サカイ 2022年春夏コレクション
Image by: sacai
渋谷スクランブル交差点から東京タワーへ——「サカイ(sacai)」のコレクション映像は、今シーズンも東京のシンボルが舞台となった。2022年春夏はシグネチャーであるハイブリッドを新たな視点や手法で表現し、新しい世界へと踏み出している。
sacaiロゴのバスで夜の東京観光
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前回の2021-22年秋冬コレクションの映像は、ヘリコプターで空から降り立ったモデルたちが無人の交差点を歩くことで非現実と現実の狭間を披露したが、今回は東京のシンボルでもある東京タワーが舞台。オレンジ色にライトアップされた東京タワーの元にサカイ仕様の"はとバス"が到着するとモデルたちが次々と降り、タワーの中や鉄骨の間を抜ける通路を闊歩。夜空が明けるまで東京のシンボルをsacaiが独占する。暗い展望台で乱反射するスパングルや、タワーの色とリンクするドレスの赤が余韻を残した。
異なる視点、新たなプロポーション
バスガイドのように旗を持って先導するファーストルックは、今回のコレクションを象徴するスタイル。立体的な肩が特徴のブラウスに、ジャケットを腰部分から裏地を見せるように折り返したようなパーツをスカートとして融合したドレスで、衣服を異なる視点から捉えて新たなプロポーションを作り上げた。また、コートやジャケット、プリーツドレスに水平にハサミを入れる手法は、肌の露出の意外性や、垂れ下がるパーツに動きを与えている。
異なる要素のドッキングや解体したパーツを再構築する手法は、複雑化しながらも上品な仕上がり。MA-1やランジェリー、レオパード柄といったこれまでにも取り入れてきたディテールやモチーフも、ストリートテイストを残しながら今のサカイのエレガントさを映し変容させた。
ドラマティックな服を主役にするアクセサリー
シューズは厚底のサンダルがメインとなり、ゴールドカラーの極太チェーンを施したデザインが目を引いた。バッグは小ぶりのタイプが多く、アクセサリーはロングチェーンを垂らしたイヤーカフとバングルのみで、ドラマティックな服を主役に見せている。
新たな時代を暗示する夜明け
このコロナ禍において、「ジャンポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier)」のゲストデザイナーとしてオートクチュールコレクションを制作し、また「ディオール(DIOR)」のメンズでカプセルコレクションを手掛けるなど、阿部千登勢のクリエイションの幅が大きく広がっている。今回のコレクション映像は全6分18秒で構成されているが、3分の1は徐々に夜が明けて光に満ちていく空の下でコレクションが披露されている。様々な困難が降りかかった今年も最後の四半期に差し掛かり、暗澹たる夜の終わりが近づき新しい時代が訪れ始めていることを暗示させる今季のコレクションは、夜明けをただ待つのではなく自ら進もうというサカイの意志の力強さも感じさせた。
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