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【トップに聞く 2022】I-ne 藤岡礼記・取締役兼マーケティング本部本部長サステナビリティ担当役員 サステナとの共存は大前提でビジネス拡大

 新しい生活様式はもはや日常へと移行し、それに伴い企業の舵取りも大きく変化している。ビジネスの拡大を見据えつつも、サステナブルな社会に向けた経営戦略も必須だ。FASHIONSNAPは経営展望を聞く「トップに聞く 2022」を今年も敢行。今年から加わるビューティは、若い世代が関心を寄せる「サステナビリティ」をテーマに、トップ及びキーマンにインタビュー。第13回は、ボタニカルライフスタイルブランド「ボタニスト(BOTANIST)」などを展開するI-neの藤岡礼記・取締役兼マーケティング本部本部長サステナビリティ担当役員。2020年9月に東証マザーズに上場、2021年12月期の第3四半期の売上高が前年同期比29%増の47.1億円で過去最高、営業利益が同161.9%増の22億円で過去最高を更新する。コロナ禍においても右肩上がりで成長するI-neが今、サステナビリティに向かう、その理由とはーー。

■藤岡礼記(I-ne 取締役兼マーケティング本部本部長サステナビリティ担当役員)
I-ne創業メンバー。
営業、商品開発などの経験を経て、マーケティング本部を設立後、ブランドマネジメント全般に携わる。特に商品開発やプロモーション及び広報、サプライチェーンなど多岐に亘る領域をマネジメント。これまでに「BOTANIST」「SALONIA」「NICOLESS」「DROAS」などのブランドを創出。現在は、サスティナビリティな事業戦略構築にも注力している。

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ー以前、御社の大西洋平代表取締役社長があるインタビューで「社会課題を解決するために消費財を作っている」とおっしゃっていました。2007年の創業当時からサステナビリティを意識していたのでしょうか?

 正直にお話しすると、創業当時は大学生で、社会貢献や経営理念といった大きなビジョンを描くというよりは、シンプルに若くして成功したい、だから頑張ろう!という熱意が強かったと思います。1億円にも満たない年商からのスタートで、当時は未来を見るどころか、明日のご飯もどうしたら…そんな状況でした(笑)。おかげさまでいくつかのブランドがヒットして業績が上向きになったころ、単純にお金だけが成功じゃないと思うようになりました。それが3、4年目でしょうか。

ーその後、すぐにサステナビリティ対策を取ることになったのでしょうか?どんな変化や出来事がありましたか?

 そのころ、実は大西との会話の中で、彼から障害を持った子どもたちがより良い生活を長く送るために必要なのが、薬でも最先端医療でもなく、「やりがい」や「ありがとうという言葉」だと聞きました。ある意味、モチベーションなんだということなんですが、この話はとても衝撃でした。大手製薬企業、医療機器メーカーでもできないことを、もしかしたらわれわれができるかもしれない、と。

 弊社が運営するTシャツのプリントをはじめとする繊維製品の2次加工全般を行うヴェーダインク(VEDAINK)で、障がい者の方を雇用していますが、やりがいや喜びを感じてもらうことが目的です。ディサビリティーを持っている人も持っていない人も、あらゆる個性を認め合い、能力を発揮して活躍できる場を提供したいという思いがあります。こういった流れの中で、社会の役に立つことや、すべての人に幸せを届けるという意識が高まっていきました。サステナビリティへの意識の原点もここにあると思います。

ヴェーダインクでは障がい者を雇用。ディサビリティーを持っている人、 持っていない人も、あらゆる個性を認め合い、能力を発揮して活躍できる場を提供

ー確かにそうですよね。障害を持った人もそうですし、誰しもやりがいや楽しいと思えることは心にもいいですよね。

 そうですよね。もう一つサステナビリティに繋がるとすれば、弊社は「サロニア(SALONIA)」という美容家電ブランドを展開しているのですが、時同じころサロニアのヘアアイロンをご購入いただいた方からお手紙を頂戴しました。その方の娘さんがずっと縮毛で悩んでいて学校に行くのも嫌がっていたのが、サロニアを使って髪がサラサラになったことで笑顔が増え、学校にも行くようになったと。その時、モノを作って売る、発信することで、誰かに喜びや幸せの体験を届けられると思ったんです。そういうことをもっと深掘りしていかないといけないと、改めて感じさせてもらいました。 商品を通じてより多くの人に幸せを届けたいという信念より深く追求したいと思いました。

ーでは、環境を意識するようになったのはいつでしょうか?

 ボタニストを育成する過程で、2016~17年ごろから、意識するようになりました。立ち上げた時は、当然、商品をヒットさせるために、お客さまが喜んでくださる高品質なプロダクトを作らなければいけないという思いがありました。正直なところ、お客さまに喜んでもらうこと以外に、環境や社会課題の解決に向けた取り組の具体まではしっかりと考えられていなかったと思います。当時はただ、「お客さまの髪に頭皮に優しいモノを作ろう」とニーズの反映を最優先し、“植物”をキーワードにした良い処方の製品の開発にたどり着きました。そして、それが売上にも繋がった。そこから、ボタニストを通じて、環境問題や社会課題についていろいろと考える機会が増えた中で、「もっと地球環境を考えないといけないのではないか」「この原料はどういった場所で作られているのだろうか」「どういった方々が作っているのだろうか」と思いを馳せるようになったんです。

ボタニスト

ボタニストで環境問題を考えるきっかけに

ー具体的な取り組みは?

「ボタニスト」で行うサステナビリティ活動
・音楽家・坂本龍一氏が代表を務める森林保全団体more treesを通じた植林保全活動
・売上の一部を北海道美幌町での植林保全活動「BOTANISTの森」に寄付および植林を開始
・寿命が近づいている言われる、日本のサクラの8割を占めるソメイヨシノの保全活動に、スプリングシリーズの売上の一部を寄付
・セット箱や販促箱でFSC認証紙を採用
・CO2削減が期待できるバイオプラスチックを原料とするバイオマス容器(サトウキビ由来ポリエチレン容器)を採用
・ラベルの印刷にバイオマスインクを使用
・新型コロナウイルスの影響による需要の低迷や値崩れで厳しい状況にある生産者さまから花を購入し再活用するフラワーロスの削減活動 etc.

  さまざまに取り組みを行なっていますが、その中で心が震えたのは、先程のサロニアでのお手紙もありましたが、コロナ禍で一生懸命働いてくださっている医療従事者の方からいただいたメールでした。「周りの目を気にして車中で寝泊まりしていたのですが、久しぶりに自宅のお風呂に入っていつも使っているボタニストで髪を洗った時に、この香りだったと思って涙があふれました。緊迫した状況の中で、この香りに癒やされました」という文章でした。

 今の時代、サステナビリティ活動は企業として当然行わなければいけないことですが、プラスαの価値が必要なんだと。実はボタニストの香りは、メーカーさんと考えに考え抜いて何百種類の香料をさまざまに調香して作ったものなんです。このプロセスが人の喜び、感動に繋がっていることも、人に対する、幸せや感動の価値提供ではないか、これもサステナビリティなのではないかと思いますね。

ー究極を言えば、環境のことを考えるとモノを作らないことも選択だと思いますが、最初にお話いただいたように、あるモノから、生きがいや喜びに繋がり、生きる希望も湧いてくるということですよね。

 もちろんパッケージでもコストや環境を考えるともっと簡素に仕上げることもできます。しかし、コストや環境への配慮、感性に訴えかけることを天秤にかけるという考え方ではなく、両方大事なんだと。アマゾンのジェフリー・プレストン・ベゾスが面白いこと言ってましたが、ライフワークバランスではなくライフワークハーモニー。共存を大前提に、どうきれいな円を作っていくかが大事なんです。

 会社の理念として「Chain of Happiness ビューティカンパニーとしてイノベーティブな“アイデアとマーケティング”で幸せな体験を届ける」を掲げているように、情緒的な価値もしっかり提供していくことが、人の幸せに繋がると思っているところはあります。

ターゲットは「全地球人」

ーではサステナビリティで注力にあがるジェンダー平等についてはいかがでしょうか?

 たとえば美容家電のサロニアでは、「Beauty is simple」をコンセプトに、ジェンダーレスなモノづくりを行なっています。美容家電といえばどうしても女性にフォーカスしがちで、ピンクや赤、白などのカラー展開が主流ですが、誰でも使いやすいようにグレーや黒、ネイビー、白などニュートラルなカラーでのバリエーションを揃えています。

 美容商材を多く扱っているため、特定のターゲットに絞ることも必要ですが、経営理念である「Chain of Happiness」に沿って、ターゲットを「全地球人」とすることで、より多くの人に幸せをお届けできるかもしれません。全地球人をターゲットとしていうならば、リラクゼーションドリンク「チルアウト(CHILL OUT)」もそのひとつです。ヘンプシード抽出物を配合するなどで、ストレス社会に安らぎを提供するドリンクです。老若男女に飲んでほしいですね。

サロニアはインクルーシブを意識し男女ともに使えるデザインに

ー社内の女性の活躍についてですが、現在の管理職比率は?

 現在(2022年1月1日時点)、女性の役職者は17人、管理職比率は42.5%です。そもそも会社として、男性だから、女性だからではなく、フラットになるべき人がなるべきといった考えです。そのほか、産休・育休制度などもちろんですが、保育スペースも整えています。

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