ATSUSHI NAKASHIMA 2023年秋冬コレクション
Image by: ©︎Daichi Saito
デザイナー中島篤が手掛ける「アツシ ナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)」が、ミラノファッションウィークの最終日となる現地時間2月26日にランウェイショーを開催した。今回発表した2023年秋冬コレクションで、同ブランドは環境問題に取り組むブランドとしてリブランディング。今後は「100年後の未来」のために創作を続けていくという。
アツシ ナカシマがミラノでコレクションを発表するのは、2020年春夏以来3年半ぶり。中島自身の健康上の問題をきっかけに、環境問題を意識するようになり、同時にコレクション発表を行う行為自体が服の大量廃棄など環境破壊につながっているのではと考えるようになったという。そこで同氏は、自身のブランドと併行し、ITコンサルティングなどを行うKeepAliveと共同で「サーキュラリティ(Circularity)」プロジェクトを立ち上げ。再生可能素材を使ったデザイン性の高い服を作ることで、新たなファッションの楽しみ方を体験できるような、「循環性」を持ったプロジェクトを目指すとしている。
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コレクションの軸にはあるのは、「循環性」をキーワードにした再生可能素材。1つ目は、環境配慮型素材の研究・開発・製造・販売をしているワークスタジオ(WORKSTUDIO)が開発した「PANECO®」で、布だけではなく合成皮革など廃棄衣料品に含まれるさまざまな繊維をアップリサイクルすることができるサステナブルな環境配慮型素材の繊維アップリサイクルボードだが、アツシ ナカシマでは服を粉砕して和紙の原理でテキスタイルに仕上げた。2つ目は、マテリアル・クリエイション・カンパニーのBioworksによる「PlaX」。サトウキビなどの植物を原料とするバイオプラスチック「ポリ乳酸(PLA)」に、Bioworksが独自に開発した植物由来の添加剤を加えることで、品質と機能をアップデートしたカーボンニュートラルな新しい素材で、生分解するため土に還るという。そのほか、過去のコレクションで使用した廃材を用い、環境に配慮した。
デザインは、アツシ ナカシマのアイデンティティでもある幾何学模様とシンメトリーを中心に構成。「PANECO®」で作られたボディスーツや、白濁したような風合いの「PlaX」を用いたティアードドレスやトレンチワンピ、NFCチップのマークをあしらったドレス、ビニールとガムテープで作られた黒のドレス、円錐のようなフォルムの紙で作ったアートピース、型紙を縫い合わせたような幾何学フォルムのドレスなど披露した。
Image by: Daichi Saito
また、会場の客席には、NFC(Near field communication=近距離無線通信)チップを搭載した「PANECO®」を置き、プレスリリースや今回のショーに携わった関係者のリスト、ショーの後即時ルックを掲載するなどして、デジタルタッチポイントを設けた。
今後もミラノでのコレクション発表に意欲的で、今後も「100年後の未来」のためにサーキュラリティ プロジェクトを推し進めていく方針だという。
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