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上海と原宿をめぐるアイデンティティ|コラム連載 - ニイハオ、ザイチェン vol.1

上海滞在生活の日々を綴るコラム連載「ニイハオ、ザイチェン」。東コレデザイナー、海外での企画生産を経てアパレルメーカーのアジア展開を担当する佐藤秀昭氏の視点から中国でいま起こっていることをお届けする。第1回は上海で最も勢いがあるという商業施設を訪問。同氏にとっての“ファッションの原風景”だという「あの頃の原宿」を重ねた。

(文・佐藤秀昭)

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あなたのファッションの原風景はどこですか?

そして

好きな服はなんですか?

好きな本は?

好きな食べ物は何?

サカナクション「アイデンティ」

20世紀の終わり頃。

古着の香りと無限の夢が広がっていた、原宿シカゴ

何が買えるかも分からず、長蛇の行列に並んだ、地下のNOWHERE。

個性的なファッショニスタたちが溢れる、伝説の雑誌「FRUiTS」。 

「FRUiTS」創刊号表紙
「FRUiTS」創刊号表紙

刑事コロンボに憧れていつも頼んでいた、バーガーキングのチリコンカン。

僕にとってのファッションの原風景。そして、アイデンティティは、20世紀の終わり頃の原宿にある。

◇ ◇ ◇

2021年、2年ぶりに訪れた上海。3週間の隔離が明けた後、まずは今の上海を知るために、新しい商業施設を巡った。

パンデミック直前の2019年末に開業した、淮海中路(ワイハイジョンルー)に位置する「YOUTH ENERGY CENTER(通称TX)」。淮海中路は多くのラグジュアリーブランドやグローバルブランド、デパートが並ぶ、旧フランス租界を代表するファッションストリートだ。日系ブランドではニコアンドやユニクロ、無印良品が路面店を出店している。

個性的なファッションに身を包む人々でひしめく館内。
中国で「独身の日」と呼ばれる11月11日、アリババが一日にECで9兆円を売り上げたというニュースが日本でも流れたが、実店舗が死んだわけではなく、いるところには人はいる。

ショーケースに鎮座ましますKAWSのベアブリック。

高額のプレミアがついた、ナイキ×サカイのスニーカー。

森山大道のエキシビションの荘厳なモノクロームの広告。

強面の全身タトゥーのバリスタが腕を振るう、行列のできるインダストリアルスタイルのカフェ。

ヴィンテージを取り扱うリユースショップに並ぶ、毛並みの整った発色の良いシャネルのツイードジャケットと、くたびれた革に品格を感じるルイ・ヴィトンのバッグたち。

クリエイションとコストのバランスが取れた、はじめましての国潮(グオチャオ)ブランド。

※ 国潮(グオチャオ):中国のドメスティックブランドを着用、または、着こなしに中国のエッセンスを取り入れた、中国Z世代を中心にしたトレンド。

個人的には、ここが今一番上海で勢いがあり、あの頃の原宿のように、ファッションの力を強く感じる場所だと思う。

◇ ◇ ◇

明日はどうなるか分からない。僕よりもこの街に長く住んで、いろんな景色をいろんな角度から見ている人は、たくさんいる。

それでも、誤解を恐れずに言うならば、上海のファッションの多様性、成熟度、ときめきは、ある意味、今のトーキョーを超えている、僕はそう感じる。そして、きっと、今のこの上海を原風景に持つ世代が、中国のファッション、アート、カルチャーを作っていくのだと思う。

この街は成長している。力あふれるスピードで。
まずはこのことを、この街から伝えたい。そう思った。

佐藤 秀昭(Hideaki Sato)

群馬県桐生市出身。早稲田大学第一文学部卒業。在学中に、友人とブランド「トウキョウリッパー(TOKYO RIPPER)」を設立し、卒業と同年に東京コレクションにデビュー。ブランド休止後、下町のOEMメーカー、雇われ社長、繊維商社のM&A部門を経て、現在はレディースアパレルメーカーの海外事業本部に勤務。主に中国、アジアでの自社ブランド展開に従事。家族と猫を日本に残し、2021年9月からしばらくの間、上海長期出張中。

■コラム連載「ニイハオ、ザイチェン」バックナンバー
琥珀色の街より、你好。

第1話「殺人処方箋」
監督: リチャード・アーヴィング
Guest Actor: ジーン・バリー(若山弦蔵)、キャサリン・ジャスティス(高島雅羅)、ウィリアム・ウィンダム(寺島幹夫)
発売日: 2022/01/07

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