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資生堂2026年1〜6月期は純利益3.1倍 藤原社長「構造改革から成長フェーズへと転換」

 資生堂が2026年1〜6月期の連結業績を発表した。売上高が前年同期比6.2%増の4989億6500万円、コア営業利益が同90.1%増の444億3200万円、営業利益が同131.8%増の419億2500万円、親会社の所有者に帰属する中間利益(純利益)が同3.1倍の296億9700万円だった。「ナーズ(NARS)」の新商品出荷にともなう反動減の影響を除けば、主要ブランドすべてで改善が見られ、特に「エリクシール(ELIXIR)」と「ナルシソ ロドリゲス(narciso rodriguez)」が全体の成長を牽引。収益性の向上が進む中、通期での業績予想については従来の見通しを据え置いている。

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 昨年11月に発表した「2030 中期経営戦略」の進捗について、藤原憲太郎社長は「短期的な数字の改善にとどまらず、資生堂が構造改革を進めるフェーズから、成長を実現するフェーズへ変わり始めている」とコメント。「課題に対して数字の背景にある根本要因を分析し、ブランドや地域ごとに戦略の成否を検証した上で、改善アクションをスピード感を持って実行する。加えて成長機会が明確な領域にはブランドと地域が一体となって“攻めの投資”を行う。この経営の仕組みが着実に機能し始めている」と手応えを語った。

 事業別では、日本事業が売上高は同0.8%減(為替の影響を含め実質0.4%減)の1447億100万円とわずかに減収となったが、コア営業利益は同7.2%増の209億1100万円と増益を確保。原価率や人件費率の低減とマーケティング投資を強化し、収益性の改善につなげた。エリクシールや「アネッサ(ANESSA)」が2桁成長を維持したほか、「SHISEIDO」も新規顧客の獲得が進んだ。インバウンド需要に関しては、中国人旅行者数の減少が続き影響した。

 中国・トラベルリテール事業では、売上高は同10.0%増(実質0.1%減)の1914億円、コア営業利益は同22.7%増の476億円だった。中国市場では第2四半期にプラス成長へ転じ、「クレ・ド・ポー ボーテ(Clé de Peau Beauté)」やナーズが牽引した。藤原社長は「消費者はより本質を求める購買行動に変化しており、圧倒的な技術力や使用感、信頼性といった価値が再評価される傾向が、我々にとっての追い風となっている」と分析する。ブランドを横断した価格規律の強化や人的生産性の向上が増益に寄与した一方、トラベルリテールにおいては中国大陸のリテーラー再編の影響により減収となったが、マイナス幅は縮小している。

 アジアパシフィック事業では、韓国やベトナムなどの主要市場で成長が継続。特にエリクシールが同80%超の急成長を遂げ、日本市場における成功パターンの横展開が成果を上げている。これにより、売上高は同10.1%増(実質2.1%増)の370億6400万円を記録した。

 米州事業の売上高は同6.0%増(実質0.9%減)の545億7200万円、コア営業利益は20億1500万円を計上し、前年同期の赤字から黒字に転換した。これまでの構造改革の効果として、75億円のコスト削減が計画通りに発現。藤原社長は、これまでの事業再建フェーズから、利益基盤を整えた成長投資フェーズへと移行したことを強調した。EコマースではSHISEIDOが牽引したほか、「ドランク エレファント(DRUNK ELEPHANT)」と「ドクター デニス グロス スキンケア(Dr. Dennis Gross Skincare)」もプラス成長に転じたことから、今後はAmazonをはじめとするオンライン売上比率の拡大を目指し推進していく。

 欧州事業は売上高が同12.4%増(実質1.2%減)の668億6300万円と増収であったものの、コア営業利益はマイナス33億9300万円の赤字が継続。上期中にマーケティングの先行投資を実施したためであり、下期での利益回収を目指す方針を示している。

 ブランド別では、SHISEIDOが「アルティミューン」や「バイタルパーフェクション」といった将来の成長の柱となるラインに経営資源を集中した。グローバルアンバサダーにLISAを起用したことで、若年層の新客獲得が進み、ブランドの裾野が拡大している。下期はこれらの主要商品へ重点的な投資を行うとともに、先進のサイエンステクノロジーを搭載した新しいファンデ美容液バイタルパーフェクションの新美容液を投入する。

 クレ・ド・ポー ボーテは、上期は最大市場である中国・トラベルリテールにおいて、流通価格の規律を維持しながら主要商品が牽引し、力強い成長を実現。新美白美容液「クレ・ド・ポー ボーテ セラムエクラS Ⅱ」も好調で、高い技術力がブランド価値へと変換される取り組みの成果が現れ始めている。ナーズは、ベースメイクを成長の核と位置づけながら、アイおよびチークカテゴリーを強化することで、持続的に市場シェアを拡大できるブランドへの進化を図る。

 エリクシールは、コラーゲンサイエンスを軸とした商品に注力する戦略転換が奏功し、注力ブランド群の中でも最も安定した成長を見せている。上期はブライトニング化粧水・乳液の刷新やトーンアップUV乳液の新色が成長を牽引した。さらに、多様な国籍の旅行者需要の獲得やアジアパシフィックでの展開拡大も寄与している。日本での成功モデルを世界へ広げるフェーズに入り、下期には先進技術を搭載した「トータル V クリーム」のリニューアルによってさらなる成長を見込む。

 フレグランスカテゴリーでは、従来のように多くの新商品へ分散投資するモデルから、毎年1つの大型新商品に集中して投資するモデルへと移行。これにより、効果的に顧客の関心を引きながら利益を伴う成長を目指す。下期には「マックスマーラ(Max Mara)」からの大型新商品の発売を控え、上期の成功モデルへの継続投資と合わせて成長をさらに加速させる方針だ。

 こうしたブランド展開を踏まえ、藤原社長はこれまでの課題が「優れた技術を主要商品や長期的なブランド資産へと育てて、売上や利益へ継続的に変換する、といった仕組みが十分に構築されていなかった点にある」と総括した。今後は技術を持続的かつ再現性のある成長モデルへ変換していく方針を改めて示し、その代表例として資生堂のファンデ美容液シリーズを挙げた。下期には同シリーズからマットタイプを投入するほか、すでに複数ブランドで展開しているコーポレート共通のサイエンステクノロジーを、2028年までに海外ブランドへと搭載する動きを加速させる。

 通期の業績予想は、今年2月に公表した見通しを据え置いた。売上高は前期比2.1%増の9900億円、コア営業利益は同55.0%増の690億円、営業利益は590億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益は420億円を見込んでいる。年間配当は前期の40円から60円へと増配する計画である。売上高については欧米を中心に未達リスクを想定するものの、成長機会への重点投資を加速させることでリカバリーを図る。コア営業利益に関しては、積極的なブランド投資を継続しつつも高い収益規律を維持し、計画の超過達成を目指す。地政学リスクのうち、日中関係は第1四半期時点の想定から乖離はなく、中東情勢による経営への影響は原材料の需給改善にともない軽減される見通しである。

 藤原社長は「最も重要なのは組織文化」と強調。資生堂独自の価値を創造すべく、行動基準「THE SHISEIDO WAY」を日々の意思決定の基準として浸透させ、変化に迅速に対応し挑戦し続ける企業文化への変革を進める。今後は、「コスト規律や改革の意思を決して後戻りさせない。勇気を持ってやめるべきことをやめ、生み出したリソースを成長領域へ振り向ける選択と集中を徹底する」と決意を語った。「先人が150年築いてきたブランド、技術、人材、企業文化を生かし、次の成長に向けた変革を実行する。資生堂が持つ本来の力を引き出し、中長期的な企業価値を最大化していく」と締めくくった。

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