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シュタインがパリ公式で2度目のショー 明け方の景色に見出したラグジュアリー

 「早朝の散歩が好き。時間がゆっくり流れていて、前向きな気持ちで1日を始められる感覚があるんです」。「シュタイン(ssstein)」のデザイナー 浅川喜一朗はそう語る。読書や朝のコーヒー、あるいはランニングなど、人々が思い思いに過ごす明け方のひとときに、浅川は“ラグジュアリー”を見出していた。そんな折に手にしたのが、アメリカの現代芸術家 ロニ・ホーン(Roni Horn)の画集「Remembered Words」。さまざまな色のドットが一つ、また一つと増えていく作品を目にした瞬間、自身が抱いていた早朝の空気感と接続される感覚があったという。その瑞々しい感動を着想源に生まれたのが、2027年春夏コレクションだ。

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 「薄く霧が⽴ち込めた空気がゆっくりと、うっすらと明るくなり、まるで時間が⽌まったように感じられたんです。真っ⽩なキャンバスに⾒⽴てた⾃分に、陽が上るにつれて次第に優しい⾊あいが重なっていくシーンを想像しました」。その言葉を体現するように、ショーはキャメルブラウンのアウターを主役に据えたルックからスタート。襟元に配されたダークブラウンは、黎明の時間帯に消えかかりつつも残る夜の欠片を想起させる。

 コレクションを通じて取り入れられているのがライトベージュのカラーパレットだ。やや艶のあるジャケットとシャツを合わせたルックでは、ブランドのキーカラーと言えるブラック主体のダークトーンは用いられていないが、その静謐で上品な佇まいの生地感からシュタインの服だと分かる。

 今シーズンを象徴するアイテムが、ラグジュアリーブランド御用達の高級サプライヤー ポントリオ社のコーデュロイを用いたハーフコート。⽣地に洗いとタンブラー乾燥を施すことで畝を際⽴たせ、柔らかな光沢を湛えている。シルエットはボクシーながら平坦ではなく、袖に配したダーツが程よい⽴体感を与える。このほかにも同コレクションには、随所にコーデュロイが用いられている。秋冬の定番素材のひとつだが、「近年どんどん温暖化が進んでいるが、シーズン問わず長く着てほしい」と浅川。

 また、「軽やかさ」も今季のキーワード。柔らかな色彩のウォッシャブルシルクによる軽快なレイヤードや、リネンのイージーパンツが、春夏の空気に心地よく溶け込む。ルーズに転ばない絶妙なリラックス感は、タックを巧みに使い分ける浅川の精緻なシルエットコントロールの賜物だ。ウィメンズのボトムスにもスリットやスーパーライトウールを落とし込み、現代的で洗練された軽快さを添えている。

 クラシックを基調にエッジを効かせた小物使いも目を引いた。イタリアの名門繊維メーカー カノニコやデルフィノのスーパーライトウールを用いて、手まつりの七つ折りで仕上げたネクタイ。この一本に合わせ、同素材のシャツは襟付けをやや高めに設計したという。細部まで妥協しない浅川のクラフトマンシップを垣間見ることができ、今季のアイコンアイテムの一つとなっている。

 パリの公式スケジュールに入ってから、ショー開催は今回で2度目。全体を俯瞰して見ると、ブランドのアイデンティティはそのままに徐々に色彩の幅が広がり、表現が豊かになっている印象を受ける。国内外問わず着実に取引先数を広げているが、それだけではなく「さまざまな人との関わりを通して、発見や気づきなど受け取るものが大きい」(浅川)と、パリ出展の意義を語った。

ssstein 27年春夏コレクション

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2027 SPRING SUMMERファッションショー

最終更新日:

村田太一

Taichi Murata

FASHIONSNAP 編集記者

群馬県出身。男子校時代の恩師の影響で大学では教員免許を取得するも、ファッション業界への憧れを捨てきれず上京。2021年にレコオーランドに入社。主にビジネスとメンズファッションの領域で記事執筆を担当する。幼少期、地元の少年野球チームで柄にもなくキャプテンを任せられた経歴を持ち、今もプロ野球やWBCを現地観戦するほどの野球ファン。実家が伊香保温泉の近くという縁から、温泉巡りが趣味。

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