2024SS Collection
Image by: LOEWE
全くもって新しいものなど、今日のファッション界では中々見当たらないわけだが、巷で流行りの共感されることに重点を置く存在ではなく、羨望される存在でなければならないブランドのアティテュードとして、新しさは追求して然るべきである。ラグジュアリーとカテゴライズされる、ヘリテージやコードといったクラシックを売りにしないブランドにとっては尚更大事で、数少ないその一翼がジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が手掛ける「ロエベ(LOEWE)」だ。2024年春夏ウィメンズコレクションは、メンズから引き続き、身体造形に影響を与える服を提案した。
ハイウエストで作るプロポーションの提案
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Y2Kトレンドがデムナ(Demna)が牽引したオーバーサイズトレンドほどのインパクトを与えないのは、フォルムの提案ではなかったからだろう。クリスチャン・ディオール(Christian Dior)がAラインやHラインを作り出したように、ファッション史に名を刻むデザイナーは共通して新しいフォルムを生み出してきている。
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「ファッションはシルエットへ」と声明を出すほど、アンダーソンの視座は輪郭に焦点を当て、プロポーションを刷新することに向けられている。同氏が2024年春夏ウィメンズコレクションで提案したのは、ハイウエストパンツとタックインで作るスタイル。ベルトループの位置が胸下辺りまでくるストレートパンツは、必然的にポケット位置も高くなり、そこに手を入れて作る腕の角度によるプロポーションはアンブレラシルエットとでも呼べばいいか、目新しさを生んでいる。ハイウエストパンツは2024年春夏メンズコレクションからの継続展開となったが、新しいプロポーションの追求の中で、アンダーソン自身も手応えを感じているのではないだろうか。近しい例として、ミウッチャ・プラダ(Miuccia Prada)とラフ・シモンズ(Raf Simons)の共同クリエイティブディレクターによる「プラダ(PRADA)」の2023年春夏ウィメンズコレクションで、片方の腕で前開きを持つルックが多く登場したほか、日本のブランド「ピリングス(pillings)」が2023年秋冬コレクションでハグするようなプロポーションを提案するなど、それぞれデザインの意図は違えど、従来よりファッションデザインにおいて重要視されてきた"肩"ではなく"腕"にデザイナーたちの視線が向いていることに、次の時流を感じざるを得ない。
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加えて、ファーストルックで登場した腕を拘束して作るニットによるIラインも、服が身体を特定のポーズに促さんとする企ての一つだろう。
継続するアイデアも一捻り加えるのがロエベ
継続するアイデアも、一捻り加えるのがロエベがロエベたる所以。メンズでも登場したピンの刺さったディテールは、今回はベルトとして活用。つまんで留めることで、パンツやスカートに独自のドレープを与えている。またアンダーソンが得意とするアシンメトリーデザインは、ティアードスカートや裾を折り畳んだコート、片側だけラペルが付いたオーバサイズのニットなどにみられた。
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じわりじわりと人気を集めてきているハーフジップのアイテムも披露。二重に重ねたように見えるハーフジップニットも、タックインしてハイウエストパンツと合わせることで野暮ったさと新しさを共存させたルックに仕上げた。
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アメリカの彫刻家 リンダ・ベングリス(Lynda Benglis)との協業も継続。2022年秋冬プレコレクションのキャンペーンヴィジュアルでモデル起用し、2024年春夏メンズショーに配された3つの噴水を手掛けたアーティストの6つの彫刻作品を展示。「Elephant Necklace(象のネックレス)」と呼ぶ、粘土彫刻を巨大化し鋳造した作品が白をベースにした会場に設置された。
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