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ピアジェはどう変わる?敏腕ブランドメーカーに聞く新ブランド戦略

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ピアジェはどう変わる?敏腕ブランドメーカーに聞く新ブランド戦略

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ピアジェのインターナショナル ディレクター オブ コミュニケーション&イメージに就任したファッティ・ラレー

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 長年ハイブランドのヴィジュアルメイキングに携わってきたファッティ・ラレー(Fatti Laleh)。稀代のアートディレクター ファビアン・バロンが創業した「バロン&バロン」在籍時には、カルティエやディオール、ザラなどのヴィジュアルコミュニケーションを担ってきた。そして今年、彼女は「ピアジェ(PIAGET)」に加入し、インターナショナル ディレクター オブ コミュニケーション&イメージとして、ブランド刷新のミッションに挑んでいる。ピアジェのブランドイメージを客観的に、時にシビアに分析する彼女が目指す、ヴィジュアルコミュニケーションとは?

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Fatti Laleh
イランで生まれパリ育ち。ボストンのタフツ大学で国際関係学と経済学の学士号を取得し、2000年代初頭にニューヨークで広告のキャリアをスタート。2002年から2008年までアカウントエグゼクティブとして、アディダス、ランコム、オスカー・デ・ラ・レンタ、ドルチェ&ガッバーナ、フェラガモなど数々のグローバルブランドに携わり、商業にアートを融合させた効果的なキャンペーンやイメージ戦略を手掛けてきた。2008年に故郷パリに戻り、バロン&バロンに参加後は、グループアカウントディレクター、そしてマネージングディレクターとしてメガクライアントを担当。2020年末にバロン&バロンを退社し、2022年1月から現職。

これまでどんなプロジェクトを手掛けてきたのでしょう?

 私は20年にわたってイメージ構築やブランディングの仕事に携わってきました。2000年代にはドルチェ・ガッバーナ、ヴェルサーチェ、トム・フォード時代のグッチなどのプロジェクトを、その後はフレグランスや2014年のグッチのコスメティックスの立ち上げなどビューティの仕事も手掛けました。ジュエリー、ウォッチ、ファッション、ビューティと多岐に渡るプロジェクトに携わる中で、自分を一言で表現するとしたら“万能なブランドメーカー“といったところでしょうか。

ーヴィジュアルメイキングに必要なスキルとは何でしょうか?

 トレンドを感じる能力。私のクリエイティブは感覚的ですが、同時にブランドが向かうべき方向がどこなのか、つねに見定めるようにしています。これまでの経験を通じて、ブランドをデコード(解読)するスキルを培ったこと、業界のさまざまな重鎮とともに働き、メンターとしてさまざまな教えを受けたことは幸運であると同時に私のクリエイティブをユニークにしている要素だと思います。

ーピアジェのレガシーをどう解釈している?

 クリエーションの点で言うと「常に必要以上に良いものをつくる」という創業時からのモットーは、ピアジェの大きなレガシーです。私はこのモットーを「熟練の技が創造性を解き放つ」と言い換えています。発想の自由さ、というのもブランドの素晴らしいレガシーであり、私にとっても大きな指針で礎です。

 そして忘れてはならないのが、「喜び」というレガシーです。ピアジェは幸福感にみちたメゾンであり続けてきました。卓越したクリエイションだけでなく、クリエイションが人にもたらす喜びも、ピアジェの大事な要素です。ピアジェは、良きものを愛で、喜びを感じる人のためのブランドなのです。

ーこれまでのピアジェのブランドイメージをどう分析し、どのように発展させていくのでしょう?

 率直に言います。ここ最近のピアジェはあまり話題になることもなく、1970年代や80年代に受けていたような、本来受けるに値すべき評価を受けていませんでした。名前は知られているし、好感度も高級感もあるけれど、ウォッチとジュエリーが別々の世界に浮遊し、若いジェネレーションを引き付ける要素も特にない。ピアジェのイメージはそんなところではないでしょうか。これから私たちがやろうとしているのはこうしたイメージを転換し、メゾンさまざまな要素をひとつの世界に収斂させていくことです。どのようにエクイティ(価値を)を人と共有し高めていくか、言わば「シェアードエクイティ」という概念もブランディングに取り入れています。

ー新キャンペーンではどんなことを表現しましたか

①ピアジェはジュエリーとウォッチのブランドである。
②ピアジェは人から生まれるブランドである。
③ピアジェは喜びに満ちたブランドである。
④ピアジェにはアイコニックなクリエイションがある。
⑤ピアジェはアイコニックな人々とつながっている。

 これらの極めて明快なメッセージを通じて私が試みたのは、ピアジェに相応しいパワーハウス・ルックを取り戻すこと。メゾンの大切な要素であるポジティブなエネルギー、楽しさ、ファッション性を表現しました。従来のジュエリーブランドやウォッチブランドのキャンペーンにはない高いファッション性はメゾンの自由な発想の現れであり、若い人たちにも共鳴するのではないかと思います。

ーピアジェを成長させていくために、どのターゲットに向けてどのようなアクションが必要と考えていますか? 

 まず、成長に必要なアクションは「一貫性を持つこと」です。一貫性のあるイメージの打ち出しとコミュニケーションをメゾンに相応しい場所、時、ターゲットに対して行うことが肝要です。そして、エントリーからハイエンドなプロダクトまで垂直のバリエーションを持つプロダクトクリエイションにおいても、一貫性のある展開構造を確立することが重要だと考えています。

 ターゲットについてですが、ピアジェの主な顧客層は、男性であれば仕事で成功した証としてウォッチを買うどちらかと言えばクラシックな人々、女性であれば捻りのあるクラシックを好み、品質とクラフツマンシップを大事にする方々です。移り気なトレンドセッターやトレンドマニアはピアジェのターゲットではありませんが、今後は現在の顧客層とこうしたトレンドセッターを繋ぐ層、いわば自分のスタイルに対して高い審美眼を持ち、より大胆で自由なセンスを持っている人たちにもアピールしていきたいと考えています。

ー日本の消費者をどう分析し、アプローチしていくのでしょう?

 これまでに日本の仕事も数多く手掛けてきました。その経験のなかで日本が特別だと思うのは、他のどの国よりも希少性とクラフツマンシップを大事にするという点です。日本でのラグジュアリービジネスでは「オケージョン」「クラフツマンシップ」「ヘリテージ」という3つの要素が重要だと考えています。日本人にとって重要なオケージョンが何であるのかを理解すること、ピアジェのクラフツマンシップをしっかりと打ち出して品質と技術力の高さを知ってもらうこと、ヘリテージを語ることを通じてピアジェの歴史の深さや由緒正しさを伝えていくこと、これが日本に向けての私の戦略です。

ージュエラーにとってアイコンジュエリーは一つの強みです。ピアジェにとってアイコンジュエリーはどのプロダクトで、今後どのようなコミュニケーションを行なっていくのでしょう?

 ピアジェのアイコンは、ジュエリーは「ポセション」、ウォッチは「ピアジェ ポロ」です。アイコンを作るには5つのステップが必要だと考えています。1つ目は、プロダクトそのものとデザイン。一目でわかる美的要素があること、これが最初のステップです。次にレガシーやコンセプトといったクリエーションのストーリー。3つ目は、クラフツマンシップ。美しいプロダクトが作り上げられるまでに要する時間やノウハウも必須です。4つ目は、なぜそれらがアイコンであるべきなのか、という理由付けです。そして5つ目は、アイコンとなるクリエイションを相応しい人に相応しい時に着けてもらうことです。インフルエンサーという言葉は個人的にあまり好きではないのであえて避けますが、「目利き」のある人々のスタイルに取り入れてもらうことで、アイコン化は完結するのです。

新キャンペーンヴィジュアル

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ーSNSの普及に伴いヴィジュアルが担う役割も変化してきました。今の時代におけるファッションのヴィジュアルコミュニケーションの重要性や役割は?

 イメージメーカーとして働いてきた人間としてこれを言うのには少し勇気がいりますが、世界はハイパーコンテクスト化されつつあり、過剰な量のコンテンツが一瞬にして消費される時代になっていると思います。そうした中で、私はあえて一歩下がって、量よりも、コンテンツとコンテンツのスムーズなつながりを作り、丁寧に繰り返し、ゆっくりとヴィジュアルコミュニケーションを展開することを重視しています。時間をかける、というのはとてもピアジェらしいアプローチだとも思っています。絶え間なくしゃべり続けるのではなく、メゾンにとって正しいタイミングで大事なことを発信できるように、あえてスピードを緩めるのです。消費やコミュニケーションが加速し続ける超飽和状態の反対に向かうことで時間に対する主導権を握る、というのが私がやろうとしていることです。

ー今後のピアジェに注目してほしい点・期待してほしい点など。

 これから大きく変化し続けていくピアジェのイメージそのものです。コミュニケーションとプロダクトの包括性をさらに強めるべく、「ポセション」と「ピアジェ ポロ」のアイコンのプロジェクトが控えています。2024年の創業150周年に向かってパワーアップしていくピアジェに注目してほしいです。

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