Image by: GU/FASHIONSNAP

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「ジーユー(GU)」の新たなクリエイティブディレクターに、デザイナー フランチェスコ・リッソ(Francesco Risso)が就任した。リッソは、ファッション業界人だけでなく多くの人が知る人気ブランド「マルニ(MARNI)」を2025年秋冬シーズンまで率いていた人物で、マルニ在任中の「ユニクロ(UNIQLO)」とのコラボレーションコレクションも記憶に新しい。
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ジーユーを擁するファーストリテイリングは、ユニクロの国内外の好調がけん引し、2026年8月期の売上高でH&Mを抜きアパレル世界2位を射程に捉えている。一方でジーユー単体で見ると、2024年9月にニューヨークに初出店してグローバル化を模索してきたものの、2025年8月期に事業利益が前期比13.3%減となるなど、求められる成果は出せていなかった。今回のリッソのクリエイティブディレクター就任は、グループが掲げる「自由で低価格、若者支持率ナンバーワン」というブランドヴィジョンを実現させるための構造改革最大の一手だ。実際、リッソによるジーユーのファーストコレクションが発表されるとSNSでは歓迎の声も多く、高い注目を集めている。ファッションデザインの最前線で異彩を放ってきたリッソは、グローバル・マス市場という新たな舞台でどのような化学反応を起こし、ジーユーの変革を担うのか。

デザイナー フランチェスコ・リッソ
Image by: GU
GUとのタッグは“素晴らしい驚き”
⎯⎯2022年春夏シーズンに、マルニとしてユニクロと初コラボ。一緒にもの作りをして、ファーストリテイリングという企業にどのような印象を抱きましたか?
ファーストリテイリングは、極めてミニマルかつコンテンポラリー、同時に非常に実直な服作りに対する哲学を持っています。一方で、私はクリエイティビティと色彩、服への情熱を追求してきたデザイナーです。全く異なるバックグラウンドを持つ私たちの協業は、素晴らしい驚きで満ちていました。
⎯⎯そうした縁もあり、ジーユーのクリエイティブディレクターに就任しました。2026年秋冬シーズンからコレクションの舵取りを担っています。
ミスター・ヤナイ(ファーストリテイリング柳井正 会長兼社長)は、ジーユーの存在感を拡大させることを至上命題として捉えています。ジーユーが持つポテンシャルの大きさと、若者を中心とするマーケットに与える影響力を理解していたのです。この使命を引き受けることは、私にとって大変な名誉であると考え、オファーを受けました。ジーユーというブランドは、私たちが皆で力を合わせて形作る彫刻のようなものです。

GU 2026年秋冬コレクション
⎯⎯世の中にたくさんブランドがある中で、ファーストリテイリングやジーユーの強みは何だと思いますか?
非常に効率的に生産しながら、デザインは常にタイムレス。一貫して日常というレンズを通して考え抜かれています。また、素晴らしいデザインチーム、プロダクトマネージャー、そして業務システムを備えており、服作りをこれほどのバランスで美しく極めることができる企業はほとんどないでしょうね。
ジーユーは、手に取りやすいプライスレンジで、若者に大きな影響力を持っているのが強みです。近しい価格帯で展開しているブランドの中では、アイテムのクオリティも突出していると思います。
⎯⎯コレクションを製作するにあたって意識したポイントは?
まず重要だったのは、私たちがどのような時代に生きているのか、人々がどのように服と関わっているのかを理解することでした。電車に乗ったり、街を歩いたりして周りを見渡すと、今は1つの大きなトレンドで括れる時代ではないことが分かります。異なるトレンドや出来事から生まれた「トレンドのポケット」のようなものがたくさんあるんです。この多様な現状を読み解くことが、ジーユーのコレクションをデザインする上では欠かせませんでした。
⎯⎯ファーストコレクションは「ミニマル」「クラシック」「プレイフル」「ユーティリティ」「スポーツ」「コージー」という6つのセクションで構成しています。
簡単に説明すると、「ミニマル」はモノトーンのカラーパレットが中心。モダンなシルエットを重視しており、ストイックで洗練された印象のアイテムが多いです。

ミニマル
「クラシック」は「ミニマル」の対極にあるアイテム群で、その名の通りクラシックなデザインながらノスタルジックな雰囲気を少し加えています。映画監督のウディ・アレン(Woody Allen)がクラシックなテーラードジャケットにコーデュロイのパンツを合わせるようなイメージで製作しています。

クラシック
「ユーティリティ」は、「都市と自然の生活の間のコミュニケーション」がテーマです。街を歩いていると、山から来たようでありながら洗練されたスタイルの人を見かけることがありますが、そういった2つの表情を持つウェアをラインナップしています。

ユーティリティ
「プレイフル」は、最も自由で表現豊かなセクション。ふわふわしたテクスチャー、ストライプ、花柄、チェックなど、さまざまな要素をミックスしています。

プレイフル
「スポーツ」はパフォーマンスを追い求めるのではなく、「デイリーファッションにスポーツをどう取り入れるか」というコンセプト。「コージー」は、寝室で着るパジャマやインナーウェアです。

スポーツ

コージー
コレクションは6つのセクションに分かれていますが、これはあくまで便宜的なカテゴライズで、コーディネートを制限するものではありません。私は犬を飼っているのですが、朝、パジャマの上にトレンチコートを羽織って散歩に出かけます。このようにファッションは分断されたものではなく、日常の中で地続きになっているので、心が動いたアイテムを選んで自由にスタイリングを楽しんでほしいですね。
「ファッションを通じて人生を楽しんで」
⎯⎯自身のデザインを言語化するとどのように表せますか?
私のクリエイションは常に「人」に突き動かされています。インスピレーションを受けるのは、街行く人々、友人、ミューズ、映画や本の登場人物などさまざま。鑑賞するためのアート作品ではなく、人が着て街を歩き、生活の中で息づく服を作りたいのです。
⎯⎯今季のコレクションの中で、自身の哲学が最も反映されたアイテムを教えてください。
クラシックのコンセプトに登場する、タータンチェックをあしらったシャギーコートです。ブランケットのような温もりがあり、身につけると親しみやすく心地よい雰囲気をまとえます。どこか知的でありながら、不器用な愛らしさも秘めている——そんな人物像が目に浮かぶようで、お気に入りの一着です。

リッソ氏お気に入りのシャギーコート
⎯⎯生産背景において、驚きや新鮮さを感じる部分はありましたか?
これほど多くのアイデアを短期間で具現化したチームのスピード感と実行力には感銘を受けました。私はクリエイションに妥協をしない人間なので、チームに対して多くの要求や挑戦を投げかけてきましたが、東京でプロトタイプの製品がかかったラックを初めて目にした瞬間のことは今でも鮮明に覚えています。製品の美しさ、正確さに完全に魅了されました。これからもその感動が色褪せることはないと思います。
⎯⎯リッソさんの手によってジーユーはどのように変わっていきますか?
具体的にどう変わるかを言葉にするのは難しいですが、基本的には今回発表したファーストコレクションとの一貫性を保つ方向で進めていきます。今回のコレクションを見てもらえればイメージは伝わるかと思います。
今後のジーユーにとって重要なのは、未来の街や人々の姿を先読みし、お客さまがどのような商品を求めているのかを見極めていくこと。今の若者たちの心に響く服を生み出すには、まず彼らの声に耳を傾け、深く理解することが欠かせません。ジーユー(ファーストリテイリング)では、お客さまの反応がダイレクトに伝わってくるので、得られる豊富なフィードバックをもとに、デザインを柔軟にアップデートさせていきたいと考えています。ブランドの進化というのは、我々クリエイティブ側が「これをして、あれをして」と一方的に指示を出して成し得るものではありません。お客さまを含め、ジーユーに関わる皆で成し遂げるべきものなのです。

GU 2025年秋冬コレクション

GU 2026年秋冬コレクション
⎯⎯新たなジーユーに対し、内外から大きな期待と関心が寄せられています。どのようなメッセージを投げかけ、人々の生活にアプローチしていこうと考えていますか?
私たちは、さまざまな困難に直面しながら日々を生きています。だからこそ、特に若い人たちには、日常と切っても切り離せない“ファッション”というフィルターを通して人生を楽しんでほしいのです。
服には自分自身を表現するだけでなく、人と人とを結びつける力があります。テクノロジーに囲まれ、世界がどこか無機質で冷たくなりつつある今だからこそ、温もりを感じてほしい。ファッションを通じて人とつながり合える、そんなライフスタイルを提案するためにジーユーでデザインをしていきます。

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