【連載:30歳の景色】ストリートフォトグラファー シトウレイ

提供: SK-II
シトウレイ Photo by: FASHIONSNAP

 女性にとって年齢は大きな意味を持つ。SK-Ⅱが1,400人の女性に対し実施した意識調査によれば、30歳は最も迎えることが不安な年齢であり、20代女性の過半数が30歳を迎えることに不安を抱いているという。女性にとっての年齢とは、どういう意味を持つのか。そして、人生の先輩たちはどのように年齢、そして30歳と向き合ったのか。短期連載「30歳の景色」、第二回はストリートフォトグラファーのシトウレイ。

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- ストリートスナップは何歳から始めたんでしょうか?

 大学を卒業して23歳前後でストリートスナップ誌の「フルーツ」や「チューン」「ストリート」のカメラマンを始めました。最初は原宿が中心でしたが、20代後半に差し掛かった頃に編集長の青木さんから突然「パリに行ってきて」と言われて。「パリコレって一体どこでやってるの?」というくらい知識がなくて、心の準備もできないままにとにかく自分で飛行機やホテルを押さえて現地に向かいました。着いたら周りにいる日本人に「会場はどこなの?」って聞いて回ったり全く楽しむ余裕もなく目の前のものをこなす感じで。そんな感じで原宿だけではなく、ニューヨークやパリなどにスナップのために行く機会も増えていったんですよね。

- 29歳でブログ「スタイルフロムトーキョー」を始められたそうですね。どうして独立したんですか?

 自分のキャリアを考えた時に「フルーツにいる30歳の自分」という想像がつかなくて。20代の頃にスナップを撮っていたフルーツで大人になっても同じように撮れるのかわからなかったんです。ストリートスナップが好きだからずっと仕事にしたいとは考えていたのですが、そのために何をすべきなのかわからず、現実味があまりない状況でした。

- 年齢的にも焦りがあったのでしょうか?

 20代から30代になる事に向けて漠然とした不安みたいなものがあったんだと思います。20代前半からストリートにいて可愛がってもらってたんですが、徐々に周りの人から「もうそんな歳なんだ」と言われることが増えて。言われるたびに小さなひっかき傷みたいなものが心に積み重なってました。同じ25歳でも「まだ25なんだ、若いね」と「もう25歳なんだ」で受ける印象ってかなり違いますよね。女の子から女の人に変わる瞬間ってすごく曖昧で、年齢の捉え方は自分次第なんですが「まだ」ではなく「もう」に引っ張られていたんですよね。自分が大人になったことを想像していなかったし、避けてたんだと思います。ずっとおぼつかない気持ちがあって、30代になった自分についてあまり深く考えないようにしていました。「このままでいいのかな」「30代になるまでに何かしらしておきたい」みたいな、具体性はなくモヤっとした気持ちでした。

- そんな気持ちから一歩踏み出したきっかけはあったのでしょうか?

 出張で行ったニューヨークで、「ザ・サルトリアリスト(The Sartorialist)」のスコット・シューマンにスナップを撮られたんです。当時は彼のことを全然知らなくて、「何か、今私誰かに写真撮られた?」くらいの認識でしたが、ニューヨークから戻り東京で友達とご飯を食べていた時に「サルトリアリストに載ってたね」と言われて知りました。写真を撮られてからまだ一週間くらいだったのにもうサイトにあがって、コメントもたくさんついていて。スナップ誌では撮ってから誌面に出るまでに1〜2カ月ほど時差があったのでウェブのスピード感に驚きました。それをきっかけに、自分のブログ「スタイルフロムトーキョー」を始めようと決意しました。


- 当時の日本ではまだ「ブロガー」が存在していなかったのではないでしょうか?

 当時の東京はファッションウェブメディアも少しずつ目立ち始めているかなという頃で、ファッションブロガーも職業として成立してなかったです。「スナップを撮影して自分でブログをやるの!」って周りに伝えても「レイちゃん、ブログは職業じゃないよ」って言われたのを覚えています。

- 実際に立ち上げてみてどうでしたか?

 スナップを撮るという作業はそれまでと同じだったので、同じようにお給料が入って来るかと思いきや、そんなことはない。うっかりしてたんですよね(笑)。そんな時に、繊研新聞の方が「ストリートにいるんだったら街の流れわかるよね、何か書いてみない?」って声をかけてくれて。書くことが好きだったので「やりたい!」って即答して、そこからトレンドレポートやマーケットリサーチの仕事が少しずつ増えました。ブログのアフィリエイトで食べていくというよりは、ブログが名刺になってそこから仕事につながっていくという感じで。今は企業からの依頼でパリやニューヨークに行ってマーケットリサーチすることもありますね。

- フォトグラファーの枠を超えた仕事もされてますね。

 お金云々というよりも、やりたいことをやっていきたいという気持ちが強かったんです。スナップに関しても自分が好きなものを撮ることにこだわってたので、そのスタンスが叶わないのであれば高額な仕事でもお断りしていて。だから周囲にはすごく生意気に映っていたと思います。でもそのスタンスを続けていたから今があるんだと思っていて、もしそこで妥協して「撮れ」って言われたものを撮ってたら仕事にならなかったと思うんです。

- ストリートスナップを撮ってるカメラマンも今ではたくさんいますよね。

 ストリートスナップってカメラマン業界で一番下のランクだと思われてるんですよ。雑誌や広告を撮る方がカメラマンとして上、みたいなヒエラルキーがあるというか。少しずつ、スナップに対する業界の見方は良くなってきてはいるものの、まだまだなんじゃないかな。カメラどころか、iPhoneさえあれば誰でもできると思われていたり。

- 誰でも撮れる時代になってもなお、ストリートスナップを続ける理由は?

 私としてはストリートの歴史を紡ぐ仕事だと思っていて、クリエーティブだしすごい重要なことをやっているという自覚があります。ストリートスナップが好きでやってたので、これをずっと続けるにはどうすればいいかな、と考えたときに「30代になってもっと稼げるカメラマンになりたいな、価値をあげよう」と。そのためにはまず自分のブランディングをする必要があるなと逆算していきました。

- 独立した30歳の頃に立てた目標はあるんでしょうか?

 自分のそういったブランディングも助かってか、「海外の仕事を増やしたい」「写真集をだしてみたい」などいろいろとやってみたかったことはあったんですが、数年で一通り実現してしまって。次の目標がなくなってしまって辛いなと思ったことはあります。

- 目標を全て実現できた秘訣は何だったと思いますか?

 人との良い縁があって、タイミングが良かったんだと思います。あとは「これをやりたい」と言い続けてきたことかな。もし現状にもやもやしている20代の方に言えることがあるとしたら、「あれ言うの恥ずかしい」「これするの恥ずかしい」って思わずどんどん口にした方が良いと断言したいです。

- 20代の女性の多くは、今の生活が充実していても30歳を迎えることに不安を感じているそうです。

 私は「女の人30歳還暦説」を自分で勝手に提唱していて、30歳で女の人として新しい人生がスタートすると思ってるんです(笑)。29歳って20代の中の大先輩。30歳になった瞬間にまた先輩がたくさんできて、ルーキーに戻るんですよ。女の子の時代もすごく楽しかったけど、女の人になってからもすごく楽しいんです。第二の人生が始まるんだから、30歳の誕生日には赤いちゃんちゃんこを着てほしいくらい(笑)。私はいま40歳に向けて知識やできることを増やしておこうと考えていて、「これやりたい!」と思い立った時に備えてたくさん本を読んでいます。今はもう20代のころのおぼつかない気持ちもないし、40歳になるのが結構楽しみなんです。

シトウレイ:
 東京を拠点に活動するストリート・スタイル・フォトグラファー。ストリートファッション誌「STREET」「FRUiTS」「TUNE」で経験を積んだ後、国内外のストリートスタイルを紹介するサイト「STYLEfromTOKYO」をスタート。フォトグラファーとしての仕事に加えて、企業のアドバイザーや商品プロデュース、ファッションセミナーなど多岐にわたって活動している。著書に東京ストリート写真集STYLEfromTOKYO」(discover21刊)、東京ガイド「日々是東京百景」(文化出版局刊)などがある。


【連載:30歳の景色】

第一回目 編集者 軍地彩弓
第三回目 HiRAO INC代表 平尾香世子
第四回目 ファッションデザイナー コシノジュンコ

■動画「期限なんてない」


 SK-IIが女性にとって年齢の持つ意味を考えるキャンペーンを6月21日から開始。多方面で活躍する女性へのインタビュー企画に加えて、YouTubeでは日本や中国、韓国で生まれ育った女性が世間の意見に惑わされず自らの人生を切り開く様子を描いた動画が公開されている。

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