隈研吾氏
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「アシックス(asics)」が、建築家の隈研吾とのコラボレーションシューズ「アーキサイト・オル(Archisite ORU)」を4月5日に発売する。発売に先駆け、隈研吾が建築を手掛けた早稲田大学国際文学館 村上春樹ライブラリーでローンチイベントを開催。隈研吾とアシックス スポーツスタイルの開発担当者が登壇し、制作の裏話についてのトークショーを行った。
隈研吾がアシックスとコラボするのは、今回が3度目。新モデル「アーキサイト・オル(Archisite ORU)」は、隈自身が建築現場や様々な国を行き来する機会が多いことから、一足で様々な場面に対応できるようなシューズとして開発した。ぬかるんだ建築現場や山の中といった環境に耐えられるようトレイルランニングシューズに用いられるソールを採用し、飛行機やホテルなどではリラックスできるよう、靴紐の着脱でリラックスできる仕様に仕上げた。隈は当初の構想について「現場はもちろん、夜のパーティーなどのフォーマルな場に履いて行っても浮かないようなデザインを重視した。全ての場所に通用するような機能性とデザインを理想として制作に取り掛かった」と振り返った。アッパーは、隈の「サンダルのように裸足で履きたい」というリクエストのもと、素肌に触れてもストレスがないようなデザインとして、過去のコラボモデル「メタライド アム(METARIDE AMU)」でも採用していた竹細工技法の「やたら編み」を施したアッパーを、アウトドアアイテムに用いられる防水素材「ダイニーマ(Dyneema)」のクリアフィルムで覆った。
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アーキサイト・オル
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開発担当者によると、新たに取り入れたダイニーマは、本来靴に使用するのには向かない素材。防水性は申し分ないが、その強度から靴に縫う上で高度な技術が必要なことから、取り入れ方は試行錯誤を重ね、制作期間は約3年かかったという。隈氏はダイニーマについて「当初、アシックスから素材の提案があった時には強度などの性能について話をもらったが、僕はビニールっぽさのない肌触りの良さや、機能性だけではなく見た目の繊細さが気に入って採用を決めた」と話す。会場となった村上春樹ライブラリーに使われる繊細なレースカーテンを例に挙げ「(そのカーテンは)存在があるようなないような、そのギリギリのところにあるような素材だが、その素材を彷彿とさせるような繊細さが気に入っている」と話した。
隈研吾氏
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また、シューレースは結ぶのではなくサイド部分で引っ掛けて留める仕様となっており、その理由について隈は「靴紐を結ぶという動作が子どもの頃から苦手で、うまくできずに親に怒られたことがトラウマになっているので、靴紐ではない履き方を考えた」と明かした。靴紐を掛けるフックは、機能性を保ちながら、アシックスのアイコンであるメキシコラインのステッチと重ねることでデザイン性も高めたという。「今回のアーキサイト・オルは、一見、繊細に見えるが高度な技術で骨組みや柱を固めることで耐久性を担保する、という建築に通ずる本質を秘めていると思います。ある意味、僕が建築でやりたい未来を暗示していると言えますね」と話した。
同イベントには、メディア関係者をはじめ、アシックスの会員サービス「ワンアシックス(OneASICS)」で抽選に参加した当選者、早稲田大学の生徒も参加。参加者からの「靴をデザインする上で売上については考えるか」といった質問に対して、隈は「売上については考えないが、量産する上での作りやすさは考えた。その上で、時代が求めているものに突き刺さるような尖ったものを作ろう、と考えて制作した」と答え、その場を締めくくった。
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