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コーセー南アルプス工場を見学! 再生可能エネルギーと地域資源の地産地消モデル

Image by: FASHIONSNAP

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 コーセーがこのほど、国内3つ目となる製造拠点「南アルプス工場」を山梨県・南アルプス市に開設しました。グリーン水素やCO2フリー電力、地下水など、地域資源を活用したサステナブルな取り組みから、最新設備を備えた製造・充填・包装ライン、品質管理体制まで、工場の中を実際に見学。その様子をレポートします。

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立地|南アルプスの自然と共生

 南アルプス工場のコンセプトは「人と地球の双方に向き合うサステナブルな工場」。北に八ヶ岳、西に南アルプス、南に富士山を望む立地を生かし、守衛棟や厚生棟には山梨県産木材を採用しています。

 また、山梨の自然資源を活用したエネルギーの地産地消モデルを推進。熱源には化粧品業界で初めてグリーン水素を採用し、電力には県営水力発電によるCO2フリー電力や太陽光発電を活用しています。さらに地下約140メートルからくみ上げる地下水を製造用水として利用し、地域資源を生かした持続可能なものづくりを目指します。

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◾️所在地:山梨県南アルプス市野牛島2847番1

特大ヴィジョン|南アルプスの四季を映像で体感

 見学は、南アルプスの豊かな自然をテーマにした映像演出からスタート。工場の入り口には通路の両側に大きな液晶が。春夏秋冬の風景が約2分で移り変わる映像を通して、南アルプス市の自然環境を紹介します。現時点で工場の一般開放は予定されていないので、このヴィジョンを見られるのは従業員の特権です。

製造|3000リットルの大型設備で化粧品を製造

 最初に目にしたのは、乳液やクリームなどスキンケア製品の"中身"を製造するプラント。1基あたり3000リットルの容量を備えています。例えば「薬用雪肌精 ブライトニング エマルジョン」の販売容量は140mLなので、単純計算で1基、2万1430本分製造できる計算ですね。現在は2基が稼働しており、将来的には最大5基まで増設する計画です。

充填|リニア技術を採用した高速生産ライン

 ボトルの中身への充填作業。ラインにはリニア新幹線にも使われる技術を採用した国内最長・最速クラスの搬送システムを導入し、高速生産を実現。容器の供給はロボットが自動で行い、充填後は1本ずつ重量を測定することで、品質の均一化を図っています。2027年以降にはチューブ製品の充填ラインも整備する予定とのこと。

無人運搬機。「ヒューマンファースト」の一環として、重い荷物の運搬作業などの重労働は機械が行う

包装|大量生産から少量生産まで柔軟に対応

 充填後は箱入れやフィルム包装、段ボールへの梱包工程へ。高速ラインでは箱入れから梱包までを全自動化し、中速ラインや手作業ラインも備えることで、多品種少量生産にも対応できる体制を整えていました。

保管倉庫。出荷前の商品は中央下に敷かれているレールに沿って、無人機でここへ積み込まれる

オフィス・品質管理|部門を越えた連携を重視

Image by: KOSÉ

 2階には品質管理部門と製造部門のオフィス、検査室を配置。完成品の外観検査に加え、製品の微生物検査や分析検査、官能検査を社内資格を持つ担当者が実施し、品質を管理しています。

 オフィスは「リンクバー」と名付けられ、製造部門と品質管理部門が日常的に意見交換できるオープンな空間を採用。従来は独立して配置されることの多い両部門を近接させることで、部門横断のコミュニケーションを促進しています。

エネルギー管理|工場全体をリアルタイムで一元管理

フロア監視モニター

水設備の稼働状況を確認するシステム

 リンクバーと同じフロアに、工場全体のエネルギー管理システムがあります。水素ボイラーや地下水設備など工場内のインフラをリアルタイムでモニタリングし、稼働状況を一元管理しているそうです。

 また、井戸水の水位や使用量まで常時監視し、異常があれば即座に対応できる仕組みを整備。山梨の自然資源を活用したエネルギーの地産地消モデルを、安全かつ効率的に運用するための中枢となっています。

南アルプス工場の水はどこからきたのか?

 南アルプス工場の特徴として繰り返し語られる「水」。コーセーは山梨大学と共同で約5年にわたる研究を実施した。研究を率いた山梨大学 国際流域環境研究センター 中村孝志 准教授 博士によると、工場建設の計画段階から「水には徹底的にこだわりたい」というコーセーの意向を受け、地下水の保全だけでなく、「なぜこの場所でなければならないのか」を科学的に解き明かすことを目指したという。

 工場では地下約140メートルから地下水をくみ上げているが、その水源を特定するため、研究チームは南アルプス、八ヶ岳、茅ヶ岳一帯の約86ヶ所で採水を実施。水に含まれる硫酸イオンや塩化物イオン、水分子の安定同位体比などを比較分析した。

 その結果、地下水は火山由来ではなく、南アルプス水系に由来することが判明。さらに水分子の分析から、水は標高約1400メートル付近に降った雪が長い時間をかけて地下へ浸透し、地下水となったものであることが分かった。地下水の約7割は冬季の降雪に由来すると推定される。

 また、この水には、約2000万年前に海底だった南アルプスの地層に由来するミネラルが溶け込んでおり、市販のミネラルウォーターと比べても比較的ミネラルを豊富に含むことも確認された。

 中村博士は「南アルプスの標高1000メートルを超える場所に降った雪解け水を利用できることこそ、この地に工場を建設した最大の理由」と説明。今後は、水源となる森林の保全や積雪量の継続的な観測を進めるほか、地下水を育む自然環境を守りながら、水を生かした製品開発や教育プログラムなどへの展開も視野に入れている。

中村孝志 准教授 博士

木村耀

Hikaru Kimura

FASHIONSNAP 編集記者

学生時代に外資系ファッションメディアでアシスタントを務めたのち、大学卒業後、ファッション誌で編集として従事。2025年12月からレコオーランド「FASHIONSNAP」でビューティエディターとして幅広い分野を取材・執筆。プライベートでは坂本裕二や今泉力哉などの脚本家が描く日本語表現が好きで、彼らの作品を何度も見返すオタク気質。趣味は作詞作曲。公私問わず言葉を綴っている。

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