―どういったデザイナーを目指す?
ユナイテッドアローズの栗野宏文さんに「Dennis Oppenheim(デニス・オッペンハイム)みたいになったらいいよ」と言われたんですが、本当にそうなれたいいなと思いますね。ネタの宝庫というか、ジャンルを超えて、インスピレーションを与えられる人になれるといいな。偉そうに聞こえるかもしれませんが、これからは私がファッションの未来を担っていかなければいけないと勝手に思っています。
イッツジャーナル ©Kana Miyota
■ファッションに今必要なものは?
―未来を担うために何が必要なのでしょうか?
抽象的ですが、目線を変えることじゃないでしょうか。ファッションとは何かという根本的な問題を解決するだけでなく、その周りの事象、関係性などについて広く考える事が大切なんじゃないかなと思います。
―皆、ファッションは何かということを問い行き詰まります。
今の私にはファッションが何なのかハッキリと答えは出せませんが、少なくとも隣接する領域は別としてもかけ離れたものとは違うということだけはわかります。そうすることでなんとなくですが、ファッションの輪郭がみえてくるんじゃないかなと思います。まだまだ試行錯誤している段階ですけど、活動を通してファッションの枠組みを捉えることができればと考えています。
―大学卒業後は?
大学を卒業したらブランドを立ち上げる予定です。商品も作りますし、オートクチュールや衣装なども制作していきます。どれだけ先を見据えて制作するかによって、商品になるか作品になるか決まってくるかと思うんですが、今はロングスパンでモノ作りをしていきたいと思っています。
アメリカン・ドリーム ©Shusaku Yoshikawa
―来年の4月に「SWAROVSKI(スワロフスキー)」でインターンシップを予定しているとか。
「ITS」グランプリ受賞の特典で、半年間オーストリアで勉強してきます。行って何をするかはまだ決まっていませんが、日本を離れて色々と客観的に見る機会になりそうなので楽しみにしています。

―ファッション業界に対する不満は?
ファッションを消費と捉える人たちと、クリエイターたちの間に温度差があると思っています。クリエイターは、作品は自分の分身で、お金には変えられない価値あるものだと思っているので、貸し出した作品を粗雑に扱われするとやはり悲しくなりますね。作り手側の人たちとビジネス側の人たちのスタンスに違いがあるように思います。
―その現状を解決するには何が必要なのでしょうか?
コミュニティを作ることが必要だと思っています。自分の大事にする感覚をわかってくれる人というか、この人だったら信頼して仕事を任せることができるという人と関係を持つことが大事だなと思っていて。デザイナーはただ服を作るだけではなく、そういったコミュニティ作りもできないとダメだなと実感しています。

−今後の予定は?
嬉しい事に「SWAROVSKI」のインターンシップが始まるまで色々な仕事でスケジュールは埋まっています。映像からアートディレクションまで多岐に渡りますが、色々な経験を得て今後のブランド活動に活かせたらと思っています。
■中里周子
1988年東京生まれ。2007年に立教大学文学部文芸思想専修入学、2011年に同学を卒業する。同年ここのがっこうにて山縣良和・坂部三樹郎に師事、ファッションデザインを学ぶ。2012年より東京藝術大学大学院美術教育専攻に在籍している。