Fashion インタビュー・対談

【インタビュー】"名品"と呼ばれる「Scye」の服の秘密とは? デザイナー日高久代とパタンナー宮原秀晃に聞く

■名品の秘密

―時代性やトレンドは意識しますか?

日高:何かのイメージやトレンドよりも、テクニカルな部分から入ることが多いんです。こういう切り替えのものやってみたいとか、珍しいミシンがあるから使ってみたいとか、それらを徐々に膨らませてコレクションを作っています。

宮原:定番アイテムもマイナーチェンジがあってサイジングなどは時代の流れに少し順応したり、その時の気分を加味しています。毎シーズン最高のものを作りながら反省点もありますから、日々勉強みたいなものですね。常に自分の作ったものを見つめて、次への成長について考えています。

―Pコートやシャツといった定番アイテムは"名品"とも言われています。他との違いは何ですか?

宮原:違いのひとつは「後ろ姿」かな。Pコートはカッティングの工夫によるシルエットがポイントで、背中の見頃を細くして切り替え線が後ろ側に入ることによって、ウエストのシェイプがスマートに見える効果があるんです。

 あと、ほとんどの服の肩線が後ろ側に寄っているのも意味があって、肩線がバイヤスになって縮縫(いせ)を多く入れることができ、肩甲骨に対してゆとりが生まれる。そういった細かい部分が、着心地につながっていると考えています。

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―素材の質にも定評があります。

日高:素材はほぼ日本製で、縫製も一部のニット以外はメイドインジャパンです。

宮原:こんなにいいものを作れるんだよ、という部分で勝負してますから、メイドインジャパンには誇りを持っています。

 ただ、心配なのは工場ですね。廃業したり、跡を継ぐ人がいなかったりという状況を、これまで何件も見てきました。日本の大企業が中国生産にシフトして、最近では東南アジアもそう。安い服を追求した結果、日本の産業が衰退して良い糸や生地が作れなくなっていくという、これは深刻な問題です。難しいかもしれませんが、僕らが機屋さんや工場さんと良いものを作り続けることで、何か少しでも変えていきたいですね。

■次は海外とオンリーショップ

―15年続けてきて、会社の規模を大きくするタイミングもあったのではないでしょうか。

日高:あまり手広げ過ぎると自分たちの本来のことができなくなってしまうので、できる範囲で続けてきたんですよね。

宮原:当然ビジネスを視野に入れながらクリエイションしていますから、規模の拡大についてはずっと課題です。卸についてはまずベースの日本で確立したいという考えで、全国の有力店で販売されるようになってきたところ。海外の卸先はまだ数店舗なので、次の段階は海外展開を広げることですね。それから、直営店についても考えています。

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―直営店は初めてですね。出店の目処は?

宮原:まだ全然具体的なこと決まっていませんが、希望としては20周年を迎える5年後までには構えたいなと考えています。やはり卸では一部しか見せられないので、店という箱で「サイ」の世界観を作っていくことは当面の目標です。例えば一階がお店でその上にアトリエがあって、常にお客さんの顔を見れたり、そこでビスポークもできたらいいですね。

―これからの「サイ」の理想は?

日高:これまでもこれと言ってコマーシャル的なこともやらず、どちらかと言うと口コミのような形で人が人を呼んでくれました。これからも慌てずに、妥協のない表現を続けることが理想ですね。

宮原:「サイ」で築き上げてきた服作りを、これから若い人に継承していかなければ、という使命を感じています。僕らの代だけではなくて、「マスターピース」をずっと作り続けて、残していきたいですから。

■日高久代(ひだかひさよ)デザイナー
 文化服装学院アパレルデザイン科卒業。 数社のアパレルでデザイナーとしてキャリアを積み、独立。

■宮原秀晃(みやはらひであき)パターンカッター
 文化服装学院ファッションビジネス科卒業。 数社のアパレルでチーフパタンナーを務め、独立。

 共に2000年より「Scye」をスタート。 メンズ、ウィメンズのコレクションを展示会形式で発表している。

 Scye 公式サイト

■最新コレクション(メンズ・ウィメンズ)
Scye 2015年春夏コレクション
Scye 2015-16年秋冬コレクション

(聞き手:小湊千恵美)

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