとの連携では毎年恒例のメイクの祭典「イセタン メイクアップ パーティ」の取り組みが分かりやすい。これまでも相互送客の取り組みを行なっていたが、今年は初めてバーチャルストアをオープン。リアルの催事場を再現したバーチャルストアで、ここから直接、ミーコで購入できる導線を整備した。これにはもちろん、ミーコの売り上げを上げたいということもあると思うが、コロナ禍でリアルの会場の混雑緩和を考慮し、入場制限や来場者数を大幅に抑えたことで、来場できない客に対してどう対応するか。その点で来場した気分が感じられ、購入できるバーチャルストアは有効だった。「店頭にはあえて商品を積まなかったことで店頭の売上は減少したものの、計画的にミーコでの販売を促進し、全体では予算比15%増で会期を終えた」と、4月に新宿化粧品 スーパーバイザーに就任した片岡晴久氏は振り返った。

3月に行った「イセタン メイクアップ パーティ」の様子

バーチャルストアのイメージ

 もう一つ、ライブ配信も伊勢丹新宿店の強みだろう。こちらもミーコと連携し「SHISEIDO」や「クレ・ド・ポー ボーテ(Clé de Peau Beauté)」「カネボウ(KANEBO)」などブランドとのコラボレーションで製品を紹介した。またこれまでコメント欄への書き込みに答えるといったことは実施していたが、7月に行った「スリー(THREE)」とのライブ配信では「視聴者が参加して直接質疑応答ができるライブを行った」と語り、一歩踏み込んだ顧客接点を確保したことも新しい取り組みだ。

 さらに今春から20〜30ブランドを対象に、美容部員によるリアルな使用感のレビューを取り入れた。顧客と一番近い距離で接点がある美容部員が気になる情報を盛り込んだ商品説明は、より身近に感じられることからニーズがあると見ている。「今後は、スター美容部員の育成や、ライブコマースなどデジタル接客から購買への導線を整えたい」と先を見据え、OMO(Online Merges with Offline)を推し進める。

「美容熱心なお客様は予想以上に多い」

 これらの結果、伊勢丹新宿店化粧品の2021年1〜6月実績は3度の緊急事態宣言下で通常営業ができない日も多かったが、国内客ベースで前年同期比10%増だった。デジタルでの好調に加え、片岡スーパーバイザーは「美容に熱心なお客様は思った以上に多く予約制の個別接客は喜んでもらえた」と語る。7月に入っても新規、エントリー顧客ともに戻っているといい、スキンケア、メイクともに前年を超えて推移する。

 商品別では、1月にリニューアルした「ポーラ(POLA)」のシワ改善美容液「リンクルショット メディカル セラム」は、発売前から話題を集めていた。また、「バイオプログラミング(Bioprogramming)」は、2万円以上の高級ドライヤー「レプロナイザー」シリーズが好調で、両ブランドともに2桁成長だった。SNSで書き込みも目立ち、リニューアル前後で旧製品の駆け込み購入もあった「スック(SUQQU)」のアイシャドウ「シグニチャー カラー アイズ」も好調で、そのほか「ジョー マローン ロンドン(JO MALONE LONDON)」や「ディプティック(diptyque)」は、今のステイホームに伸長し2桁増。高価格帯の「シスレー(SISLEY)」や「ドゥ ラ メール(DE LA MER)」などスキンケアブランドは固定客のリピートが売り上げを支えたという。

アフターコロナのニーズに対応

 今後もOMOに注力する。毎年恒例の香水の祭典「サロン ド パルファン」を昨年同様に1階のザ・ステージと本売り場で開催し、今回もミーコとの連携でさまざまな施策を計画中だ。情報発信では、インスタグラム「イセタンビューティ(@isetan_beauty)」に加え、8月中旬以降にツイッターアカウントも開設する予定で、ユーザー層が異なるプラットフォームにリーチすることで、新たな顧客を獲得する狙いだろう。

2020年の「サロン ド パルファン」会場

 また商品軸では、コロナ禍でのニーズの変化に対応しドクターズコスメ・高機能コスメ、さらにはライフスタイルブランドのポップアップなどを積極的に行う予定。アフターコロナを見据え、ニーズの変化を捉え応えたいといったことからだ。マーケティングにおいては、三越伊勢丹アプリやミーコの購買データはこれまでMD分野への応用はしていたが、再来店の促進や顧客サービスには活用しきれていなかったとし、売り場スタッフや取引先ブランドともコミュニケーションを図りロイヤルカスタマーの創出を狙うという。「限定品や先行販売など取引先の皆様の力を借りて、商品力・集客力の強みを踏襲しつつ、今後はお客様と繋がりを続けるために顧客軸でCRM活用を推進していきたい」とし、2021年7〜12月の売上は前年同期比20%増の成長を目標に掲げた。

片岡晴久(化粧品グループ 化粧品営業部 新宿化粧品 スーパーバイザー):2010年伊勢丹新宿店 婦人雑貨営業部に入社し、2017年にPlan・Do・Seeに出向。2018年から化粧品グループ 化粧品営業部 計画担当となり、2021年4月から現職。

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