Fashioninterview

【インタビュー】「ファッションの未来を担う」ITSグランプリ中里周子が思い描く"アカルイミライ"

■美術とファッションを学ぶ意味

―どのような環境で育ったのでしょうか?

 祖父は大手セメント会社の会長で、父は医者、母は骨董、漆、和食器などのコレクターです。家族は統一性がなく、職種もバラバラだったので、小さな頃からどこに軸足を置いていいか分からずふわふわしていました。学校のクラスなどコミュニティの中に入ると浮いているというかズレた存在になることが多かったです。だからなのか自分の美意識も次第に没落貴族のように世間とずれていきました。私自身のアイデンティティにもなっているのですが、どこかズレているというか、抜け感がある作品に惹かれるようになったのもその部分があったからかもしれませんね。

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―なぜファッションの道に進んだのですか?

 母の影響から、手の込んだ作品に触れる機会が多かったので、ものに対する愛情とか、時代が移ろっても変わらない価値のあるものを大事にしていきたいと考えるようになりました。だから哲学や、カルチャーの研究をしようと立教大学に入学したのですが、勉強していく中で人間に一番近いファッションというものに興味を持ち始めたんです。

 ファッションをもっとアカデミックに捉えられることができればこれまで見たことのない面白いことができるかもと考えるようになり、それでまず服作りを学ぼうと「ここのがっこう」と文化服装学院の夜間に通うことにしました。

―初めて服作りを経験して感じたことは?

 服作りを経験して思ったことは、服を作ることが好きじゃないということ(笑)。例えばパターン制作では何ミリ単位の微調整が必要になってきますが、苦手というかそういったことにあまり興味が持てませんでした。もちろんそういった服作りは大事だと思いますが、別の方法でも服を作ることはできるんじゃないかなと思うようになりましたね。それで美術にファッションという概念を持ち込んだらどういった服作りが可能になるんだと思い、東京藝術大学の大学院に入学することにしました。正直なところ感覚的に決めた部分が大きいんですけどね(笑)。

nakazato2014922-20140508_003.jpgHEAVEN ©Maki Taguchi

―東京藝術大学大学院の美術研究科に所属していましたね。

 2012年の4月から大学院美術研究科美術教育専攻に入りました。日本画とか油絵、彫刻など色々な専攻の人がいる珍しい学科で、教育専攻とありますが、学校教育とかではなく生きるために何が必要なのかといったことを勉強しています。

―東京藝術大学の大学院でファッションを研究している人は?

 「ファッションって何?」っという感じで、ファッションを志している人はあまりいないですね。そういう環境にいると一方的に美術が上で、ファッションが下という関係が鮮明になり、美術に対して拒否反応が生まれました。でもファッションとは異なる分野の人たちといることで、そもそもファッションってなんなんだろうとよく考えるようになったことは良かったです。ファッションを俯瞰して見られるようになったことで、どんどん自分が感じるファッションの枠が広がったように思います。

nakazato2014922a-20131205_003.jpgLove and Pop(2013) ©Monika Mogi

―藝大で研究していることは?

 芸術や美的なものが生きていく中でどういう意味を持っているのかということについて研究しています。私の場合そこから派生して、ファッションが生きるためにどういった意味を持つのかを作品制作を通して考えています。

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