2020-21年秋冬メンズコレクション
2020-21年秋冬メンズコレクション
Image by: GUCCI

Fashion 注目コレクション

「グッチ」ミケーレが5周年、20年秋冬メンズで示した男らしさの多元性と普遍性

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 ミラノ・メンズコレクションのトリを飾ったのは「グッチ(GUCCI)」。アレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)のクリエイティブディレクター就任5周年を記念するもので、2017年春夏シーズン以来のミラノ・メンズウィークでの発表となった。

(文:ファッションジャーナリスト 増田海治郎)

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 会場はこれまで数々の大規模なショーが行われてきたミラノのパラッツォ・デッレ・シンテッレ。中に入ると、裁判場のような木のボックスシートが設置されていて、砂が敷かれたランウェイの中央には、巨大な鉄球のような振り子が不気味な音を立てて前後に揺れている。まるで、重罪を犯した罪人がこれから審判を受けるような重々しい雰囲気が漂う。

 今シーズン、ミケーレが試みたのは「男らしさの多元性」を示すこと。いかにもミケーレらしい耽美的な世界観は健在だが、いつもよりカジュアル寄りのバリエーションが増え、より多様性に満ちている。チェックシャツ&フェアアイルセーターを合わせた学生風のルック、古着っぽいモヘアカーディガンにデニムのオーバーオールを合わせたグランジ風のルックは、あえてファッションへの無頓着さを表現しているように見えた。

 上半身のシルエットが、かなりタイトになっているのもトピックのひとつだ。チェックのシャツはモデルさえボタンが波打つほど細身で、合わせるニットもピタピタのサイズ感。テーラードジャケットは丈が極端に短いものが多く、袖も7部丈だ。メタリックなフレアパンツも含めて、90年代に多感な時期を過ごした筆者は、いしだ壱成や武田真治が若かりし頃の"フェミ男"を思い出した。

 また、英ロンドンの老舗百貨店「リバティ」とのコラボレーションも展開。小花柄の上に「Gucci Liberty」と書かれたバッグは、単純にコラボレーションであることを示すと同時に、「自由(戦いを経て勝ち得たもの)」の意味も込めているように感じた。リバティプリントのダウンジャケットは、単純に可愛い。

 そこに新しさがあったかと問われれば、なかったと思う。私は直接見ていないが、2020年春夏の冒頭の演出のような試みはなく、ミケーレの通常運転だ。世の中には半年ごとにめまぐるしく新しさに挑戦するデザイナーもいれば、確固たる世界観を更新し続けるデザイナーもいる。ほぼ3年ぶりにグッチのショーをこの目で見て、ミケーレは間違いなく後者であると確信した。

増田海治郎
雑誌編集者、繊維業界紙の記者を経て、フリーランスのファッションジャーナリスト/クリエイティブディレクターとして独立。自他ともに認める"デフィレ中毒"で、年間のファッションショーの取材本数は約250本。初の書籍「渋カジが、わたしを作った。」(講談社)が好評発売中。

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