現代美術家 杉本博司が大規模個展「杉本博司 絶滅写真」を東京国立近代美術館で開幕する。会期は6月16日から9月13日まで。開幕前日に行われた内覧会を取材した。
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展覧会では、建築や舞台芸術、書、陶芸など多岐にわたる杉本の活動の原点に着目。1975年のデビューから現在に至るまで取り組む銀塩写真に焦点を当て、約60作品を集めた。会場は、「時間・光・記憶」「観念の形」「絶滅写真」の3章で構成。時間・光・記憶では、博物館などのジオラマを実際の風景のように写し取った「ジオラマ」、水平線で画面を2等分する構図で世界中の海を記録した「海景」、一本の映画の始まりから終わりまでシャッターを開放して撮影した「劇場」など、活動初期の代表的な作品群が並ぶ。



「ジオラマ」
2つ目のエリアでは、三次関数の数式を立体化した模型をモチーフとした「観念の形」シリーズと呼応するように、著名なファッションデザイナーの作品を彫刻として撮影した「スタイアライズド・スカルプチャー」を並置。マドレーヌ・ヴィオネ(Madeleine Vionnet)や川久保玲らのドレスを捉えた写真が揃い、クリスチャン・ディオール(Christian Dior)による「バージャケット」と「ソワレドレス」を収めた未公開の作品を披露する。また、モダニズム建築の名作をあえてボカして撮影した「建築」シリーズも登場。ル・コルビュジエ(Le Corbusier)によるサヴォア邸や、ニューヨークの摩天楼を象徴するクライスラービルなど、名建築の構造の力強さを朧げなイメージで逆説的に表現している。人間の知性と想像力が生み出したフォルムに対する、杉本の深い関心を感じさせるエリアだ。





「スタイアライズド・スカルプチャー」
展覧会全体のタイトルにもなっている最終章「絶滅写真」では、写真の急速なデジタル化で絶滅の危機に瀕する銀塩写真そのものをテーマに設定。化石や放電、蝋人形などさまざまなイメージを通して、銀塩写真という媒体とアーティストとしての自身の終焉を重ね合わせるように表現した。同エリアには、太陽光が複数の色で構成されることを発見したアイザック・ニュートンの実験に着想を得た最新のカラー写真「オプティクス(Opticks)」シリーズや、アイウェアブランド「ジンズ(JINS)」が制作協力したオブジェ「カメラマン(CAMERA MAN)」といった近年の作品群も展示。複数加えられた旧シリーズの新作も含め、「絶滅」というテーマに対する同氏の最新のヴィジョンが感じられる展示となっている。




「肖像」
最終更新日:
■杉本博司 絶滅写真
会期:2026年6月16日(火)〜9月13日(日)
開館時間:10:00〜17:00(金曜・土曜は10:00〜20:00)
会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー
所在地:東京都千代田区北の丸公園3-1
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