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パリメンズ期間がウィメンズブランドの商機に? 海外開拓のための展示会開催が増加

 記録的な熱波の中で開催中の2027年春夏シーズンのメンズファッションウィーク。6月23日から28日まで開催される公式スケジュールでは、全体74ブランドのうち日本から15ブランドが参加している。このメンズが主役のウィークの裏で、若手・中堅の日本の“ウィメンズブランド”も奮闘中。海外市場の開拓を見据え、同時期にパリで展示会を開催するブランドが増えているのだ。

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 過去にもパリへの出展経験を持つ「オダカ(ODAKHA)」や「タナカ ダイスケ(tanakadaisuke)」は、今回のメンズウィーク中(以下、メンズ期)の合同展示会に参加するため、ブランドのビジネススケジュールを変更。前回の2026年秋冬コレクションを、日本ブランドの発表の場である東京ファッションウィーク(Rakuten Fashion Week TOKYO)よりも早い2月に発表した。また「チカ キサダ(Chika Kisada)」も今回からメンズ期での出展に変更。ブランド初期から海外進出を戦略的に描いてきた「フェティコ(fetico)」は、すでに2026年秋冬シーズンからメンズ期へと切り替えている。

 また、「TOKYO FASHION AWARD」がパリで開催するショールーム「showroom.tokyoin Paris」でもその傾向が見られる。今回のショールームには、「キミノリ モリシタ(kiminori morishita)」や「マツフジ(MATSUFUJI)」といったメンズブランドに加え、「コトハヨコザワ(kotohayokozawa)」や「アンセム エー(ANTHEM A)」がユニセックブランドとして参加する。

 「マメ クロゴウチ(Mame Kurogouchi)」などでは、パリのメンズファッションウィーク中にセールス向けの展示会を行い、ウィメンズファッションウィークでショーを開催するという発表形式をとっている。ショーの後にセールス込みの展示会を開催するのが通例だが、ショーの目的をブランディングやコンセプトの発信に徹底することで、世界観やイメージの構築がしやすいという利点があるだろう。

 ウィメンズブランドがあえてメンズ期(6月/1月)に展示会を行う理由のひとつには、小売店側の買い付け予算の兼ね合いが挙げられる。この時期は、海外セレクトショップや百貨店が「ウィメンズ・プレコレクション」を買い付けるタイミングに相当。9月/3月のウィメンズのメインコレクション時期に対して、競合が比較的少なく、バイヤーの予算枠を確保できる可能性が高まる。

 加えて、国内の生産スケジュールの最適化という側面もある。現在、日本の衣服生産現場は工場の減少や職人の高齢化により、デザイナーズブランドは生産ラインの確保が課題の一つになっている。パリファッショウィークのウィメンズ期(9月/1月)に受注した場合、納期がシビアになり生産サイドに負担がかかる場合がある。受注時期をメンズ時期に前倒しすれば生産期間を長く確保でき、工場との関係性や質の向上にもつながるだろう。

 こうした戦略的シフトが進む一方で、海外市場のハードルは依然として高い。昨今の円安は、輸出面において「価格競争力を高めるプラス材料」と捉えられがちだが、現場の視線は冷静だ。パリメンズファッションウィーク期間中に現地で合同展「LOBSTER SHOWROOM」を運営する新井泰顕代表は、「数年前と比較して為替の恩恵はあるものの、国内の生産コスト自体が上昇しているため、商品価格も上昇傾向になります。円安だけで売れるわけではないと感じます」と分析。一方で、「既存の取引先にとってはメリットを感じやすい状況ではないか」とし、継続取引のフックとして期待しているという。

 また、日本ブランドを取り巻く環境の変化について、新井代表は「パリに出展する日本ブランドが増えたことで、良くも悪くも『日本ブランドだから』という理由だけで特別視されるフェーズは終わったと感じています」と前置きした上で、日本のものづくりの高い品質に太鼓判を押す。「それでも、日本の素材や縫製、加工技術が生む『完成度の高さ』は、今なお海外で大きな強みです。独自のバランス感覚や繊細な美意識は現地でも高く評価されていますし、ていねいに作られたサンプルが整然と並ぶブースの美しさに、感動してくれるバイヤーさんもいらっしゃいます」。クオリティへの信頼という土台があるからこそ、現在は彼らの純粋なクリエイションの質と提案力そのものに目が向けられているようだ。

 ただ、昨今の円安や地政学的リスクに伴う渡航費・輸送費の高騰はむしろ負担を大きくしている。現在、中堅ブランドのパリへの出展コストは、1シーズンで250万円程度に上る。また、展示会を開いても初回から買い付けるバイヤーは少なく、通年でのクリエイションを確認する意味でも「3シーズンは様子見」というのが業界のセオリー。出展コストに対して、一度の展示会で黒字化することは容易ではない。それでも、独自のクリエイションを世界へ発信するべく、挑戦を続けるブランドに目を向けていきたい。

最終更新日:

■ロブスターショールーム(Lobster showroom)
・開催期間:6月24日(水)〜6月28日(日)
・会場:78 Rue Amelot 75011 Paris
・オープン時間:10:00〜19:00
※初日は14:00開始、最終日は12:00に終了予定
・参加ブランド
チカ キサダ(Chika Kisada)/オダカ(ODAKHA)/タナカ ダイスケ(tanakadaisuke)*/スポメニック(Spomenik)*/エフシーイー(F/CE.)/グランク(Gurank) *ウィメンズ・メンズを展開
・問い合わせ先
hi@lowst.ltd
t.nakahara@thefactory.co.jp
kikumoto@servereceive.com
※アポイントフリーで入場可能

■「フェティコ(fetico)」
・開催期間:6月25日(木)〜6月29日(月)
・会場:7 Rue Notre Dame de Nazareth 75003 Paris
※グローバルショールーム「Dear Progress」の合同展に出展
・問い合わせ先(要予約)
sasha@dearprogress.com
denis@dearprogress.com

■TOKYO FASHION AWARD showroom.tokyoin Paris Mens 2027SS
・開催期間:6月24日(水)〜6月29日(月)
・会場:21 rue des Filles du Calvaire, 75003 Paris
・オープン時間:10:00~19:00
※最終日は13:00に終了予定
※カクテルレセプション・モデルプレゼンテーション:6月25日(木)18:00〜21:00
・参加ブランド
【2026年度受賞ブランド】コトハヨコザワ(kotohayokozawa)/アンセム エー(ANTHEM A)/キミノリ モリシタ(kiminori morishita)/マツフジ(MATSUFUJI)」
【2025年度受賞ブランド】パラトレイト(paratrait)」/カネマサフィル(KANEMASA PHIL.)/タム(Tamme)/トキオ(tokio)

※日付はすべてパリ現地時間

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