AYÂME 2023年春夏コレクション
Image by: FASHIONSNAP(Koji Hirano)
3日目(8/31)午前に開催されたタイ出身のデザイナー、ラロパイブン・プワデトの「アブランクページ(ablankpage)」初めてのコレクションは、とても新鮮なエネルギーに満ちた好感のもてるショーだったし、4日目(9/1)の土居哲也の「リコール(Re:quaL≡)」のカラーブロックを想定したカラフルで大々的なリメークコレクションもショーの楽しさを味わわせてくれた。
だけど、本日のポストでは、vol.1、vol.2に引き続き、もう一人、女性デザイナーにこだわりたく、竹島綾がデザインする「アヤーム(AYÂME)」を取り上げたい。と言いながら、せっかく今回、初めてのフィジカルショーを開催したのに、私はオンラインで試聴した。たまたま本日、アヤームから画像とプレス資料が送られてきたのだが、デザイナー自身の言葉からも、その服からも、2回のポストの原稿につながるものを感じ、書いてみたいと思った次第。
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セントラル・セント・マーチンズのニットデザインを卒業し、2017年にブランドを開始した竹島綾の今シーズンのテーマは「ゆだねる強さ」というもので、「自然と調和し、自分の芯となる軸を持ちながらも、しなやかでいること。表面的な見せかけの強さではない、コアな部分における『芯の強さ』をシアーな素材のレイヤーで表現」とプレス資料に書かれている。素材を求めて日本の産地を巡る中で、こだわりを貫いて物作りを続ける職人たちに出会ったことが、コレクションに見え隠れする。それは、いかにも人目を引く斬新さではなく、光の当たり方で輝いたり、風を受けて独特の空気感を感じるという、デリケートなファッションなのだ。それを女性モデルだけでなく男性モデルにも着せた。
Image by: AYÂME
コレクション会場でよく遭遇するメンズファッションを専門とする編集者が「今の若い人たちを見ると、圧倒的に男子の方が、ファッションに関心を持っているし、服にお金をかけていますよ。ハイブランドのものもよく着ているし。女子は、あまり特徴がないなあ」と、20年前に、来日した欧米のファッションデザイナーたちから何度も聞かされたのと似たようなセリフを語っていたことを思い出した。
今や、コロナ禍での世の中の変化、コレクションが中止になったり、海外ファッションウィークの取材に行けなくなったりしたことで、世界的にトレンドの効力が薄れ、一方、SDGsの潮流の中で、サステナブルや、LGBTQなどへの配慮がファッションの世界でも当たり前になってきたこともあり、女性のファッションは変わりつつある。
ストリートファッションがハイブランドにも影響を及ぼしているメンズと比較して、ウイメンズファッションは、よりデザイナーの創作力が問われているかもしれない。「あまり特徴がない」と言わせない、特徴ある日本独自のウィメンズファッションは、目下育ちつつある、と信じたい。
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