
Dior 2027年クルーズコレクション
Image by: Dior
かつて俳優を志していたジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が、夢の都ロサンゼルスを舞台に、シネマティックなショーを繰り広げた。「ディオール(Dior)」2027年クルーズコレクションを、5月4日にオープンしたばかりの「ロサンゼルス カウンティ美術館(LACMA)」の新館で発表。ジョナサンがディオールに移籍しクリエイティブ ディレクターに就任して約1年、6回目のショーとなる。壮大な演出とともに、メゾン初のCo-ed(ウィメンズとメンズ混合)のランウェイを、世界各地から集った約1000人のゲストが体験した。
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夢の工場 ハリウッドとのつながり
ジョナサンが着目したのは、戦後の人々にオートクチュールを通じて“夢”を提供したディオールと、“The Dream Factory(夢の工場)”と呼ばれてきたハリウッドとの共鳴。ディオールはメゾン創業から2年後の1948年にはアメリカに進出しており、これを機にハリウッド黄金期の銀幕スターたちに愛されるようになった。創設者クリスチャン・ディオールが衣装を手掛けたアルフレッド・ヒッチコック監督作「舞台恐怖症」(1950年公開)では、主演のマレーネ・ディートリヒが「No Dior, no Dietrich!(ディオールなしでは出演しない)」と語った逸話が残されている。劇中に登場した1949年春夏オートクチュールコレクションのジャケットは、今回のコレクションの原点のひとつだという。
「このコレクションの原点は、ディオールがハリウッドで築き上げた豊かな歴史でした。晩春のカリフォルニアに咲き誇るポピー畑のように、それが命を吹き返しました」ジョナサン・アンダーソン
客席には台本、シネマティックなショー
ショーの招待状は、車のキーを模したキーリング。夕陽に染まるLACMAの新館「デイヴィッド・ゲフィン・ギャラリーズ」を屋根にした半屋外のランウェイには、立ちこめるスモークの中に街灯とクラシックカーが点在し、光の演出により幻想的な光景が広がっていた。
グレーのボックス型の客席には台本を思わせる冊子が置かれ、そのタイトルはLACMAが位置する「WILSHIRE BOULEVARD(ウィルシャー大通り)」。ショーが始まる頃には、クラシックカーに男女のモデルが乗り込んだり、ボンネットに寄りかかって立つなどしてシーンを演出し、ゲストらを“La-La Land(夢のような世界)”に引き込んだ。

















カリフォルニアポピーの花畑がドレスに
ファーストルックは、ロゼットが飾られたバターカップイエローのドレス。今回も花々がコレクションを彩り、特にカリフォルニアポピーがジョナサンの重要なインスピレーション源になったという。




ポピーが咲き乱れる花畑をそのままドレスに表現した鮮やかなオレンジのドレス、刺繍を施したレースのイブニングドレスなど、ドロップウエストやドレープで形作るシルエットを繊細な素材と手仕事で可憐な印象に仕上げた。ドレスに羽織るシアリングコートは、往年のハリウッド俳優の風格を感じさせる。









シグネチャーのバージャケットは、スパンコールを織り込んだブークレウールで仕立て、ほつれた裾は長年着込んだ風合いを醸し出している。一方でジーンズの破れた部分に繊細なシルバーチェーンの刺繍を施すトロンプルイユの手法により、日常着とクチュールが交差する。



メゾン史上初、男女のルックMIX
ショーのハイライトは、フィリップ・トレーシー(Philip Treacy)が手掛けるヘッドピースを着用したメンズルックの登場だ。ウィメンズとメンズのルックをミックスして発表するのはディオール史上初めて。メンズとウィメンズ、そしてオートクチュールと、全てのコレクションをジョナサン・アンダーソンという1人のディレクターが手掛けているからこその新たな試みとなった。




エド・ルシェのシャツ、影のコート
全75ルックのうち、メンズは15ルック。ハウンドトゥースやプリンス・オブ・ウェールズのチェックといった伝統柄にスパンコールを散りばめたスーツが煌めきを放ち、そこに温かみのあるニットのロングケープを合わせる。後半は典型的なアメリカンシャツに、米アーティストのエド・ルシェ(Ed Ruscha)によるレタリングのアートワークを施した。



「ディオール グレー」のフランネルコートは、ベネチアンブラインドの陰影が織り込まれ、フィルム・ノワールを彷彿とさせる。



バッグやアクセサリーが脇役に
スタイルを完成させるバッグやシューズ、アクセサリーは、それぞれのキャラクター像を浮かび上がらせた。てんとう虫や鳥、オウムガイといったミノディエールが脇役となり、ストーリー性を帯びる。



車の塗装を取り入れたり、流線形の新シルエットとなった「サドル」バッグ、底面が三日月形の新たなショルダーバッグを発表。ジョン・ガリアーノ期を彷彿とさせるニュースペーパー柄のバッグも注目を浴びた。シューズは、フラワーやスパンコールで華やかに演出している。
夢追い人が集うロサンゼルス
この日のショー会場は、夢追い人が集うロサンゼルスの地そのものを表していた。ファッション関係者や顧客に加え、アーティストや俳優、映画監督、コスチュームデザイナーといった様々なゲストが来場。マイキー・マディソンやサブリナ・カーペンターなどフレッシュな顔ぶれから、アル・パチーノといった一時代を築いた大御所まで、多彩な才能が交差する社交場と化した。














































Sabrina Carpenter
日本からは、俳優の河合優実が日本人初のグローバルアンバサダーに就任してから初参加。2026-27年秋冬コレクションのキールックを着用し、各国のアンバサダーや世界的な映画関係者らと交流を深めた。
このクリエイティブな舞台の中心人物は、約1年前に40歳でディオールのクリエイティブ ディレクターに就いたジョナサンだ。極めて多忙な日々の中で創造性を探求し続ける彼は、今やあらゆる構想を具現化することができ、夢を与える側の立場にあるとも言えるだろう。突き抜けるようなロサンゼルスの空の下、1本の鮮やかなストーリーが幕を下ろした瞬間も、夢の続きに終わりがないことを予感させる静かな興奮に満ちていた。
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