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アン・ハサウェイは47回以上衣装替え スタイリストに聞いた「プラダを着た悪魔2」制作秘話

Image by: (C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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 5月1日、日米同時公開された映画「プラダを着た悪魔2」。2006年公開の前作「プラダを着た悪魔」から20年を経て、雑誌「ランウェイ」編集部の物語が再び幕を開ける。前作の代名詞ともいえるラグジュアリーメゾンが競演する華やかなワードローブは、続編でも大きな見どころのひとつ。衣装デザインの総指揮を務めたのは、パトリシア・フィールド(Patricia Field)と共に前作の衣装を手掛け、「AND JUST LIKE THAT... / セックス・アンド・ザ・シティ新章」のルックを担当したことでも知られる衣装デザイナーのモリー・ロジャース(Molly Rogers)だ。今回彼女が掲げたのは、「トレンドに左右されない、20年後も色褪せないルック」という明確な指針。キャラクターの変化とともに再構築されたスタイルは、どのようにして生まれたのか。ロジャース本人の言葉から、その舞台裏を紐解く。

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◾️「プラダを着た悪魔2」
トップファッション誌「ランウェイ」の“悪魔”のような編集長ミランダ・プリーストリー(Miranda Priestly)と、彼女の元アシスタントアンドレア・サックス(Andrea Sachs、以下アンディ)。別々の道で成長を重ねたふたりが、雑誌存続の危機に再びタッグを組むとき、ファッション業界に大旋風が巻き起こる。監督はデヴィッド・フランケル(David Frankel)、脚本はアライン・ブロッシュ・マッケンナ(Aline Brosh McKenna)が担当した。

目指したのは20年後も色褪せないタイムレスなスタイル

──スタイリングにあたり、どのようなことを意識しましたか?

 続編で目指したものは、前作のレガシーを引き継ぎながら時代を超越したルックを創り出すことでした。そのために「トレンドに左右されるものであってはならない」と強く意識していました。この映画に登場するルックは、どれも20年後も色褪せず、愛され続けるものでなければならなかったのです。

──それぞれのキャラクターの衣装コンセプトについて教えてください。

 まず、アン・ハサウェイ(Anne Hathaway)が演じたアンディのルックブックの表紙には、「フェミニン」と「メンズウェア」という2つのキーワードを大きく記しました。映画「アニー・ホール」の主人公アニー・ホール(Annie Hall)と女優キャサリン・ヘプバーン(Katharine Hepburn)を融合したようなイメージで、ベストやソフトなブレザー、ハイウエストのパンツにブラウスを合わせたスタイルを軸に構成しています。衣装替えは47回以上に及びました。

 さらに、記者という役柄を踏まえ、衣装にはあえて使い込まれたような風合いを加えました。世界中を飛び回る彼女が、取材先でコンサイメントストアやヴィンテージショップを巡りながら服を集めていく。そんな背景を想定し、ヴィンテージと新作をミックスしています。アンディは決してファッションに無頓着なわけではなく、「ランウェイ」での経験を通じて確実に感覚を身につけている人物です。そのため、実用性と個性のバランスを取りながら、彼女らしいリアリティのあるスタイルを意識しました。

──どこのブランドのアイテムを着用していますか?

 沢山ありますが、まずミラノでの「最後の晩餐」のシーンは「ジョルジオ アルマーニ プリヴェ(GIORGIO ARMANI PRIVÉ)」の2024年秋コレクションのスタイルです。メンズウェアを彷彿とさせる黒のベルベットパンツに、ビーズをあしらったストライプのサスペンダーを合わせ、ギリシャ人のジュエリーデザイナー、ニコス・クーリス(Nikos Koulis)のアイテムをコーディネートしました。

 「ディオール(DIOR)」でエミリー・チャールトン(Emily Charlton)と会うシーンでは「ジャン・ポール・ゴルチエ((Jean Paul Gaultier)」のアーカイヴのベストとパンツを、アーヴ・ラヴィッツ(Irv Ravitz)の誕生日パーティーでは「パコ ラバンヌ(Paco Rabanne)」のきらめくブルーのドレスを着用しています。他にも、「トム フォード(TOM FORD)」のブラウスや「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」のジャケット、「シャネル(CHANEL)」のキルティング素材2ピース、「コーチ(COACH)」のメッセンジャーバッグなどを使用しています。

──ミランダのスタイルはどのように構想しましたか?

 ミランダ(メリル・ストリープ)は前作のスタイルを踏襲し、定番のシルエットを「ユニフォーム」として機能させることを意識しました。カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)のように、自分に似合うスタイルを貫く人物像を参考にしています。1作目で確立されたクロップドジャケットとペンシルスカートの組み合わせが、続編においても軸となりました。ちなみに彼女は約28回衣装を変えています。

 メリルは自身のルックの多くについて、密に意見を交わしながらスタイリングに関わってくれました。私たちは、ウィッグの邪魔にならないけれど、小さすぎて目立たないこともないちょうどいいサイズのイヤリングをあちこち探し回っていたんです。ミランダは、か弱いピアスなんてつけませんから。そこで彼女は自らアイテムを調達してくれたのですが、それはなんとアメリカのドラッグストアチェーン「CVS」シルバーのフープピアスだったんです。片方でも無くしてしまったらどうしよう、と本当にヒヤヒヤしました。

──ミランダのルックで、特に思い入れのあるものは?

 ランウェイのガラで着用している赤いボールガウンです。当時、「バレンシアガ(BALENCIAGA)」に加入したばかりだったピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)が、メリルのためにこの世界に1着しかないドレスを制作してくれました。映画の中で特注品は2点のみだったのですが、これがその1点です。

 また、コンサルタントたちとのミーティングで着用しているタッセル付きの「ドリス ヴァン ノッテン(DRIES VAN NOTEN)」のジャケットも印象的です。これは前作でミランダがセルリアンブルーについての力強いモノローグを語った際に着ていたジャケットに対する「精神的な対比」として選びました。ジャケットには、「リバティーン(Libertine)」のラベンダー色のブラウス、「ガブリエラ・ハースト(GABRIELA HEARST)」のスカート、「グッチ(GUCCI)」のヒールを合わせています。

──2024年に流行した「オフィスサイレン」トレンドで再注目されていたキャラクターエミリー・チャールトン(Emily Charlton)の衣装も素敵でした。

 エミリーは、エッジの効いたスタイルの限界に挑戦できるからと、私のチームのスタイリスト全員がスタイリングを担当したいと願ったキャラクターでした。実は、前作でのエミリーの衣装は全てディスカウントデパート「センチュリー(Century)21」」で調達したんです。しかし今回は、誰もが彼女に衣装を提供したいと申し出てくれました。

 私のお気に入りは、ミラノでのランチデートのシーンで着ていたもの。ジョナサン・アンダーソン(Jonathan Anderson)が手掛けたディオールのハウンドトゥース柄のスーツに「ジマーマン(Zimmermann)」のケープ、そして「クリスチャン ルブタン(Christian Louboutin)」のサイハイブーツを合わせました。またアーヴのための集会で着用した、ディオールのドレスに「ピーター ドゥ(PETER DO)」のスカートを重ね、ヴィンテージのディオールのベレー帽をコーディネートしたスタイルも気に入っています。

──スタンリー・トゥッチ(Stanley Tucci)が演じたナイジェル・キプリング(Nigel Kipling)や新しいアシスタントたちの衣装についてはいかがでしたか?

 ナイジェルも素晴らしいルックを沢山着こなしています。ミラノでの最後のシーンでは、「ドルチェ&ガッバーナ(DOLCE&GABBANA)」のジャケットに「ゼニア(ZEGNA)」のパンツ、そして「プッチ(PUCCI)」のポケットチーフを合わせました。

 アシスタントたちも、キャラクターに合わせて個性的に仕上げました。シモーヌ・アシュリー(Simone Ashley)がガラで着用したドレスはジャン・ポール・ゴルチエのアーカイヴ品。ヘレン・J・シェン(Helen J Shen)が演じたジン・チャオ(Jin Chao)は古着を愛するキャラクターとして設定し、私のお気に入りのヴィンテージマーケットの売り手から着想を得た髪に複数のクリップを付けるスタイルを取り入れました。

ファッションだけじゃない、「プラダを着た悪魔2」をさらに楽しむための3つのポイント

華やかなだけじゃない“共感できる”ストーリー

 同作が描くのは、きらびやかなファッション業界の裏側にある、誰もが直面するキャリアの現実。前作がアンディが“自分は何者か”を模索する成長物語だったのに対し、続編では“これまでの選択とどう向き合うか”が大きなテーマになっている。

 アンディは、時代の変化を背景に、一度は離れたファッションの世界に再び向き合うことに。一方ミランダは、自らが築き上げてきたキャリアや影響力の“その先”を問われる立場にある。それぞれが抱えるのは、仕事を続けるのか、手放すのか、何を守るのかという現実的な葛藤だ。環境が大きく変わる中で、キャリアを維持するために何を選び、何を諦めるのか。その問いはファッション業界にとどまらず、今を生きる多くの人々の実感と重なるだろう。本作は、そうしたリアルをユーモアとともに描き出している。

現実と交差するミラノでの撮影

 撮影の約半分をミラノで実施。ガラのシーンには、「エミリオ・プッチ(EMILIO PUCCI)」「エトロ(ETRO)」「フェンディ(FENDI)」「モスキーノ(MOSCHINO)」「ミッソーニ(MISSONI)」「プラダ(PRADA)」「ロベルト・カヴァリ(Roberto Cavalli)」「アントニオ・マラス(Antonio Marras)」など、イタリアを代表するブランドが衣装を提供している。

 さらにメリル、スタンリー、シモーヌの3人は、ミラノ・ファッションウィーク期間中に開催されたドルチェ&ガッバーナの2026年春夏コレクションにも実際に出席。現実のファッション業界と物語が交差していくシーンも見どころのひとつだ。

レディー・ガガがドーチーと初コラボ 劇中を彩る豪華サウンドトラック

 主題歌は、レディー・ガガ(Lady Gaga)とドーチー(Doechii)による初のコラボレーション楽曲「Runway」。ファッションと結びついたタイトル通り、作品の華やかな世界観を象徴する1曲となっている。

 同曲のプロデュースには、ブルーノ・マーズ(Bruno Mars)をはじめ、アンドリュー・ワット(Andrew Watt)、サーカット(Cirkut)、D・エミール(D’Mile)といった実力派が集結。作詞作曲にも両アーティストに加えトップクリエイター陣が名を連ねている。なお、劇中にはガガが本人役としてカメオ出演している。

最終更新日:

FASHIONSNAP 編集記者

菅原まい

Mai Sugawara

2002年、東京都生まれ。青山学院大学総合文化政策学部卒業後、2025年に新卒でレコオーランドに入社。中学生の頃から編集者を志し、大学生時代は複数の編集部でインターンとして経験を積む。特技は空手。趣味は世界中の美味しそうなお店をGoogleマップに保存すること。圧倒的猫派で、狸サイズの茶トラと茶白を飼っている。

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