今年2月にルイーズ・トロッター(Louise Trotter)を新クリエイティブ・ディレクターとして迎えた「カルヴェン(CARVEN)」が、5年ぶりにパリのランウェイに復帰し、2024年春夏ウィメンズ・コレクションを披露した。インヴィテーションは、ルイーズが敬愛しインスピレーションを得ているというスコットランド人アーティスト アリソン・ワット(Alison Watt)が2016年に発表した作品「Warrender」。退廃的なムードが漂う会場で、チェロ奏者アーサー・ラッセル(Arthur Russell)の「All Boy All Girl」が鳴り響く中、新生「カルヴェン」がベールを脱いだ。
ルイーズ・トロッターらしいリアルクローズで幕開け
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記念すべき幕開けは、トレンチコートの下にニットと白シャツを重ねたリアルクローズなスタイル。久方ぶりの表舞台への復帰を飾るには少々控えめなファーストルックだが、新生「カルヴェン」の"ファーストインプレッション"と捉えると、クリエイティビティとコマーシャルな視点のバランス感覚に定評のあるトロッターらしいと言えるだろう。
シアー素材を使用したミディ丈のキャミソールドレスとスカートは、今シーズンのキーアイテムの一つ。主役として着たり、色味の合わせた開襟シャツと組み合わせたり、様々なスタイリングで健康的な女性たちの印象を残す。
創業者マダム・カルヴェンの想いをシルエットに
続くルックの数々は、創業者マダム・カルヴェン(Madame Carven)が掲げていた"パリらしい女性のファッション"を思い起こさせるフェミニンな雰囲気。シンプルなスタイリングでも肩やウエストを強調することで、女性らしいシルエットを浮かび上がらせた。
パリの夜に映えるドレッシーな装い
前半は淡いニュートラルなカラーを、中盤は明るいホワイトを基調としていたが、後半にかけてブラックの比率が高いモノトーンのルックを提案。ボディコンシャスなコルセットドレスをはじめ、夜の街に繰り出すパリの女性たちを意識したかのようなドレッシーな装いが目立つ。
スタイリングに華を添えた表情豊かなハンドバッグ
また、コレクション全体で手元を飾った表情豊かなハンドバッグの数々は、これまでの「カルヴェン」には見られなかった挑戦と言える。ビーズ装飾をポイントに、リアリティのあるスタイリングを完成させた。
2018年に経営破綻し、中国・上海のアパレル企業アイシクル・ファッション・グループ(ICICLE FASHION GROUP)の傘下になって以降、クリエイティブディレクターを置かずファッションショーも休止し、ブランドの再生に努めてきた「カルヴェン」。ルイーズが舵をとる新たな船出は、派手さはないが今後の躍進に期待が高まるショーとなった。
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